聖女の仮面 Vol.3

「純潔ではない」というレッテルを貼られ…。過去に嵌められた美女が、友人の前に再び現れた理由

「は、犯人って…?えっと、何の話?」

突然の絹香の告白に、恵子は耳を疑った。

つい先ほどまで、友人たちと再会を喜び合い、平和な時間を過ごしていたはずだ。”犯人”なんていう物騒な言葉は、あまりにも似合わない。

「ごめんね、恵子。気分を悪くさせちゃうかもしれないけど、あなたにだけは聞いてほしいの。…だって、あなたは、特別だから。」

―特別…?私が?!

後部座席に流れる不穏な空気を察してか、タクシーの運転手が、ちらりとミラー越しに視線を寄こす。

それに気付いた絹香は、声のトーンを落として話し始めた。

「恵子は、高校から聖女に入ってきたでしょ?だったら、私が特待生だってこと、おそらく知らないんじゃないかしら。」

恵子は、こくりと頷く。

たしか、絹香は中学の入学式で、新入生代表の挨拶をしたとさくらが言っていた。そういうものは、入試成績トップの生徒が行う場合が多いだろう。

それに、高校の定期テストでも絹香は常にトップクラスの成績を取っていた記憶がある。

しかし恵子は、聖女に”特待生”なんていう制度があること自体、知らなかった。

「私はずっと特待生として、聖女から奨学金をもらっていたの。だけど、犯人がついた”嘘”のせいで、高校2年になる直前、私はその地位を失ったわ。」


「たかがそんなことで辞めたのかって、そう思ってる顔ね。」

絹香の言葉に、恵子は首をブンブンと振った。

だけど、そのまっすぐな目に本心を見透かされたようなような気がして、胸の鼓動は早くなる。

「あなたにはわからないかもしれないけれど、一般家庭の娘が聖女に通うっていうの......


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