聖女の仮面 Vol.1

聖女の仮面:10年前、同級生の女が忽然と姿を消した。27歳になった女たちの、衝撃的な再会

日曜日、六本木の『オークドア』に恵子が到着した時、まだ誰も来ていなかった。緊張して、約束より15分も早くついてしまったのだから、当然だ。

―絹香、どんな風になってるのかな。

高校時代、恵子と絹香はよく似ていると言われていた。

おっとりした話し方や、少しふくよかな体型。左目の泣きぼくろまでお揃いだったので、何度か間違われたこともあるくらいだ。

昔の絹香の姿を思い出しながら、ふと、大きな窓ガラスに映る自分の姿をチェックする。

あの頃より大分痩せたとはいえ、Aラインのノースリーブワンピから覗く腕のたくましさにげんなりし、バックからカーディガンを取り出すと、肩に羽織った。

「恵子、早いねー!」

5分ほど経つと、セレクトショップの紙袋を持ったさくらが現れた。どうやら、買い物をしてからきたらしい。

「いつもどおり、萌は遅れるってさ。…子持ちって大変よね。」

グループラインには何も来ていなかったので、さくらに個人連絡したのだろう。さくらは肩をすくめながら恵子の方を見遣ると、バッグから小さなポーチをとりだした。

「あー、絹香に会えるの超楽しみ!夜逃げみたいに消えちゃったから、あの時のこともいろいろ聞きたいし、今日を機会にみんなで遊べるようになったらいいよね。

そういえば結婚してるのかな?あの子。既に子供もいるかもね。昔、萌と絹香と、将来の子供の名前考えたのが懐かしいなー。」

口紅を塗りながら、さくらは器用に話し続ける。

自分だけが知らない絹香との思い出話に、恵子は黙って微笑むことしかできなかった。


メニューを見ているふりをしながらも、恵子は店の入り口が気になって仕方がない。それはさくらも同じようで、「あれかな?…違うか」と先ほどから何度も口にしている。

「…ねえ、実は私、あんまり絹香のこと知らないの。1年しか一緒に居なかったし。絹香って中学の時どんなだったの?」

ソ......


【聖女の仮面】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo