
~加速するグローバリゼーションのなか、国というカタチにこだわるのは、もう古い~
迷ったら困難な方に行く
金丸:独立されてから、しばらくは学習されていたんですよね? ビジネスモデルをどうするかとか。
三木谷:いや、こういうタチなんで、悩んでいるよりはまずは何でもいいから、売上立てようと思って、当時関わっていたディレクTV設立のコンサルティングをそのままやってたんですよね。興銀からもそのままやってくださいって言われたんですよ。
金丸:その最初に作った会社が「エム・ディー・エム」でしたか?
三木谷:「クリムゾングループ」という会社ですね。企業買収やジョイントベンチャーの育成を支援する会社です。そこでは色々とやりました。グーグルの前身であるインクトミという会社を連れてきて、「goo」という検索エンジンを作らせたり。
そういったお金で、楽天の原型のビジネスを始める訳です。最初は社内事業だったのですが、その後、「楽天市場」の副タイトルだった「Magical Digital Market」の頭文字をとって別会社にしたのが、「エム・ディー・エム」です。
金丸:初めて三木谷さんと交換した名刺の会社はそこでした。その頃に、偶然にも大阪で商売をしていたうちの弟にも、できたばかりの「楽天市場」の店舗加盟の営業をされていました(笑)
三木谷:そんなこともありましたね(笑)。5月に楽天をオープンする予定で、2月くらいから営業を開始して。その当時は今日は広島だ、福岡だ、と全国いろんな場所を飛び回っていました。とにかくがむしゃらでした。
金丸:まさに『楽天』という名前が誕生したころの話です。
三木谷:名前といえば、会社のネーミングも迷ったんですよ。当時はe-なんとかだ、なんとか.comだの恰好良い横文字系が多かったのですが……迷った時は、変なほうに行こうかなと。
金丸:私もそう。迷ったら困難な方に行きます。そういえば、会ったばかりの時に「三木谷」って名前で僕が一人だけ知っている人がいて、母校の大学の先生に「三木谷良一」という経済学の有名な先生がいるんだけど……なんて話をしたら「あっそれ、私の父です」なんてこともありました。
三木谷:そうでした(笑)。人って不思議といろいろとつながるんですよね。