結婚するか、しないか。
子どもを持つか、持たないか。
キャリアを追い続けるか、それとも手放すか。
私たちは、人生の岐路に立つたびに選択を重ねてきた。
女性の場合、ライフステージに応じて人間関係も変化していく。
同じ境遇の人と親しくなることもあるが、それは一時的なつながりにすぎないことも多い。
何にも左右されない“女の友情”は、本当に存在するのだろうか。
それとも――友情にも「賞味期限」があるのだろうか。
「友情の賞味期限」一挙に全話おさらい!
第1話:「男の人ってズルい…」結婚して子どもができても、生活が全然変わらない
麻布十番には蕎麦店がいくつかあるが、私はここが一番好きだ。特にクルミだれせいろは、家族で来ても必ず頼む定番で、濃厚な胡桃が細打ち蕎麦によく絡むのがたまらない。
いつもどおり美味しい。それは間違いないのだが、私はどこか心ここにあらずだった。
ママ友との距離感の取り方は、難しい。仲良くできるのはもちろん嬉しいけれど、踏み込みすぎてはいけないし、踏み込まれすぎるのも困る。
例えば、圭太が夢中になっているアニメの話はするけれど、システム開発会社を経営している夫・将生のこと、私も役員であることは自分からは話さない…というように。
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第2話:久しぶりに夫の背中に抱きついたら…。38歳妻がショックを受けた、男の反応とは
「ねぇ由里子ちゃん…こんなこと、話すのもどうかな?と思ったんだけど。聞いてくれる?」
グラスをくるくると回しながら、愛梨がぽつりと話し出すので、私は「どうしたの」と言いながら、少し身を乗り出した。
「この前ね、夫のスマホに見たことのないアプリの通知があったの。たぶんだけど、出会い系っぽいんだよね」
“出会い系”だなんて言葉、久しぶりに聞いたなと思いながら、彼女の顔を見ると笑顔が消えていた。
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第3話:「彼といても孤独は埋まらない」代理店勤務の29歳男にハマる37歳女の抱える闇
数年前、あんなに仲が良かった由里子を避けてしまったのは私だ。それを彼女もわかっているはずなのに、先日の偶然の再会を機に連絡をくれた。その懐が深いところは相変わらずだな、と思う。
再会できたのは嬉しいし、日を空けずに誘ってくれるのもありがたい。けれど、正直、まだちょっと戸惑っている。
思えば、20代後半から30代前半まで、由里子とは毎週のように飲み歩いていた。中目黒からの恵比寿、西麻布からの六本木。話題の店はすぐに予約し、馴染みの店員がいるバーには必ず顔を出した。
だけど、由里子が結婚・妊娠したころから、関係は少しずつ変わっていった。
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第4話:37歳専業主婦、子どもを預けて夜遊びへ。21時の麻布十番で見た“ある真実”とは
「……あれ?」
21時すぎの麻布十番商店街。私は横断歩道の向こう側に見慣れた後ろ姿を見つけた。
見覚えのあるPRADAの白シャツに、レアだと自慢されたNIKEのスニーカー。その男性の隣には、肩までかかる茶色い髪を揺らしながら、ぴったりとくっついている人がいる。
「え?」
信じたくない光景が、そこにはあった。
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第5話:共働き夫婦。妻が買ったスーパーのお総菜に「体に悪い」と言い放った夫に妻は…
朝の送りが一番大変だったのは、イヤイヤ期が訪れた1歳の後半から2歳の頃だった。4歳になったら楽になるよ、と会社の先輩に言われた通り、最近は割とすんなり保育園に行ってくれている。
けれど、別れ際の美桜の寂しそうな表情を見ると、胸がぎゅっと締めつけられるのはずっと変わらない。
― どうか、今日は定時で上がれますように。
そう祈りながら交差点で信号を待っていると、ブルッとスマホが震えた。
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第6話:「誕生日にLINE来ない…」彼との関係に終わりの予感を感じる、38歳独女の夜
「ねぇ、次は一緒に撮ろうよ」
「おっ?やっと、僕がカメラマンじゃないことに気づいてくれました?」
颯斗は笑いながら私に肩を寄せた。
今日が、私の誕生日の前日だということを、颯斗は知っているはず。誘ったのは私だけど、颯斗はパークのチケットを取ってくれたし、ここに来るまでのタクシー代も払ってくれた。
もしかしたら、ディナーのあたりに“何か”があるかもしれない。そう期待に胸を弾ませながら、デートを楽しんだ。
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第7話:「離婚できない…経済力がないから」麻布十番在住、37歳セレブ妻の苦悩
「旦那さんには問い詰めたりしたの?」と顔を覗き込んでくるので、私は言葉を選びながら答える。
「ううん。もっとちゃんと証拠がないと、逆ギレされるか誤魔化されそうだから…」
「じゃあ、見てみぬフリで終わり?」
まりかはカレーをすくっていたスプーンを置いて、まっすぐこちらを見た。
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第8話:「卵子凍結しようかな」毎年、誕生日のたびに頭をよぎる30代女性の切実な思い
ー ヤバい。他の女性と会っていたという愛梨の夫の話の直後に、この話はまずかったよね。
私は反省したが、時すでに遅し。変な沈黙が訪れる…。
外で働いていない愛梨には、異性と関わることはほとんどないはずだし、ふたりで食事することなど真面目な愛梨はしないだろう。その時だった。
「ねえ、ちょっと話変えていい?……私さ、卵子凍結しようと思ってるんだよね」
まりかが、フレンチフライにたっぷりとわさびクリームをつけながら、明るい声を出した。
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第9話:「恋愛がしたいのか、結婚がしたいのか…」こじらせ38歳女の本音
「……まりか、久しぶりだね」
「何しに来たの?」
玄関に立つ彼は、いつも通りの少し無造作なヘアスタイルに、白Tとデニム。だけど、何となく表情が違って見えた。
「この前は、ごめん。本当に。ちゃんと話したくて。ってか、ちゃんと付き合いたいと思ってる」
「え?」
唐突すぎる言葉に面食らいながらも、私は彼の目から目を逸らせなかった。
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第10話:「離婚はしないけど、その代わり…」麻布十番在住の妻が、結婚5年でたどり着いた真実とは
3組に1組の夫婦が離婚する時代だ。永遠なんてものは幻想。存在しない。
そんなことはわかっているけれど、私は離婚を選ぶつもりはない。
というか、選べない。由里子みたいな盤石なキャリアも、まりかみたいにゼロから立ち上げるバイタリティもないから。
それでも…。それでも、何かを変えないと、きっと将生は同じことを繰り返すし、私も本来の私から遠ざかってしまう。
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第11話:「2人目が欲しい」と伝えた夜。夫の冷たい態度に、揺れる38歳妻の女心
パーソナルジムに通い出したおかげなのか、雅史の胸板が以前より厚みが増し、腕も太くなっていた。けれど、その腕に最後に抱かれたのはいつだったかも、今はもう思い出せない。
雅史がソファに座り、スマホをいじりながらグラスに炭酸水を注いだのを見て、私は口を開いた。
「ねぇ、雅史。今日さ、赤ちゃん抱っこしてる人とか、妊娠してるママ多くなかったよね」
「ん?そうだったかな」
“何が言いたいの”と無言で訴える圧力に耐えながら「あのさ…」と切り出してみた。
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