2024.05.06
誰もが一度は聞いたことがある名店『銀座バードランド』。
焼き鳥店として初めてミシュランの星を獲得し、いまに続く焼き鳥人気の礎を築いた、この店の真価に迫る!
新しき常識を生み出した、現代焼き鳥の総本山
焼き鳥とワインを求めて、国内外の食通たちがカウンターを埋め尽くす
銀座に移転したのが2001年のことだから、今年ですでに23年。連夜の満席が変わらず続いている。
現代焼き鳥店のスタンダードも、元を正せば“バードランド”から。そんなエピソードに事欠かないレジェンド店である。
例えば、地鶏の使用はおそらくこの店が最初。旨みたっぷりの肉汁をとじ込めつつ、歯応え良く焼き上げた串は衝撃が走るほど美味しく、銘柄名を明示して生産者の姿勢まで伝えるスタイルが新しかった。
店主の和田利弘さんが振り返る。
「茨城の“奥久慈軍鶏”ひと筋です。オープンして間もない頃、週刊誌で紹介された記事を見つけて自分で生産現場を見に行ったのがきっかけ。同郷だし、一生懸命育てていたから扱うことにした」
創業は1987年に遡る。場所は阿佐ヶ谷で、和田さんもまだ20代の若さ。当初は駅の北側にあり、広さはわずか7坪だった。
その後、同じ街の南へ移る頃にはすでに高い焼きの技術と斬新な酒肴、ワインの充実ぶりで“焼き鳥の概念を覆す”と評判に。
いまや伝説ともなった、巨匠ジョエル・ロブションがプライベートで通う話がメディアで頻繁に紹介されるようになってからは、予約困難な人気店として名を轟かせていく。
「ロブションが最初に来たのは1996年。忘れもしない、開店記念日の前日だったから12月6日。鋭い目つきでやってきて焼き鳥を食べ、親子丼の卵の半熟加減に“フランス料理にない火入れ”と驚き、カジュアルな店なのに“シャトーヌフ・デュ・パプ”がリストアップされていることに感激していました(笑)」と和田さん。
銀座に移ったのは、和田さんの実力を認める『すきやばし次郎』の小野二郎さんに「私たちの隣でやったらどうです?」と誘われたから。
2009年にはミシュランの星を獲得しており、これは焼き鳥というジャンルで初の快挙だった。後進の育成にも貢献しており、超のつく人気店を営む職人を数多く輩出してきた。
業界の進化を先導してきたパイオニアこそ“バードランド”に他ならず、だからこのとおり、賑わう。
「手羽元 天然鮎の魚醤焼きは2年前に発案しました」と笑う和田さんの熱意も変わらず。飽くなき向上心で、今後も焼き鳥の未来を切り拓く。
いまでは当たり前になった、和田さんの革新的アイデア
デートでもおなじみの焼き鳥店だが、その評価を獲得した背景には和田さん発案のアイデアがいくつもある。
その代表的な4つをご紹介!
― Idea 1 ―
故郷の「奥久慈軍鶏」を一躍メジャーに!味わい豊かな地鶏を採用
ブロイラーが主流だった業界で地鶏を初導入。
「奥久慈軍鶏」に出合って以降も現場に足を運び意見交換を重ね、クオリティ向上にも貢献している。
「奥久慈軍鶏」は締まった肉質と強い旨みが特長。
肉は決して潰さず、「本人も気づかないうちに(笑)串に刺さっている状態がベスト」と和田さん。
備長炭を使ってほとんどいじらず焼き上げる。
「魚を焼くときも返すのは一回だけでしょ?」
― Idea 2 ―
緩急をつけた流れでデート需要にも応えた酒肴や〆を加えコース仕立てに
それまで串がほとんどだった焼き鳥店のメニューに、同じ鶏を使った料理をプラス。
コースとしての完成度を高め、焼き鳥の可能性を大いに広げた。
滑らかでコクもある「レバーパテ」は、「奥久慈軍鶏」の肝を丁寧に掃除するところが美味しく作るポイント。
鶏スープで作る「親子丼」。
卵はわずかに火が入った絶妙のふわとろ加減。生産現場で食べた卵かけご飯の美味しさから着想。
「奥久慈軍鶏」の卵と牛乳、砂糖のみで作る少し固めの昔ながらの「プリン」。卵が心地良く香って素朴な美味しさ。上品な甘さだ。
すべてコース(9,400円)より。
― Idea 3 ―
焼き鳥の旨みを引き出す“酸”に着目したワインとのマリアージュを提案
日本酒にない“酸”が鶏の脂を切り、次のひと口を美味しくするワインの効果を早くから実感。
試飲を重ね、多くの銘柄をそろえるように。
ワインリストはフランス産を中心に100銘柄以上。
グラスにもこだわっており、ワインのタイプに応じて形状の異なるものを用意する。
右から、ドイツの白「ファン・フォルクセン」1,200円、オーストラリアの赤「トルブレック」1,300円、シャンパーニュ「アルフレッド・グラシアン」2,200円(すべてグラス)。
― Idea 4 ―
フレンチから着想を得た部位も!希少部位の価値を見出す
各部位を再検証して分類し直し、それぞれの個性を際立たせる串の刺し方や味の調え方、焼き方を研究。
従来になかった部位を広めた。
「ソリ」は同店発祥の希少部位。
ももの付け根にある球状の塊肉で、フレンチでは“ソリレス”と呼ばれることを知った和田さんが命名した。
約2年前にメニューに加わった「手羽元 天然鮎の魚醤焼き」は丁寧に骨を抜いてから串に刺し、岐阜『泉屋』が天然鮎から作る魚醤を塗って焼き上げる。
「理想の焼き鳥を追求し続けます!」
1958年生まれ、茨城県出身。学生時代から焼きトン屋で働き、この道へ。進取の気性に富んだ理論派で、「シンプルである分、奥が深い」と、いまだに焼き鳥“道”に邁進する重鎮だ。
アラカルトで気ままに楽しめる分店もチェック!
『バードランド虎ノ門』
「虎ノ門ヒルズ」開業と同時に誕生した分店。
本店と同じ料理を提供するが、アラカルトを推奨し、ふらっと立ち寄れるカジュアルさだ。
■店舗概要
店名:バードランド虎ノ門
住所:港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 3F
TEL:03-5860-9804
営業時間:17:00~(L.O.21:30)
定休日:施設に準ずる
席数:カウンター20席
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