恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.21

「これで最後だから…」最愛の女から届いた“サヨナラメール”。そこに隠されていた真実とは?

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

一条廉は3歳年上の美月と結婚し、駐在先のシンガポールで新婚生活をスタートさせる。

しかしその心には、特別な思いを抱く大学時代の同級生・里奈がいた。

腐れ縁のように少しずつ距離を縮めていくふたりは、やがて一線を超えてしまう

不貞を疑われながらも再び美月との穏やかな生活を取り戻した廉だったが、結局は妻・美月から離婚されてしまうのだった。

時を同じくして里奈も、夫・二階堂と離婚

お互い独身に戻った二人は再会するが、その時にはもう、里奈は別の男とアメリカに発つことを決めていた


本心を隠したまま…


再婚するの?という質問に、里奈が静かに頷いた時。

僕は一瞬、耳を塞がれたように、すベての音が聞こえなくなった。

−嫌だ。再婚なんてしないでくれ。

心の中ではそう叫んでいるのに、僕はまたしても強がりを言ってしまう。

今日こそは、素直に気持ちを伝える。そう決めて会いに来たはずなのに…。

「そっか、良かったじゃん!おめでとう」

どうにか声を絞り出したものの、どうしても顔がこわばってしまった。

必死でごまかしてはみたが、長い付き合いの里奈が僕の動揺に気づいていないとは思えない。

しかしそれは、僕の方も同じだ。

視線を合わせずに話す横顔や、ほんの少し震えた唇、そして乾いた笑い声からも、里奈が無理をしていることがすぐにわかった。

けれども同時に、彼女が必死で僕を拒もうとしていることもわかってしまった。

僕たちはずっと誰よりも近い存在であったがゆえに、気づかなくて良いことにまで気がついてしまう。

傷つきたくなくて、傷つけたくもなくて。

僕も里奈も結局また本心を隠したまま、「じゃあ、また」と言って別れたのだった。

「また」なんてもう二度とないことを、お互いに噛み締めながら。

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