パーフェクト・カップル Vol.18

「どこからが嘘で、演技だった?」婚約破棄された恋人に、ずっと聞きたかった1つの疑問

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう謹慎処分を受けた隼人だったが、彼を陥れたのは、2人の悪意の偶然の連鎖の結果だった。

夫のピンチが続く中、妻は番組での夫婦共演で夫を救うことに成功。夫は以前の名声を取り戻したが、今度は妻が過去のトラウマと対峙することに…。

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


怜子:「自分の感情を抑えるのが、癖になっていた」


『人は10代の時に手に入らなかったものに固執し、追い求め続ける。』


何かで読んだ、この言葉が忘れられない。

私の場合、手に入らなかったものはたぶん『自信』。自分が誰かに『愛されていると信じる』ことが、ずっとできなかった。

荻窪で、大学教授の父と高校教師の母の間に生まれた私の「怜子」という名前は、『賢い子』になるように…とつけられたらしい。

学校の成績は悪くはなかったけれど、天才的な科学者と言われた父に比べれば、私の成績は『そこそこ』に過ぎず、私は両親に褒められた記憶がない。

なんとか両親に褒められたくて、私はいつのまにか「いい子」を演じる癖がついたのだと思う。褒められなければ、せめて怒られないようにしようと、自分の感情を抑えることが癖になった。そして…。

「怜子ちゃんって強いよね。」

高校生になると、みんなにそう言われるようになり、容姿を褒められることが多くなったのもこの頃だった。

そうすると、それなりに男の子から告白されたりして、付き合ったりもしてみた。けれど、最後は必ず相手から振られてしまう。

「怜子は、俺に合わせてばっかりで、本当はどう思ってるのか分からない。」

「怜ちゃん、僕と一緒にいる意味ある?たまには甘えてよ。」

「怜子は、1人でも大丈夫なんだね。」

そんなことばかり言われ続けた。

甘えて、と言われても両親にすら甘えたことのない私は、その方法が分からないまま、どんどん『恋愛』が苦手で、苦痛なものになっていった。


―この人に会うまでは。


「ありがとう」

コーヒーを運んできたスタッフに笑顔でお礼を言いながら、雑談まで始めそうな勢いのこの人が…。私の人生を変えるなんて、出会った時には思いもよらなかった。

―桜井智。

自分の手の中から紙の音がして、さっき彼から受け取った名刺を、無意識のうちに強く握りしめていたことに気がつく。

彼に私から連絡をした後、会う場所に悩んでいると、隼人が事務所を借りればいい、と提案してくれた。

社長は詳しい事情を聞かないまま、部屋を手配してくれた。スタッフには私が仕事で部屋を使うから、とだけ指示してくれたらしい。

そして、隼人は…。社長室で、社長と一緒に私を待ってくれている。

【パーフェクト・カップル】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo