二子玉川の妻たちは Vol.6

二子玉川の妻たちは:カードを出し、利益を享受し合う。それが、妻社会での社交のお作法

結婚は、女の幸せ。

そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。

結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。

夢だったポーセラーツサロンをオープンして浮かれる由美だったが、よりにもよって同じマンションの最上階にカリスマサロネーゼ・マリが越してきて出鼻を挫かれる。

マリに対抗すべく、由美は読者モデルとして知名度のあるミカが立ち上げた「アロマビューティーライフクリエイト協会」に入会し、協会という仕組みを学ぼうとする。この作戦は奏功するか?


カードを出し合う。それが、妻社会での社交のお作法。


この日をずっと、首を長くして待っていた。
今日は由美が初めて掲載される(あくまで脇役だが)雑誌の発売日なのだ。

AM7:50 由美はいつも通り、白いフリルのついたエプロンを身に着け、夫・雄太を笑顔で見送る。

「よし、任務完了❤」

あまりにウキウキしているので、独り言まで最後にハートマークがついてしまう。

エプロンを外す間も待ちきれない。クリスマスに雄太がプレゼントしてくれたCHANELの長財布を握りしめると、由美は弾む足取りでコンビニへと走った。



「私、アロマビューティーライフクリエイト協会の会員第1号に立候補します!」

由美がミカLINEを送ったのは、およそ1か月前のこと。ミカからは、これまでにない速さで返信が返ってきた。

しかも、

「今度雑誌の取材があるのだけど、会員も何人か一緒に出てもらいたくて。由美ちゃんお願いできますか?」

そう書いてあった。

これまで由美はミカに、何度も遠回しに….いや、割とダイレクトに「私も雑誌に出たいな」と告げてきた。しかしいつになっても紹介してもらえず、どうすれば雑誌の撮影に呼ばれるのか尋ねてみても、適当に流され教えてもくれなかった。

それが、向こうから、ミカから「一緒に雑誌に出てほしい」とお願いしてきたのだ。

驚きとともに、由美はようやくミカとの付き合い方を理解した。

正攻法や情に訴えても意味がない。

まずはカードを差し出し、自分が有益な存在であることを知らしめる必要があったのだ。

【二子玉川の妻たちは】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo