パンドラの箱~禁じられた一手~ Vol.1

パンドラの箱~禁じられた一手~:深夜2時のリビングに、妻のあらぬ姿が…。寝室を抜け出した夫の行為

最初は言い訳を考えながら言葉を選んでいるようだったけれど、僕の真剣な眼差しに観念したのか、洗いざらい事の顛末を吐き出した。

3か月前、麻里は昔好きだった人と再会し、一緒になろうと猛アプローチを受けた。結婚している事実を伝えるも彼は引き下がらず、仕方なく離婚届を書くだけ書いてみたという。

「だけどね、この離婚届見たら急に実感が湧いてきちゃって。私、絶対離婚したくないって思ったの!!だからもう彼とは会わないって決めたの!!」

力強くそう言い切った麻里の目は赤く、必死に無実を訴えかけてくる。

「…そうか」

けれども、どんなに絞りだしても、それ以上の言葉がでてくることはなかった。

彼女の言葉をそのまま信じれば、本気で離婚しようとしたわけでもない。ただ、半分だけ記入された離婚届を、ひとり眺めていただけ。

事実だけ切り取れば、大した問題ではないのかもしれない。けれど、僕はひどく傷ついた。

―それから、そう時間はかからなかった。

些細なことがきっかけとはよく聞くけれど、このことがきっかけで僕たちは離婚した。


「本当に、もうやり直せないのかな…」

最後まで麻里は僕にすがったけれど、結婚して1年。まだ恋愛の延長にあった僕たちにとって、気持ちが離れたということは十分な離婚の動機となった。

僕は30歳、麻里は28歳。まだまだ再スタートを切れるほどには若い。

僕だって、まだ麻里の......


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