罠 Vol.13

医師との結婚を控えた女に次々と起こる、奇妙な出来事。その真相は?いよいよ明日で最終話!「罠」全話総集編

—今すぐ、婚約を破棄しろ。

ある日、柊木美雪(ひいらぎ・みゆき)のSNSに届いた奇妙な一通のメッセージ。

恋人の黒川高貴(くろかわ・こうき)からプロポーズをされて幸せの絶頂にいたはずの美雪は、その日を境に、自分を陥れようとする不気味な出来事に次々と遭遇する。

“誰かが、私たちの結婚を邪魔している。でも、一体誰が…?”

美雪を待ち受ける数々の“罠”をくぐり抜け、無事に結婚にたどり着くことが出来るのかー?

「罠」一挙に全話おさらい!

第1話:誰かが、私たちの結婚を邪魔している…?医師と婚約をした翌日、SNSに届いた不気味なメッセージ

ここは、ザ・リッツ・カールトン東京の45階にある『AZURE 45』。そして今日は、私の29歳の誕生日だ。勤務医として働く高貴は多忙を極めていて、「誕生日のお祝いをしよう」と言ってきたのもつい1週間前だった。

だから、こんなサプライズがあるなんて思いもしなかったのだ。

「これまで生きてきて、こんなに幸せを感じたことないかも、私」

高貴のつぶらな瞳を見つめながら、そう呟いた。同時に、脳裏にはこれまでの28年間の日々が、まるで走馬灯のように蘇ったのだった。

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第2話:「これって単なるイタズラ…?」SNSで仕掛けられた攻撃。幸せ絶頂のプレ花嫁が、誰にも言えない秘密

私は、先日婚約したばかりの、高貴の笑顔を思い浮かべた。

彼に、嫌われたくない。意を決してプロポーズした相手が、こんな不気味なメッセージを受け取るような「いわくつきの女」だなんて思われたくなかった。

弁護士に依頼して事を荒立てるよりは、自分1人で解決できるなら、してしまいたい。そう思っていたのだ。それから数日間は、毎日ソワソワしながら過ごした。

しかし単なるいたずらだったのか、あれから不審なメッセージが届くことはなかった。

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第3話:「君のこと好きになってもいい…?」婚約者のいる女を惑わす、甘い囁き。深夜のバーで出会った危険な男

『彼から婚約破棄したいって言われたの。もう、死にそう』

ゆりことは数日前にランチしたばかりだが、そのときの彼女はいつもと変わらなかった。その彼女が、突然婚約破棄をされそうだなんて、一体何があったのだろうか。

私が慌てて『今どこにいるの?』とLINEを送ると、瞬時に『銀座のバーに1人でいる』と返信がきた。時刻は23時を回っている。

「お酒は弱い」と言っていたゆりこが、1人でバーにいるなんて。私は心配でいてもたってもいられなくなり、店の住所を尋ねると大急ぎで家を飛び出したのだった。

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第4話:罠に嵌められた、プレ花嫁。他の男との「キス未遂写真」を婚約者に送りつけた、裏切り者は誰?

そもそも「今夜会いたい」と、突然3時間前に言ってきたのは、高貴のほうなのに。無言を貫く彼を見ていたら、なんだか嫌な予感がする。

その瞬間、「あのさ」と言いながら、高貴が鞄の中から1通の封筒を取り出した。

「この封筒が、医局の僕宛に送られてきたんだ。開けてみて」

それは何の変哲もない1通の白い封筒で、中を見ると1枚の写真が入っている。私は怪訝に思いながら、写真を取り出した。

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第5話:「これって、裏アカウント…?」奇妙なSNS投稿を発見した女。親友への疑惑が深まった1枚の画像

結菜と藍の視線が私に集中して、心が折れそうになる。本音を言うと、何でもないフリをしながら1人で悶々と悩み続けるのは、もう限界だった。

現に昨夜も一睡もできず、こうして誰かにぶつかって転び、2人に迷惑をかけてしまっている。

「もう嘘はつけない」という思いとともに、もやもやした気持ちが言葉になって唇からこぼれ出てしまった。

「実は私、婚約したんだけど…その直後から色々あって」

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第6話:結婚まであと一歩のところで立ち塞がる、ある女の存在。医師の妻になるための、残酷な条件とは

ようやく1通の返信があったのは、翌日の夜だった。

『久しぶり!そのバーのことは知らないよ~!返信遅くなってごめんね。部署の異動と、家の引っ越しが重なっちゃって。そうそう私、白金高輪に引っ越したの!美雪の家と近くなったから、遊びに来て~!』

いつもと変わらない親友のテンションに、肩の力が抜けていく。凛香の様子がどこかおかしいと思ったのは、単なる私の思い違いだったのかもしれない。

やはり彼女が犯人であるはずがないのだ。そのバーのことは知らない、という凛香の言葉を信じてみようと思った。

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第7話:とんでもない女を、敵に回してしまった…。“たった一晩のミス”がきっかけで起こる、負の連鎖

ここは、五反田駅から15分ほどの雑居ビルの5階。

目の前の飾り棚には、「芹澤探偵事務所」の名前と、東京都公安委員会の届出番号そして警視庁の登録業者である旨が書かれたシルバープレートが置いてある。物珍しさから、ついキョロキョロしてしまう。

「お待たせしました」

約束時間の10時ぴったりに、紺色のビジネススーツに身を包み、スカイブルーのネクタイをピシッと締めて背筋をピンと伸ばした50代ぐらいの男性が、キビキビとした様子で入ってきた。

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第8話:「ずっとあなたが、憧れだった」。潤んだ瞳でそう言っていたのに、一瞬で夢とキャリアを奪った卑劣な女

芹澤に指紋鑑定を依頼した1週間後。高貴が「結果が出たよ」と言いながら、調査報告書を持って家にやってきた。

2人でソファに腰を下ろし、分厚い報告書のページを競うようにめくる。すると、ある文章が目に飛び込んできた。

『写真から、鈴木ゆりこ氏の指紋は検出されませんでした』

やっぱりゆりこは、シロだった。じゃあ誰が犯人なのか…?

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第9話:おとなしいフリして、裏でとんでもないことを…。夫以外の男と逢瀬を重ねる、高学歴女の素顔

私ね、藍の凄い秘密、知っちゃったんです。あの子ね、たぶん浮気してますよ。

私、見たんです。彼女が、旦那さんとは違う男の人と、仲よさそうにしているところを。それも2回も。

藍の旦那さんの顔、知ってるんです。一度だけ、藍から写真を見せられたことがありましたから。藍が一緒にいたひとは、旦那さんとは明らかに違う、もっと若くてイケメンな男性でした。

あの雰囲気は、絶対に男女の仲だと思います。悔しいから、このことをみんなにバラしちゃおうかな…。

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第10話:「昨日の夜、何してた…?」同棲2週間で家に帰らなくなった男に、婚約者の女が抱いた黒い疑惑

-本当にこれで良かったのかな…。

自宅に帰ってから、私は自分の部屋を見回した。必死に働いて買ったインテリア、バッグ、服、靴。それらは全て、仕事に生きる自分の「証」であり、「誇り」だ。

他人に与えてもらうものと、自分が働いて手にしたものとでは、意味合いが全く違う。自分のお金で手に入れることの醍醐味は、何物にも代えがたい。仕事を辞めることは、その喜びを捨てることと同義なのだ。

第10話の続きはこちら

第11話:「私、騙されてた…?」婚約者を疑った女の大胆な行動。彼女が目撃した、愛する男の信じられない現場

高貴が帰ってこない金曜の夜。だれもいないガランとした広いリビングで、浮かんだ疑惑をかき消そうと必死に言葉を並べてみる。でも、否定すればするほど、その疑惑は色濃くなっていく。

-仕事辞めちゃって、高貴まで失ったら、私、完全に一人ぼっちだよ…。

心の中が徐々に、藍への憎しみと怒り、そして高貴に裏切られたという悲しみとやるせなさに変わっていき、ドロドロとしたもので完全に埋め尽くされそうになった時、スマホが鳴った。親友の凛香からだった。

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第12話:「早く別れて…私、何をするか分からないよ?」婚約者の男を疑う女が、裏切りを確信したボイスメモ

「柊木美雪さん。あなたからは、また連絡がくると思っていましたよ」

殺風景な会議室で、探偵の芹澤がまるで「待っていました」というような口ぶりで言った。

私は、芹澤探偵事務所をひとりで訪れている。

ー婚約者の黒川高貴と、元部下の紺野藍が浮気をしているかもしれないんです。調査をしてもらえないでしょうか。

前日、芹澤に電話をかけてそう相談したところ、早速ここに来て話を聞かせてほしいと言われたのだ。

第12話の続きはこちら

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