パーフェクト・カップル Vol.20

「駆け引きだったのか?」人気アナが選択を迫られた、敏腕芸能マネージャーからの2つの提案

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう。彼を陥れたのは、2人の悪意の偶然の連鎖だった。

夫のピンチが続く中、妻は番組での夫婦共演で夫を救うことに成功し、夫は以前の名声を取り戻した。が、妻が過去のトラウマと対峙している最中、夫にある選択が迫られる!

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


隼人:「駆け引き、だったのか? どこから? 」


橘さやかさんを法的に訴える、という選択肢もあります。」

やや物騒な言葉を、香川さんはサラリと口にして、さらに続けた。

「2人は実際に関係があったわけですから、記事の全てが事実無根、と主張する訳にはいきませんが、この記事の内容は、あなたの社会的立場を危うくするものとして捉えるには十分です。つまり名誉毀損で彼女を訴えることができる。」

実は…あまり表沙汰にはならないが、記事を書かれた有名人たちが出版社を相手取り、裁判を起こすというケースが少なくないことは僕も知っていた。しかし、まさか自分がそれを提案されることになるとは、思ってもみなかった。

「裁判になれば、もちろん堀河さんも事実を話さなければならなくなりますし、それが傍聴されて拡散されるリスクもありますが、それは橘さんにとっても同じことです。裁判では彼女も虚言はできなくなる。それは罪になりますからね。」

この手の話は得意分野なのだろう。香川さんの口調が熱を帯び、徐々にスピードをあげながら続いていく。

「それに裁判を起こせば、彼女が今後、新たな記事を出すことも他の写真を出すことも牽制できます。」

もしさやかが裁判中に、僕についての新たな情報を世の中に出せば、それが裁判に影響し、彼女にとって不利な結果につながる。だからしばらくの間、彼女を黙らせる効果もあるのだと香川さんは教えてくれた。

もし僕が、さやかとどんな写真を撮ったのか具体的に思い出せれば、その写真を差し押さえる訴えも起こせるのだという。

「もちろん裁判を起こすデメリット…と言いますか、リスクもあります。」

僕に相槌すら打たせない勢いで説明を続けていた香川さんが、少しトーンを落として言った。

「この手の裁判は、判決が出るまで長引くことも多いということや、なかなか要望通りには勝てない事例も多い、ということです。勝てなければ彼女はまた、自由になってしまう。だから、ここからが本題なのですが…。」

―本題?

香川さんはそこで言葉を切り、出されていた水を一口含み飲み干した。そして。

「堀河さん、会社を辞めませんか?」

【パーフェクト・カップル】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo