アモーレの反乱 Vol.1

アモーレの反乱:40歳初婚。リッチな夫が厳選したはずの「若く美しい妻」の罠と秘密

茫然とする僕にかまうこともなく、妻は店員を呼び注文を始めた。

オードブル、白子のフリット、カラスミのパスタ…

ここ数年でまったく肉を食べなくなった妻のメニューを選ぶ声が、エコーがかかりすぎたマイクの音のように聞こえてくる。

出会った頃は、何一つ自分で決められず「あなたに任せたい」と言っていた彼女が…今は僕に意見を聞くこともなく、迷わず注文していく。

パタン―。

重厚な革に包まれたメニューが閉じる音で、はっと我に返る。

動揺しているとは思われたくなくて、シャンパンを口に含み味わうふりをした。味のコメントを言いたいのに、気の利いた言葉が出てこない。

震えそうになる手を、テーブルの下、膝の上に置き、必死で平静を装う。

外は、雨。湿気が強いせいか、シャンパングラスは水滴をまとっている。妻の細い指が、それをなでるのが見えた。少し日に焼けたように見える左手。

薬指の指輪は消えていた。


結婚を機に、元麻布に新しく建ったマンションの3LDKを買い、一流のもので彼女を囲んだ。

美しいもの、本物と言われるものを、衣、食、住、すべてにおいて妻となった彼女に教え、育てたかった。

だからと言って「家に収まっていて欲しい」と思ったわけではない。

週に2度はハウスキーパーを雇い、決して家事に埋没させず、朝食を僕が作り、出勤前に優しく起こすということも多かった。

週1の外食は夫婦の決まりごとで、記念日も忘れない。妻も感謝こそすれ、わがままらしいことなど、一度も言ったことが無かった。

結婚して4年の間、一度も、いや、今この瞬間でさえ、離婚などとは無縁の夫婦生活だと信じてきたのに…。

最初に運ばれてきた、オードブルの4種盛り合わせの説明を終えた店員が去った後、ため息が聞こえた。そして、声も。

「あなたから…卒業させて欲しいんです。もう、弁護士さんにも相談しています」


▶NEXT:9月20日 水曜更新予定
次週、15歳年下妻が、驚きの「離婚条件」を突き付け夫に迫る!

この記事へのコメント

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No Name
10歳以上年下と結婚したがる男って精神的に幼稚だと思う。何も知らない女を自分色に染めたい、という欲望自体が気持ち悪い。
2017/09/13 19:3596
because
2年も経ったら女性は別人だって、船田さんも言ってました。。
2017/09/13 07:2171
ゆか
28の時に開業医41歳の人とお見合いしました。若くして完成された生活(自分の努力ではなく)に身をおいても、人生ゲームにずるしてゴールしたようで達成感を感じられない、自分の価値を見いだせくなるとお断りしました。あるいは、成功者のご褒美になんてなりたくない、という気持ちもあったのかな。
2017/09/13 07:5653返信3件
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