はいすぺさんが通る Vol.5

気になる男の薬指から指輪が消えた理由は…?恋愛も正攻法で突き進むハイスペ女子

容姿、学歴、収入。男のスペックは高ければ高いほど良い。

が、同じだけのスペックを女が持ち合わせたとき、果たしてそれは本当に幸せなのだろうか。

東大卒・外銀勤めの楓はいわゆる「ハイスペック女子」。

元カレ・敦に偶然遭遇するも、敦の隣に居たのは自分とは真逆の「にゃんにゃんOL」だった。

職場でも指摘されてしまった通り、「女子力」も世渡りには必須。そう覚悟を固めた楓はお食事会への参戦を決めるも、商社マンとの年収格差がわだかまりとなってしまった。

そんな時、楓は4年前の憧れの人に、再会する。


「はぁ・・・」

金曜17時。

楓はソワソワとネイルをチェックした。

「おい高野、今日お前ため息つき過ぎじゃないか?ソワソワしてお前らしくないぞ。」

「・・・すみません!全く自分では気づいてませんでした。」

向かいのデスクに座る先輩から声をかけられ、はっとする。

今夜楓は、須藤と食事の約束をしていた。

デスク上に壁のように立ち上がる大型ディスプレイのおかげで、向かいに座っていても互いの顔が見えないのが救いだった。

15時を過ぎ、山積みのタスクに目処が付き始めた頃から、楓は心ここにあらずの遠い目をしたり、やたらとハンドクリームを塗ってみたりと、落ち着きがない。

ーなんてこと、17時前からソワソワ身だしなみを気にし始めるなんて、これじゃあまるで、にゃんにゃんOLだわ・・・

毛嫌いしてきたにゃんにゃんOLと同じようなことをしている自分にうんざりしながらも、楓は今となっては彼女たちに若干の、尊敬の念すら抱き始めていた。

人からどう見られるかを完全に計算しつくし、人に好かれるべく努力を尽くせるにゃんにゃんOL、恐るべし。

何か間違ってるんじゃないかと思うくらい、久しぶりのデートの準備は大変で、先週末はほとんどそれに費やされた。

普段は爪切りでパチパチと切りそろえるだけのネイルを、きちんとサロンで整え、美容室ではいつも「前髪邪魔にならないぐらいの長さで」としかリクエストしないところを、「女らしい感じで!」とリクエストし驚かれた。

モノトーンで埋め尽くされたクローゼットに危機感を覚え、半年ぶりくらいにデパートへ足を運ぶも、「男受けするかどうか」という視点で服を選ぶことが久しぶりすぎて半日ほどウロウロ彷徨った挙句、結局オフィス用に買っているブラウスを色違いで3色買い足した。

普段は時間短縮のためシャワーだけで済ませ、家で湯舟に浸かることなど年に1回あるか無いかだが、ここ数日は毎晩湯舟に浸かり、友人にもらったは良いものの出番のなかった入浴剤を使ってみたり、フェイスパックをしてみたりもしてみた。

普段省略しているこれらを全て積み上げると、とんでもない時間になる。

ー毎日これを続けられるなんて、すごいわ・・・

本番を前に、すでに疲れ切っていた楓は、再び深いため息をついた。

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