
トップソムリエが普段使いする店とは?
日本を代表するソムリエたちの回答から見えてきたのは、常に最高のワインを求める、無尽蔵の探究心だった。
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このワインバーを教えてくれたのは……
『ステラ・マリス』『タイユバン・ロブション』『タテル ヨシノ』を経て、2012年『エスキス』入店。
『ミシュランガイド東京2025』でソムリエアワードを受賞するなど、トップソムリエとしてワインの魅力を広めている。
【若林さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
メゾン・ジョセフ・ドルーアン/シャブリ レゼルヴ・ド・ヴォードン
「一言でいうと万能なワイン。香りには柑橘類、ハーブ、ミネラルがあり、酸味がエレガントで喉越しのよい軽やかな辛口の仕上がり。魚介類や塩味の鶏肉、豚肉によく合います。自宅はもちろん鮨、焼き鳥店でも!」
1.貴重なグランヴァンをグラスで、そんな贅沢が叶う高層階の隠れ家
『ミデール』@銀座
「銀座という場所でワインをサービスすることは、たやすいことではないと思っています」とは銀座『エスキス』の若林英司さん。
日本を代表するソムリエが仕事帰りにスタッフとともに訪れるという『ミデール』では、リラックスした時間を過ごしていると話す。
その理由は、ブルゴーニュやボルドーのグランヴァンがそろっているというだけではない。
グラスワインを用意するときは、ゲストと対話しながら30種類よりベストなグラスワインをチョイス。
グラス1杯のためだけにボトルワインリストから急遽提案することもあるという。
「サービスされるワインの温度やグラスの形状のセレクトが優れている」と若林さんが推すように、ワインに合わせて温度やグラスを巧みに変える。
気温や湿度によっては保管セラーを変え、最良のコンディションへと整えられている。さらに、比較試飲を楽しめるようにしたり、ディナー後のゲストには少量でサーブしたりすることも。
そして、一杯目の感想を聞いたうえで、二杯目は好みに寄り添った提案でゲストの心を掴む。
最上級のオーダーメイドサービスは、未知なるワイン体験。その極上のひと時を銀座で味わってみたい。
このレストランを教えてくれたのは……
2008年より同店勤務、2016年シェフソムリエに就任。カーヴにストックされた3,000種類25,000本のワインを熟知。
コースに合わせたペアリングはフランス各地域のトップワインを選りすぐり、ゲストを魅了している。
【高丸さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
メゾン・ジョセフ・ドルーアン/シャブリ
「シャブリで、大手メゾンとして初めて有機農法を実現した生産者です。引き締まった味わいの中にも柔らかさと上質さがあり、他とは一線を画すシャブリ。料理にも寄り添い、暑い季節の食卓を豊かにしてくれます」
2.カリフォルニアワインと赤身肉を存分に味わう刺激的な夜
『GRILL&DINING用賀倶楽部』@用賀
ソムリエとして扱うワインの9割がフランス産という高丸智天さんが訪れるのは、意外にもカリフォルニアワインが得意な『GRILL&DINING用賀倶楽部』。
「私にとってフランス以外のワインは、とても興味深く勉強になるもの。カリフォルニアワインはラベルも斬新なものが多く、目でも飲み手をワクワクさせてくれます」とほほえむ。
“用賀倶楽部”はグリル料理とカリフォルニアワインが楽しめるアメリカンダイニング。
臨場感のあるオープンキッチンからボリュームのあるUS牛のグリルが運ばれてくると、ぴたりと寄り添うワインセレクトで応えてくれる。
店内ではバイザグラスフェアが開催されるなど、アメリカワインに親しめる仕掛けを多数用意。
実は店内に250種類あるワインは小売りもされており、入り口付近にはワインが陳列され、購入ボトルは抜栓料¥1,100を払えば店内で楽しめる。
月に1〜2回、カウンターでの角打ちイベントやテラスでの試飲販売会が催されているのもうれしい。そこではパワフルなだけでなく、エレガントでナチュラルな最近のアメリカワインのトレンドを紹介。
楽しみながら自然にワインの世界に引き込んでくれるダイニングだ。
このビストロを教えてくれたのは……
2014年にコンラッド東京ソムリエチームに加入、2023年より現職。全日本最優秀ソムリエコンクール準優勝などコンテストでも活躍。
現在もソムリエ資格の最高峰「マスター・ソムリエ」に挑戦し、研鑽を続けている。
【森本さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
ブリュンデルマイヤー/カンプタール グリューナー フェルトリーナー テラッセン
「フレッシュかつ清涼感を感じるドライな味わいで、発泡性のワインではないのにピチピチと口の中ではじけるような快活なワインです。軽やかな味はどんな食材とも相性が良く、自宅でもピクニックにも最適です」
3.ご夫婦が営む温かなビストロで、トレンドなワインに出合う
『ビストロ ヨシミチ』@三田
国際的なコンクールの舞台に挑戦する森本美雪さんが通うのは、同じく女性がソムリエを務める『ビストロ ヨシミチ』。
地下にある隠れ家のような店内では、シェフの土居 均さんとソムリエの須藤亜希さん夫妻が温かく迎えてくれる。
「ワインリストは、王道のフランスワインをしっかり押さえつつ、コンクールや海外ソムリエ試験に挑戦してきた須藤さんの国際感覚で、今のトレンドを巧みに取り入れたセレクションです」と森本さんが推すとおり、実は須藤さんは森本さんのコンクール仲間。
本場フランスでも研鑽を積んだ土居さんのクラシックなフレンチに合わせて、メインは伝統のワインであるが、ニューヨークでマスターソムリエが造ったワインなどが変化球として提案されることも。
料理は黒板メニューからアラカルトで選べるが、コースにするとペアリングも可能。
「仔羊の骨付き背肉の燻製」にはメドック4級「シャトー・プリュレ・リシーヌ 2013」をオススメ。
「酸味と熟成感がありつつ、ほんのり残るハーブをベースにした複雑味が、羊の脂をさわやかにしてくれます」と丁寧な解説つき。
「鎌倉産農園野菜のテリーヌ」¥1,500。
気鋭のセレクトと繊細な気配りが心地よいビストロだ。
このレストランを教えてくれたのは……
2012年『レカン』入社。『トゥール・ダルジャン 東京』を経て、2019年にレカンに戻り、2023年より現職。
コンクール等で活躍するほか、33歳の若さで歴史あるレカングループの総支配人に就任し、ミシュランの星を獲得。
【近藤さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
ベデル・セラーズ/カベルネ・フラン ノース・フォーク・オブ・ロング・アイランド 2022
「ピノ・ノワールの代替品種として注目のカベルネ・フランを使ったニューヨークのワイン。感度の高い街で愛されているガストロノミーとファッションが融合したようなエレガントさが魅力。クオリティも素晴らしい!」
4.銀座の喧騒を忘れる空間で、銘醸地ワインを気軽に楽しむ
『L'atelier dé oto(ラトリエ ド オト)』@銀座
若くして銀座のグランメゾンの総支配人を務める近藤佑哉さんは「銀座シックス」にある『ラトリエ ド オト』を推薦。
「幅広い種類のワインをボトル、グラスで楽しめることはもちろん、空間もラグジュアリーかつ落ち着きのある内装が気分を高めます。この立地でディナータイムにグラスシャンパーニュを¥2,000台前半で楽しめるお店はなかなかありません」と称賛する。
ワインセラーには世界の銘醸地から届く250種類ものワインを用意。老舗インポーターが運営しているため、コスパにも優れている。
さらに会員になるとレストラン仕入れ価格相当でボトルワインを楽しめる特典もあるから見逃せない。
近藤さんがもうひとつの魅力としてあげるのが村田美月シェフの料理。
「人柄をそのまま写したような素材を活かした鮮やかでピュアな仕立て。フレンチのエッセンスもうまく融合しており、すべての料理で味わいの輪郭がはっきりしているのでワインが進みます」
「オトナのエビフライ」といった大人の遊び心のある一皿からイギリス伝統の「牛フィレ肉のウェリントン」まで、ワインリストを見ながら自由に組み合わせてみよう。
このワインバーを教えてくれたのは……
都内のイタリアンレストランを経て2019年より現職。イタリアワインを愛し、“ロゼワインの伝道師”としても活動。
『アルテレーゴ』は7月19日リニューアルオープン。21日までイベント実施、24日より通常営業を開始。
【松本さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
イル・カヴァッリーノ/ズガス ロゼ 2021
「爽やかな果実味とワインの旨みが特徴の微発泡のロゼワイン。カジュアルながらも幅広く家庭料理と合わせられる一本です。夏の蒸し暑い日に、よく冷やしてごくごくと飲むのがオススメです!」
5.プロもファンも魅了するイタリアワインバーの聖地
『bar & enoteca implicito(バール・エ・エノテカ・インプリチト)』@広尾
「『bar & enoteca implicito』が“イタリアワインバー”として長い期間、営業されているのはすごいこと。クラシックなイタリアワインを飲みたい時はもちろん、自分の店のワインやペアリングで行き詰まった時は、数多あるイタリアワインからインスピレーションを得ています」と松本時宙さん。
『bar & enoteca implicito』のオープンは2003年。北イタリア・ウーディネの活気あるワインバーをイメージして造られた。
店内には3,000本のイタリアワインがストックされ、日々30種類以上のグラスワインが開けられている。
オーナーの松永 聡さんはこれまで600軒以上の現地ワイナリーを訪問。その体験や知識をお店のYouTubeで公開している。
そのためプロに支持されることはもちろん、全国からイタリアワインのファンが訪れる聖地にもなっている。
「わざわざ来ていただいているので、リクエストがあればグラスワインで開けちゃいます(笑)」とのサービス精神も人気の理由。
最近はフレンチのソムリエもバローロの質の高さ目当てに訪れることも珍しくない。
インプリチトの“バンコ”には多様なイタリアワインを求める人を、今日も引き寄せている。
このワインバーを教えてくれたのは……
イタリア郷土料理店を経て渡仏。帰国後、『O2』のソムリエに就任。
大津シェフの五感を刺激する中華料理にナチュラルワインを提案。持ち前の味覚とセンスで料理を引き立てるワインのセレクトは評価が高い。
【大竹さんが選ぶ¥5,000の家飲みワインは?】
ファットリア・アル・フィオーレ/オオノ・フィールド・ブレンド ロッソ 2023
「ファットリア・アル・フィオーレでは自然の恵を分かち合うようにワインが造られています。小梅などの赤系果実のフレッシュさと旨み、余韻が広がる味わい。和の食材や中華とも相性抜群の食中のためのワインです」
6.造り手の潤沢な情報と共にナチュラルワインを学ぶ新体験
『IL BOLLITO +(イル ボッリート プラス)』@神楽坂
原産地呼称のルールに縛られないナチュラルワインは、造り手を知ることがカギとなる。
『O2』のソムリエである大竹智也さんはそんなワインの楽しみ方ができる神楽坂の『IL BOLLITO +』を推す。
「スタッフの皆さんは毎年現地の生産者を訪問されていて、店では友人のような造り手たちの地ワインが提供されています。実際の写真を見ながら造り手のバックボーンを知って飲むワインは、商業的ではなく人が感じられます」
“現地”とはイタリアのこと。ここではエミリア・ロマーニャ州の郷土料理とイタリアワインがいただける。
牛タン、牛頬肉、豚肉をエミリア・ロマーニャ州伝統の茹でた手法で食べる「茹で肉盛り合わせ」¥3,000、「クアルティチェッロ/ボルドーネ 2019」グラス¥1,200。
クリーミーにアレンジした「濃厚パルミジャーノの白いモンブラン」¥1,600。
店内に入ると、生産者のサインボードが壁に飾られ、その雰囲気をまず感じ取ることができる。
カウンターで25種類ほど用意された中からグラスワインを選ぶと、ボトルと一緒に生産者の写真パネルが差し出され、グラスにワインが注がれる。
「このラベルは生産者自身の顔なんです。似てますよね?」と店主の及川博登さんがゲストに話す。そんなところから会話がスタートし、生産者とのエピソードやワインの特徴が語られる。
ナチュラルワインの一歩踏み込んだ世界を教えてくれるワインバーだ。
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