2018.10.16
外銀女子 Vol.12たまたま裕福な家庭に生まれただけ。
たまたま容姿に恵まれただけ。
そんなのちっとも羨ましくなんか無い。
“生まれつき勝ち組”だなんて胡座をかいていられるのは、今だけよー。
そう言って不敵な笑みを見せるのは、誰もが認める努力の女・佐藤直子(27歳)。
地方の下流家庭出身である直子は、猛勉強の末に東大合格、卒業後は外資系投資銀行に入社。独力でアッパー層に仲間入りした「外銀女子」である。
東京で最後に笑うのは恵まれた女?...それとも、努力の女?
「外銀女子」一挙に全話おさらい!
第1話:「お嬢様には負けない」生まれも育ちも関係ない“外銀”で下克上を狙う、27歳女の野望
“自分の人生を変えられるのは自分だけ”と早々に悟り、猛勉強の末に東京大学合格を果たした。経済的な問題で塾にも行かせてもらえなかったため、独学で掴んだ未来への切符である。
東大卒業後は、生まれも育ちも関係ない“実力主義”に惹かれて外資系証券会社に入社。自らの稼ぎで広尾の高級マンションに暮らす直子は、ついに東京アッパー層へ仲間入りしたと言っていいだろう。
しかしハイソサエティでの生活は同時に、直子にあることを知らしめた。
直子が努力に努力を重ねてようやく掴み取った“成功”を、いともたやすく、大した努力もせずに、生まれながらに手中に収める女がいることを。
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第2話:“勝ち組”が、勝ち続ける理由。一般庶民は知る由もないセレブ社交の実態
「ねぇナオコ聞いて、Davidは大学時代からの友達なのよ!まさか東京で再会できるなんて思わなかった!」
Davidに挨拶しようとするのを遮りあゆみがご機嫌で発した一言に、直子は思わず彼女を振り返る。
「まさか、大学が同じとか…?」
あゆみはロンドンの大学に留学しているから、そこで出会ったのだろうか。しかし続くあゆみの言葉に、直子は自分が如何に“生まれつきの金持ち”を甘く見ていたかを思い知ることになる。
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第3話:広尾の高級マンションで出会った、若い男の正体とは。強気な外銀女子が“女”を見せた夜
「父の資産運用会社を引き継ぐの。まぁここ入る前から決まってたんだけどね」
「へぇ…良いね」
社交辞令的に微笑んだつもりが、思わず口元が歪んでしまう。
この会社のパートナークラスであるあゆみの父親が、個人資産の運用会社を持っているのは当然と言えば当然なのだが、それなら最初からそこでのんびり働けば良いではないか。
「…持田さんて、そもそも何でこの会社入ったんだっけ?」
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第4話:「成功を約束されている」と語る生まれついての勝ち組が、“成り上がり”外銀女子に思うこと
“あゆみちゃんは、何でも持ってるよね”
...その中には、明らかな“敵意”を向けてくるものもいる。そう、直子のように。
彼女はいつも、自らの手で築き上げた実績に対する誇り、そして自信に満ちている。その一方で、私のように恵まれた環境にある女を、どういうわけか勝手に敵対視するのだ。
私だって、人並の苦労はしてきた。しかし彼女はいつも私に、“あなたの努力なんて取るに足らない”とでも言わんばかりの目を向ける。
―...別にいいわよ、認めてくれなくたって。
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第5話:初恋の彼と10年越しのデート。“鉄仮面”外銀女子の心を揺さぶった、エリート男の一言とは
―サクッと飲んだらまた戻って来ないとダメかな…。
今日はこのまま帰っても良いかと思っていたが、どうやらそうのんびりしている訳にもいかなさそうだ。
はぁ、と短くため息をついてから、自分が最近ため息ばかりついていることにチラと嫌気が差す。
そのことに内心また小さくため息をつくと、直子は『goblin』へ続く階段を早足で駆け上った。
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第6話:実力主義じゃなかったの?政治・贔屓・コネ...etc 欲望渦巻く、外銀の“ウラ事情”
―…ったく、良いご身分だわ。
思わず舌打ちしそうになるが、胸の奥まで深く息を吸い込み、吐き出すにとどめる。
“承知しました”とは言ったが、上司・今村の指示について、直子はまったく納得していない。
...何しろ、3か月以上も前からコツコツと、直子一人で掘り下げてきたテーマの調査レポートに、あゆみを共同執筆者として載せるように言われたのだから。
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第7話:仕事だけじゃなく、恋までも...目の前ですべてを攫っていく“生まれつき勝ち組”の女
「相原君…グレンカスの、相原君のことなんだけど」
そうあゆみが切り出したとき、直子は反射的に“…また!?”と思ってしまった。
いつだって美味しいところを全部持っていく女、あゆみ。まさか相原君まで…と頭に不安がよぎる。
しかし彼女が続けた言葉は、想定外にビジネスライクなものだった。
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第8話:「この後、家に来ない...?」東大卒の外銀女子が、柄にもなく自ら男を誘ってしまった理由
アルコールによって自分の感情のブレが大きくなっていることを自覚しながらも、彼の話は直子の心を深く掴んで離さなかった。
…しかし、やはり一番聞きたいのはあゆみのことだ。
聞きたい、聞きたいと思いながらも、切り出し方が分からない。
そうこうしているうちに、直子は4杯目のグラスを空けようとしていた。
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第9話:部屋で二人きりにまでなったのに、なぜ!?意中の男が、指一本触れて来なかった本当の理由
ソファで寝落ちてしまったようだ。首に感じる鈍い痛みで、直子は目を覚ました。
全身に残る怠さ、内臓がよじれるようなこの感覚…完全に二日酔いだった。
昨晩、知也と2軒ハシゴして、それから…
―…!?
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第10話:「私は、据え膳食われなかった女...」打ちひしがれる外銀女子に舞い込んだ、魅力的な誘い
―やっぱり仕事って良いわ…。
ここ数週間、知也のことで自分が如何に振り回されていたか…。直子は改めて、自分には仕事が合っているなとしみじみ思うのであった。
車寄せでハイヤーに乗り込むと、1階のコーヒーショップで買ったサンドイッチを頬張りつつメールボックスをスクロールする。
すると、上司・今村から転送されてきた1通のメールに、目が止まった。
第10話の続きはこちら
第11話:「仕事でモテればそれでいい」恋を諦めていた東大卒・外銀女子に、奇跡が起きた夜
自分のデスクに戻ると、他のデスクとは正反対に、直子の棚はすっからかんだ。
ハーマンミラーのオフィスチェアに深く腰掛け、見慣れた外の景色に目を移す。夕暮れ時を過ぎた東京の街並みが、眼下で深い青に染まっていた。
―この景色も、今日で見納めか。
そう、直子がこのデスクに座るのは、今日が最後なのである。
第11話の続きはこちら
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