モラトリアムの女たち Vol.2

「旦那さんの稼ぎ少ないの?」タワマンのゲストルームで露呈した、女たちの静かなバトル

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

―あのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

湾岸のマンションで育児に専念中の未希は、元々バリキャリ志向の女だった。

今は夫・慎吾の優しさに包まれながら専業主婦生活を満喫しているが、ママ友の華子が復職するという話を聞き、心がざわつきだして…?

▶前回:家事に協力的な夫と、かわいい娘。それでも女が満たされないワケ


「お邪魔しまーす…」

未希は恐る恐る、マンションの高層階にあるゲストルームへと足を踏み入れる。すると、テーブルの上に並べられた鮮やかな手土産の数々に目を奪われた。

『ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ』のマンゴープリンに、『エシレ』のガトーエシレ。それから『ラデュレ』のマカロン…。

見栄えが良い、色とりどりのスイーツ。

未希が手土産に持ってきた最中も、夫に有名店で買ってきてもらった結構なものだが、和菓子ゆえに出すのを少々ためらってしまう。

「佐橋さん、今日はゆっくりしていってね。…って、自分の家じゃないけど」

オープンキッチンの中にいる華子が紅茶を入れながらにっこり微笑んだ。

リビングのソファには、初めて会うママさんたちが3人ほど、各々の赤ちゃんを遊ばせながら談笑している。

入りづらい雰囲気だったので、未希はそのまま華子と話しながら彼女の手が空くのを待つことにした。

「今日はお誘いありがとう。私、ゲストルームって初めて。住んでいても使う機会ないもの」

「私もそうよ。今のうちに色々楽しんでおかなきゃと思ってね」

そういうことか、と未希は最近頻繁に来る華子からのメッセージの意味を理解した。

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