はいすぺさんが通る Vol.12

ハイスペック女子は、本当に幸せなのか?「はいすぺさんが通る」全話総集編

容姿、学歴、収入。男のスペックは高ければ高いほど良い。

が、同じだけのスペックを女が持ち合わせたとき、果たしてそれは本当に幸せなのだろうか。

東京にはある一定数、女ながらも男並みの「ハイスペック」に恵まれた層が存在する。

傍から見れば完璧な彼女達には、ハイスペックであるが故の葛藤があった。

「はいすぺさんが通る」一挙に全話おさらい!

第1話:にゃんにゃんOLを鼻で笑う24歳外銀女子が、絶対口には出さない本音

世間の持つイメージ通り、外銀でのキャリアは楽ではない。海外チームとのカンファレンスコールが入れば深夜2時だろうが朝4時だろうが起きて対応する。

入社2~3年目の若手社員でも、20万近い家賃を払って西麻布や広尾、麻布十番に住む者が多いのは、何も別に贅沢や華やかさのためだけではない。何かあった時に5分でデスクに戻れるように、オフィス至近に住む必要があるからだ。

楓はこの春入社3年目に突入したばかりだが、同期の半分近くは既にこの会社を去っていた。

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第2話:男が言う「頭の良い女性が好き」を信じたハイスペ女子の悲劇

一時の遊びとして彼女達と過ごす暇があるなら、仕事や趣味に打ち込んでいたかった。

だからこそ、彼女にするならお互いにきちんと理解し尊重し合える相手、と決めていた。そしてそれは、パートナーの選び方としては間違っていなかったと思うが、元カノ・楓とは、お互い「不幸」になっただけだった。

「互いを理解し、尊重し合える」というのは必ずしも、「2人が同じような価値観を持ち、同じレベルのスペックを持つ」ということでは無かった。当時の僕はそのことに、まだ気づいていなかったのだ。

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第3話:商社マンとのお食事会。聞かれるのは年収、家賃のことばかり

楓は、高給取りが偉いなどと思ったことはこれっぽっちも無い。

確かに外銀でのハードワークは高給によって報われているとも言えるが、必ずしも人の仕事ぶりや努力と給料は比例しない。金融という業界が高いマージンで回っているだけだし、その会社の構造だって関係してくる。

ー私の方がお給料高くたって、自分のしてる仕事に熱意と自信があったら、そんなこと気にする・・・?

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第4話:ハイスペ女子の終わりなき苦悩。プライドが許さなかった「普通の幸せ」

何なのだろうか、この違和感は。彼は名前ばかりは役員だが、話を聞くとほとんど仕事はしていないようだった。平日も日中からゴルフや趣味の習い事で予定は埋まっているという。

「まあ国内だけだとこれ以上事業は大きくできないからさ。俺は積極的に海外展開を進めていきたいんだよね」

自分はほとんど何も事業自体には関わってないのに、まるで自分が会社を引っ張っているみたいな言い方だ。楓は、もう一度曖昧に笑いながら頷いた。

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第5話:気になる男の薬指から指輪が消えた理由は…?恋愛も正攻法で突き進むハイスペ女子

「おい高野、今日お前ため息つき過ぎじゃないか?ソワソワしてお前らしくないぞ。」
「・・・すみません!全く自分では気づいてませんでした。」

向かいのデスクに座る先輩から声をかけられ、はっとする。今夜楓は、須藤と食事の約束をしていた。

デスク上に壁のように立ち上がる大型ディスプレイのおかげで、向かいに座っていても互いの顔が見えないのが救いだった。

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第6話:気になる男性から度重なる誘い。距離を近づけようと目論むも、待っていたのは非情な現実

「高野さん、いらっしゃいませ。もうお連れ様お見えになってますよ。」

『セレブール』の玄関ドアを押し開けると、楓も馴染みのマネージャーがにこやかに出迎えてくれた。ここは、楓の大好きな熟成ブルゴーニュをグラスで楽しめるだけでなく、遅い時間でも手間暇かけられた丁寧な料理を頂ける貴重なお店だ。

「奥の個室にご案内しております。」

―・・・個室?

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第7話:「普通のサラリーマン」では許してくれない。はいすぺさんの結婚を阻む、親という存在

「彼、優しくて良い子なのはママも分かるわよ。でも、うちの病院のことも少しは考えてくれる?」
「・・・そんなこと言ったら、お医者さんとしか結婚できないじゃない。」
「それで良いじゃないの。いくらあなたが優秀だって、女一人で病院経営は大変よ。」

―この話をするのは何度目だろうか。

いい加減聞き飽きた母親の言葉に疲れ、お鮨に意識を戻そうとしたその時。母親の口から発せられた一言に、美里の箸は止まった。

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第8話:キャリアの妥協なんて認めない!自分にも彼氏にも厳しい、はいすぺさん的恋愛法

「俺はねえ、美里のためだったら何だって良いの。・・・ぜんっぜん、後悔なんかしてない。」

-・・・後悔?何のこと?

啓太の声は自分に言い聞かせるようで、小さかった。が、美里はそこに、聞き流せないような、何か切羽詰まったものを感じた。横を歩いていた啓太の前に回り込んで、彼の顔を見上げる。

「・・・啓太。何の話?」

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第9話:社会的信用を手放してでも、初めて「リスク」を受け入れた、はいすぺさんの決意

「え、えぇーーーー!?」

『ウエスト 青山ガーデン』店内に、素っ頓狂な声が響き渡った。

「楓、声大きい!そんなにびっくりしなくても。」

美里は苦笑いしながら珈琲をすすった。

「ごめん、でもいきなりワシントンで働くなんて言われたら、それは驚くでしょう!」

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第10話:「こうして僕は身を引いた」。男が語る、はいすぺさんとの一筋縄ではいかない恋愛

「その子には、『個人的な興味』は無いのよね?」

―個人的な、興味。

無いと言えば嘘になるが、とはいえ自分も「個人的な興味」だけで人を推薦したりはしない。そう思ったのを察したのか、松井は続けた。

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第11話:見ないフリをした「1%の迷い」。自分の恋心を見くびった、はいすぺさんの誤算

クリスマスツリーの照明が、リビングに流れる重たい沈黙にそぐわず、チカチカと明るく点滅していた。美里の実家では、毎年本物のモミの木を取り寄せて飾り付ける。天井まで届く大きなツリーに、トナカイやサンタ、アンティークのオーナメントがたっぷりと煌く。

「・・・本当にごめんなさい。ママ達が今まで私にしてきてくれたこと、本当に感謝してる。期待に応えられなくて、本当にごめんなさい。」

沈黙に耐え切れず、紅茶でも入れようと美里はソファを立った。

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