京都ちゃん Vol.4

京都ちゃん:箱入りお嬢様の秘め事…婚約者を裏切ってまで、別の男と密会した夜

京都に3代以上継続して住まう家の娘だけが名乗ることを許される、“京おんな”の呼称。

葵祭の主役・斎王代をも務めた生粋の京おんな、鶴田凛子(26歳)は、西陣で呉服店を300年以上営む京野家の跡取り息子・京野拓真と現在婚約中。

しかし過干渉の義母にすべてを仕切られる窮屈な縁談に、早くも疑問を感じ始める。

そんな中、憧れの先輩・南條桜子から聞かされた婚約破棄の事実とその本音

桜子に共感を覚える凛子を、義母の横暴がさらに苦しめる。

我慢の限界に達した時、実母から、京大卒で東京のIT企業で働く竜太が、京都に帰省していると聞かされる。


2つの誘い


“土曜の夜、『比良山荘』まで月鍋食べ行こう。”

義母の横暴で疲弊しきった凛子はその夜、早々と自室のベッドに横たわっていた。

お詫びのつもりなのだろうか。拓真から届いたLINEを、凛子は暫しぼんやりと眺める。

『比良山荘』は京都から車で約40分。知る人ぞ知る滋賀県・大津にある料亭で、季節限定で楽しめる熊肉のお鍋、月鍋が絶品と有名だ。

高級であることはもちろん、予約困難で知られるが、拓真の母…つまり義母が持っていた枠を譲ってくれたらしい。

婚約者とともに、予約困難な有名料亭でディナーデート。

事実だけを並べれば、なんて幸せな予定なのだろうか。

しかし…。

凛子は、これっぽっちもときめかない自分に余計悲しさを感じて、枕に顔を埋める。

拓真への返事を送る気になれず突っ伏していると、今度はメッセンジャーの通知音がして、凛子は再びスマホを握りしめた。

メッセンジャーで連絡してくる相手には…心当たりがあった。

“凛ちゃん、久しぶり!いま京都に帰ってきてるんやけど、土曜の夜もし時間あったらご飯でもどうかな?”

それは…凛子が待ちに待っていた連絡だった。

“今日、四条のお店で凛ちゃんのお母さんと会うて話したら懐かしなって。元気にしてるか?”

−竜くん!

それまでの倦怠感が嘘のように、ドキドキと高鳴る胸。

母に「竜太くんが京都に帰ってきてる」と聞いた時から、もしかしたら連絡があるかも…と期待していた。

けれどもまさか、拓真からの誘いと同時に、同日を指定されるとは。

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