2018.05.08
神戸嬢戦争 Vol.10アラサーの神戸嬢を語るには欠かせないある“時代”が、神戸にはあった。
2000年代初期、今なお語り継がれる関西の「読者モデル全盛期」だ。
それは甲南女子大学・神戸女学院大学・松蔭女子学院のいずれかに在籍する、容姿端麗な神戸嬢たちが作り上げた黄金時代である。
しかし時を経て読モブームは下火となり、“神戸嬢”という言葉も、もはや死語となりつつある。
神戸で栄華を極めた彼女たちの、行く末とは……?
「神戸嬢戦争」一挙に全話おさらい!
第1話:“神戸嬢”は、もはや死語?関西読者モデル戦国期を生き抜いた女たちの末路
「寛子さんって、関西人なんですか!?めっちゃシュッとされてるから、東京の人なんやと思ってました……」
寛子が担当しているクライアントの男性が、目を見開いて驚く。
「ほんとですか?生まれも育ちも関西なので、私、めっちゃ関西人ですよ」
大阪出身の彼に関西訛りのアクセントで親近感を出すよう心がけながら、「東京の人だと思っていた」という男の発言に、寛子は内心ほっとしていた。かつて自分が神戸嬢だった、とは絶対悟られたくなかったのである。
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第2話:神戸嬢のショップ店員は、“可愛い”だけじゃ通用しない。女の園での壮絶なマウンティングとは
寛子がアルバイトすることになったこのアパレルブランドは、他と比べても群を抜いて人気がある。神戸で生まれ育った生粋の“神戸嬢”たちがこぞって働く、憧れの場所なのだ。
それゆえ、寛子のように神戸出身ではないアルバイトは珍しかった。もし由美子のプッシュがなければ、働けていないだろう。
“可愛い”だけでは通用しない、新しい世界の始まりだった。
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第3話:「それ、どこの?」が合い言葉。神戸嬢にとって、女友達も彼氏も“ブランド力”が命
「寛子、多分亜由香ちゃんとはあんまり深く関わらん方がいいかも」
シェイクスピアガーデンで、亜由香ちゃんがいい子そうだと言った寛子に対して、利恵が少し言いにくそうな様子で言ったのだ。
そのときちょうど遅刻をして来た舞が寛子たちと合流し、あまり詳しく聞けなかった。あれは、どういう意味だったのだろうか。
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第4話:狭い神戸コミュニティでまともな恋愛なんて不可能?神戸嬢の淡い恋心をぶち壊した、卑劣な罠
あっという間に、“勝負の日”は来た。利恵がセッティングしてくれた甲南ラグビー部との食事会、寛子にとっては初めての「コンパ」である。
利恵は今日も、ばっちりキメている。胸元にはカルティエのラブネックレスと腕にはお揃いのラブブレス。アンサンブルのカーディガンとノースリーブのニットを合わせ、王道の神戸スタイルで決めている。
「寛子のそのスカート、めっちゃかわいいやん。菜々子さんとこのやつ?」
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第5話:下剋上は不可能?真の神戸嬢として必要な“3K”条件に打ちのめされた女
お店にも寛子目当てに会いに来る客がつき始め、「神女の寛子ちゃん」から「菜々子のブランドの寛子ちゃん」と呼ばれることが定着。寛子が所属する神女4人グループ、また亜由香率いる南女松蔭7人グループは、神女・南女・松蔭の1回生の中での2大グループとなっていた。
さらに、寛子は甲南の弘孝とデートを重ね、お付き合いを始めた。そう、このときは何もかも順調だった。
…しかし寛子の順風満帆な女子大ライフに、だんだんと暗雲が立ち込み始めた。
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第6話:神戸嬢であることには“税金”がかかる。会費1万5千円の誕生日会から透けて見える、女の友情
「寛子ちゃん、月末は圭子の誕生日会やから空けといてな!」
夏穂が、寛子の肩にポンと軽く手を置きながら、声を掛けてきた。夏穂は古株のスタッフで、今では菜々子の右腕である。そんな彼女から知らされたのは、圭子の誕生日会の開催だった。
“誕生日会”という名のもと、ブランドで働く女の子たちが一堂に会するのである。寛子が憧れていた、“神戸嬢”の最も華やかな女子会だ。いつもの寛子なら、きっとこんな風に素直に喜べていただろう。
―いつも見ていたあの会に、わたしが参加者になれる日がくるなんて・・!
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第7話:「神戸生まれ・私立育ち・外車所有」の男じゃないと、付き合えない?神戸に住む男女の恋愛事情
―あれ、もしかして圭子さん・・・?
それは、圭子だった。少し離れたところからでも、派手な服装に華やかなオーラを纏う彼女はどうしたって目にとまる。アルバイト先から少し離れたところにスタバはあったが、その1本裏側の細道の歩道で圭子は誰かを待っているようだ。それは、圭子の帰り道とは明らかに違う。
寛子がスタバに行くには、その前を通過しなければいけない。どうしようかと一瞬ためらったその時、圭子の前に一台の車が近付いていった。
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第8話:関西の「読者モデル全盛期」から早10年。アラサーになったカリスマ神戸嬢が感じる、焦燥感
由美子と圭子は、ちょうど20代前半で結婚。由美子には3歳になる可愛い長男がいて、圭子の結婚相手は学生時代から付き合いっていた彼だ。寛子を含めた残りの3人は、独身のまま。
ちょうど、周りの友人の半分が既婚者、半分が独身。既婚者のうちの半分に子どもが居て、独身のうちの半分に彼氏が居ない。寛子たちも、そういう年頃になった。
“神戸嬢”であったあの頃の時代は終わり、“元神戸嬢”になったのだ。“元神戸嬢”、新しい時代の幕開けとなる。
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第9話:神戸に乱れ咲く“読モ発ブランド”。元神戸嬢たちの、第二次戦争の実態とは?
―可愛いけど、会社には着て行かれへんなあ。
ふわっとしたAラインのシルエット。柔らかなベビーピンクカラー。大学生の寛子なら、迷わず購入していた大好きなテイストだ。今では、全くピンと来ない。
「あの…。寛子ちゃんですか?」
第9話の続きはこちら
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