外銀女子 Vol.11

「仕事でモテればそれでいい」恋を諦めていた東大卒・外銀女子に、奇跡が起きた夜

“生まれつき勝ち組”だなんて胡座をかいていられるのは、今だけよー。

佐藤直子(27歳)は地方の下流家庭出身だが、猛勉強の末に東大合格、卒業後は外資系証券会社に入社。独力でアッパー層に仲間入りした「外銀女子」。

そんな直子の前に“生まれながらの勝ち組”・あゆみが現れる。

容易く多くを手に入れるあゆみに、直子の苛立ちは募るばかり。

そんな時、中学・高校時代の同級生・知也と偶然再会した直子。つかの間の春が訪れたかと思った矢先、実は彼が天敵・あゆみの元彼だったと判明する。

知也と“イイ雰囲気”になったかと思いきや、直子に指一本触れることなく去られてしまい意気消沈するも、仕事では大きな転機が訪れるのだった。


嵐のようなシンガポール出張から、2か月後。

10月の決算発表期を終えたばかりのフロアには、まったりとした空気が流れていた。

コーヒーを汲んでデスクに戻りながら、直子は周囲を見渡す。

デスクに併設された棚にはどれも、資料や本がうず高く積み上げられており、そこに人が居るのか居ないのか分からないほどだ。

―5年、かぁ…

短かったような、長かったような。

わき目も振らず、ただ、結果を出すことだけに全力を注いできた5年間。

「自分の価値を証明したい」

辛い時はそんな気持ちで踏ん張ったこともあった。しかし、今振り返ると、ただこの仕事が好きだったのだと、直子は改めて思う。

やればやるだけ、考えれば考えるだけ、直子の書くレポートの評価は上がったし、そもそもそのプロセス自体が好きだったのだ。

30以上も年の離れた経営者と向き合い、その会社の今後の方向性について真摯に考え抜くことも、世界中に散らばったチームとセクターを超えて熱く議論することも。

自分のデスクに戻ると、他のデスクとは正反対に、直子の棚はすっからかんだ。

ハーマンミラーのオフィスチェアに深く腰掛け、見慣れた外の景色に目を移す。

夕暮れ時を過ぎた東京の街並みが、眼下で深い青に染まっていた。

―この景色も、今日で見納めか。

そう、直子がこのデスクに座るのは、今日が最後なのである。

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