はいすぺさんが通る Vol.4

ハイスペ女子の終わりなき苦悩。プライドが許さなかった「普通の幸せ」

容姿、学歴、収入。男のスペックは高ければ高いほど良い。

が、同じだけのスペックを女が持ち合わせたとき、果たしてそれは本当に幸せなのだろうか。

東大卒・外銀勤めの楓はいわゆる「ハイスペック女子」。

元カレ・敦に偶然遭遇するも、敦の隣に居たのは自分とは真逆の「にゃんにゃんOL」だった。

職場でも指摘されてしまった通り、「女子力」も世渡りには必須。そう覚悟を固めた楓はお食事会への参戦を決めるも、商社マンとの年収格差がわだかまりとなってしまった。

女子力を発揮するには、まずときめける相手を見つけることだと美里に諭され、食事会に再チャレンジするも・・・


「それでね、僕はタイでも事業展開したいんだよね。今さ、前よりだいぶマンション価格下がってるし、買い時だと思うからさ。」

「・・・へぇ、すごいですね!タイでもお仕事出来たら楽しそう。」

ータイのマンションとか、明らかに今供給過多じゃない・・・?今買うって、大丈夫・・・?

楓の心の中はクエスチョンマークだらけだが、ここで心に浮かんだ疑問を正直に口にすればまた、「何でもかんでも議論したがる女」になってしまうのでは・・・。

一瞬口から出かけた言葉を飲み込み、楓は教科書通り「さしすせそ」の「す:すごいですね」でなんとか返事を絞り出した。

正直、全く気持ちはこもっていない。

彼は典型的な二世くんだった。父親が不動産会社を経営しており、彼はそこで役員を務めている。

先週、お願いした通り美里はお食事会のセッティングをしてくれて、彼とはそこで出会った。

彼も楓と同じく食事とワインが趣味ということで意気投合し、彼から二人での食事に誘われた時には、楓は内心ガッツポーズを決めた。

そして今晩、彼と『エルバ ダ ナカヒガシ』でディナーだった。

素材そのものが持つ旨味が際立つ一皿一皿も、それに合わせてくれるワインのペアリングも最高で、食事そのものは完璧だった。

ー趣味は合うんだけど・・・

何なのだろうか、この違和感は。

彼は名前ばかりは役員だが、話を聞くとほとんど仕事はしていないようだった。平日も日中からゴルフや趣味の習い事で予定は埋まっているという。

「まあ国内だけだとこれ以上事業は大きくできないからさ。俺は積極的に海外展開を進めていきたいんだよね」

自分はほとんど何も事業自体には関わってないのに、まるで自分が会社を引っ張っているみたいな言い方だ。

楓は、もう一度曖昧に笑いながら頷いた。

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