京都ちゃん Vol.6

婚約破棄をした女には「はみ出し者」のレッテル。悪目立ちは御法度の、京おんなソサエティ

葵祭の斎王代も務めた生粋の京おんな・鶴田凛子(26歳)は、西陣で呉服店を300年以上営む京野家の跡取り息子・京野拓真と婚約中。

しかし義母の過干渉が凛子を苦しめる。

そんな中、憧れの先輩・南條桜子から聞かされた婚約破棄の事実とその本音

さらに京大卒・東京のIT企業で働く竜太から食事に誘われ、密会した凛子は竜太の言葉に心が揺れる。

義母の横暴はエスカレートする一方だが、婚約者・拓真は事なかれ主義。

我慢の限界に達した凛子は桜子を呼び出すが、逆に彼女から「話したいことがある」と切り出され…。


桜子の報告


「私も、報告したいことがあるんよ」

桜子はそう言うと、一呼吸置くように下を向いた。

そして再び顔を上げた桜子は、あまりにも意外な言葉を口にしたのだった。

「私…京都を出ていく。東京行くことにしたから」

「え…!?」

凛子の友人にも、東京で暮らしている子は何人かいる。

しかしそのほとんどは県外出身者で、凛子や桜子のような生粋の京おんなが京都を出て行くなどという例は、皆無に等しい。

「東京って…桜子さん、ひとりで?」

桜子の実家は、未だ振興の部類の呉服店。家業は年の離れた兄が早々に継いでいるから、桜子が家を出て行くこと自体は特に問題ないのだろう。

とはいえ、わざわざ、なぜ、今このタイミングで?

−やっぱり、婚約破棄の一件が関係してるんかな…。

京都は、狭い。

それに、凛子と同じく桜子も、斎王代まで務めた有名人でもある。

何かをされるということはなくとも、どうしても居心地の悪さを感じてしまうだろうことは、想像に難くなかった。

しかし、驚きと不安で顔を曇らせる凛子とは対照的に、桜子はさっぱりと、晴れ晴れとした表情で言葉を続けた。

「実は、ジュエリーブランドを立ち上げることにしたんよ。祖母の代から懇意にしてる宝石商があるんやけど、私が話をしたら、ぜひ一緒にやりましょうって言うてくれてね。

誰にも話さんかったけど...私、昔から夢やったんよ。お着物にも合うような和のモチーフで、京都らしいジュエリーを作るの」

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