はいすぺさんが通る Vol.8

キャリアの妥協なんて認めない!自分にも彼氏にも厳しい、はいすぺさん的恋愛法

容姿、学歴、収入。男のスペックは高ければ高いほど良い。

が、同じだけのスペックを女が持ち合わせたとき、果たしてそれは本当に幸せなのだろうか。

東大卒・外銀勤めの楓はいわゆる「ハイスペック女子」。

久しく女子力とかけ離れた生活をしていた彼女は、学生時代の憧れの人に4年ぶりに再会し恋の気配を感じるが、なんと相手は楓のことを一人の女としては見ていなかった

一方楓の友人である女医の美里も同じくハイスペック女子だが、また違った事情で悩みを抱えていた。楓の助言により、一時それは解決したかに思えたが・・・


その日の啓太は、大分酔っているようだった。

美里は啓太と交際3年目に入るが、こんなに酔っ払っている彼を見るのは初めてだ。

-どうしたんだろう、普段そこまで飲まないのになぁ・・・

2人は恵比寿の『goloshita.』で食事を終えたところだった。

シンプルで飾らない調理法だからこそ素材の味わいが際立つこのお店は、2人のお気に入りだったが、一緒に来るのは久しぶりだった。

研修医1年目の美里も多忙だが、大手外資メーカーの幹部候補生としてキャリアに邁進する啓太も、最近は更に海外出張が増え、二人の予定が合うことは月に1、2度だ。

ピリッと冷たい空気が、酔いで火照った頬に心地良い。

自然とひと肌が恋しくなる季節でもある。

「美里、もう一軒寄ろう!」

「もう、今日はこの辺にしておこうよ。啓太結構酔ってるよ?」

「いや、行こうよ。俺は美里とずっと一緒に居たいの!」

酔っ払うと普段のクールな表情が嘘みたいに、啓太は可愛くなる。

美里は、先週母親と揉めた時に頭をかすめた迷いなんて嘘のように、目の前の男が愛おしくなる。

「今一緒に居るじゃない。今日だって、一緒に帰ろう、ね?」

啓太の手を取り、駅に向かって坂をのんびり下り始める。

「俺はねえ、美里のためだったら何だって良いの。・・・ぜんっぜん、後悔なんかしてない。」

-・・・後悔?何のこと?

啓太の声は自分に言い聞かせるようで、小さかった。

が、美里はそこに、聞き流せないような、何か切羽詰まったものを感じた。

横を歩いていた啓太の前に回り込んで、彼の顔を見上げる。

「・・・啓太。何の話?」

【はいすぺさんが通る】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo