結婚は、女の幸せ。
そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。
結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。
おうちサロンをオープンし浮かれる由美だったが、同じマンションの最上階にカリスマサロネーゼ・マリが越してきて出鼻を挫かれる。
由美は策を講じ、アロマビューティーライフクリエイト協会に入会することで雑誌掲載のチャンスを掴んだ。
その甲斐あって、お嬢妻・薫をはじめ少しずつ生徒が集まり始める。新たに由美の元にやってきたのは…?
逃げたい女
「由美さんにお会いできるなんて!…私、夢みたいです。」
土曜の朝、『KOMAZAWA PARK CAFE』で、由美の前に座る女は大げさにそう言い、両手で口元を隠すしぐさをした。
最近よく聞く「ゆるふわ」という形容詞は、こういう女を表するためにあるに違いない、と由美はひと......
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