2016.11.21
二子玉川の妻たちは Vol.1結婚は、女の幸せ。
そう考える種類の女にとっても、しかし結婚は必要条件に過ぎない。
結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。
私はもっと、もっと上に行ける。
“何者か”になることを求めて、妻たちは次のステージへと駒を進める。
新妻の、飽くなき欲望
「行ってらっしゃい❤」
7:50
まだ新しい匂いが残る玄関で、由美はスーツ姿の夫・雄太の背中を追った。新妻の必須アイテム、白いフリルのついたエプロンを身に着けて。
笑顔で手を振る由美。笑顔は由美の武器だ。中の上のルックスであっても、女の笑顔はお金になることを、学生時代、キャンペーンガールのアルバイトで学んだ。
「寒いから、中でいいよ。」
6つ年上、34歳の夫・雄太は、そんな由美を可愛くて仕方ないと言わんばかりの表情で振り返る。雄太の愛溢れる眼差しを確認した後、由美は静かに扉を閉めた。
よし、任務完了。
◆
主婦憧れの街、二子玉川に新居を構えることは、由美の願いだった。
42階建てタワーマンションの8階。南向き18畳のLDKを内覧した時、由美は、満足気に頷く雄太に笑顔を返しながら、「ここが限界か…」と心の中で呟いた。
由美が通っていたポーセラーツサロン「Luxe」のマリ先生の豪邸のLDKは、30畳あった。それと比較して、由美は雄太に気づかれないよう、小さく溜息をつく。
垣間見てしまった、上流階級の生活。しかし、それを雄太に求めるのは酷というものだ。
日本を代表する総合商社で毎日勤勉に働き、7,000万を超えるローンを背負う覚悟を決めてくれた雄太に、感謝しなくては罰が当たる。
◆
寝室に戻った由美は、クローゼットから、この日のために買っておいたFOXEYのワンピースを取り出した。
今日は、由美にとって特別な日。由美のポーセラーツサロン「Brilliant(ブリリアント)」が、いよいよオープンする。
10万円を超えるワンピースは、由美の普段着の5倍近い値段で躊躇したが、これは必要経費なのだと自分に言い聞かせた。
実際、マリ先生もそうだしサロネーゼたちは皆、制服のようにFOXEYのワンピースを着ている。
私たちはステージが違うのよ、とでも言うように。
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