神戸嬢戦争 Vol.3

「それ、どこの?」が合い言葉。神戸嬢にとって、女友達も彼氏も“ブランド力”が命

アラサーの神戸嬢を語るには欠かせないある“時代”が、神戸にはあった。

2000年代初期、今なお語り継がれる関西の「読者モデル全盛期」だ。

それは甲南女子大学・神戸女学院大学・松蔭女子学院のいずれかに在籍する、容姿端麗な神戸嬢たちが作り上げた黄金時代である。

しかし時を経て読モブームは下火となり、“神戸嬢”という言葉も、もはや死語となりつつある。

高校時代から神戸嬢に憧れていた姫路出身の寛子。神戸女学院大学の入学式で読者モデルにスカウトされ、華々しく“神戸嬢デビュー”を果たす。

その後大学の友人・由美子に誘われ、カリスマ読者モデル・菜々子がプロデュースするブランドでのアルバイトが決まる。アルバイト初日、個性強めなカリスマ店員・圭子と亜由香という人物に出会うが…?


「そういえば、寛子!昨日アルバイトどうやったん?」

利恵が、興味津々と言った様子で寛子に尋ねてきた。

菜々子がプロデュースするブランドで働いている女の子たちはいつも、神戸嬢が格好のゴシップネタになる。中学から女子校育ちの利恵は、ゴシップネタに詳しい。

その日は、5月の新緑がまぶしい日だった。あまりにも良い天気なので、寛子たちは図書館横のシェイクスピアガーデンで、急遽休講になった時間を持て余していた。

「なかなか、大変そうやわ」

この時期、シェイクスピアガーデンのバラたちは華麗に咲き乱れる。圭子のきつい態度を思い出すと憂鬱な気分になったが、視線に入った色とりどりのバラたちを見ていたら、少しだけ気が紛れてきた。

「…でも、由美子のおかげでせっかく入れてもらえたし頑張る。亜由香ちゃんもいい子そうやし」

女学院のシェイクスピアガーデンは、シェイクスピアの作品中に登場する100種ほどの植物を集め開園したらしい。

―名前って一体なに?バラと呼んでいるあの花をなんと呼んでも美しい香りは同じ。

これは、ロミオとジュリエットの中に出てくるセリフだと聞いた。

寛子はそれを、今の自分と少し重ね合わせてしまう。

たとえ「神戸出身」「内部出身」でなくとも、このバラたちのように美しく咲くのだと。神戸嬢だらけの花園で。

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