
~加速するグローバリゼーションのなか、国というカタチにこだわるのは、もう古い~
「いつか」ではなく「今」やる転機となった「阪神大震災」
金丸:さて、三木谷さんの一番の人生の転機というのはいつだったんですか?
三木谷:阪神・淡路大震災が大きかったですね。その頃はまだ興銀(日本興業銀行)に勤めていて、ソフトバンクの孫さんのM&Aアドバイザーをしていました。私は東京にいたんですが、家族は皆あっちにいて。会社に行ったら同僚が『関西が大変なことになってるぞ』と。
それでテレビをつけたら阪神高速も倒壊してしまっていて、これはエライことになったと感じました。それからなんとか両親とは連絡がついて、無事を確認できました。ですが祖母の安否はわからなかったんです。どうすることもできず、呆然と会社の会議室で震災の様子を伝えるテレビを観ていたら、亡くなった方々の名前が流れてきて、その中に叔父と叔母の名前がありました。
それを観た瞬間、居ても立ってもいられなくなって現地に向かいました。通常のルートからは当然無理で、もうほとんど野生の勘で試行錯誤してなんとか岡山から現地に入りました。現地は大変な状況で、友人3人も亡くなっていました。
金丸:その時に感じたことがあったということですね。
三木谷:とてつもない事が突然にして起こるものなんだ、と思いました。一週間ほど被災地にいたんですが、その時にすっと、自然に起業を決意していました。
以前からいつかは自分でなにかやるんだ、とは漠然と思っていましたが、「いつか」じゃなくて「今」だなと。「今」やることこそが大事なんだと思ったんです。それまでは、モヤモヤしていたところもあってなかなか行動に移せなかったんですけど。
金丸:大きなキッカケになったんですね。会社を辞めることはキャリアの中でリスクを取ること。ただその決心をしたことで、今の世界の「楽天」があるわけですね。