2024.05.02
美味しい日本酒と料理を嗜みながら、こじんまりとした和食店のカウンターでまったり…大人のデートに欠かせないシチュエーションのひとつだ。
今回は、恵比寿・人形町・銀座から、しっぽりと過ごせるおすすめの3軒をご紹介!
1.しっぽりと大人な空間で、美味しい料理と会話を楽しむ
『割烹 うづき』@恵比寿
若者の街・恵比寿ならあえて東口でしっぽりと
若手がにぎやかに飲み交わすイメージの強い恵比寿だからこそ、大人の空間を知っておきたい。
目指すべきは、恵比寿駅東口に潜む割烹だ。
◆
恵比寿というと、西口や「恵比寿横丁」近辺に若者がごった返し、騒がしいイメージが強い。
その点、こちらの『割烹 うづき』がある恵比寿駅東口から“ガプレ”に向かうエリアは穴場といえよう。
というのも、ガプレに行き来する人は駅のコンコースを使うため、相対的に人が少ない。その割にいい店が集っている場所なのだ。
店主の阿部誠司朗さんがこの地に店を移転したのは2017年。
「以前は五反田で20席ほどの店を構えていましたが、カウンター中心のこのサイズ感が気に入りました。お客様と近い距離で料理を出せるのがいいですね」
口数は少ないが実直な仕事をしてくれる店主と、屈託のない笑顔の奥様のコンビに安心感があるのだろう。店には移転前からの通う常連が多いという。
阿部さんは一見、職人気質だが、少し会話すると物腰のやわらかさに気付く。
「ずっと職人だったわけではなくて、サラリーマンを経験していたせいでしょうか」とはにかむ。
料理を志したのは、モノづくりが好きだったからだとか。ムダのない動きも見もの。
美味しい料理が確約されてこそ、お酒も会話もすすむというもの
料理は正統派な和食で、特にうにを使った料理に定評がある。
アラカルトで好きな料理も頼むもよし、5,500円からそろう「おまかせ」で委ねるのもよし。
「タラバガニと雲丹、汲み湯葉のポン酢ジュレがけ」2,400円。
いまが旬の魚とうにを組み合わせてポン酢ジュレで仕上げるアレンジは阿部さんの得意メニューのひとつ。花穂じそを散らして春の訪れを感じさせるひと皿に。
「太刀魚の雲丹巻き揚げ」2,400円~。
うにを太刀魚で巻いて天ぷらに。ふっくらとした太刀魚ととろけるうにの幸せな口溶けが楽しめる。
長く通う常連さんからも人気の「銀鱈の西京焼き」1,800円。
その日の天候や魚の状態に合わせて漬け加減を変える。
「黒毛和牛のたたき」(1,980円)はやわらかく、とろける食感が楽しめる。
【“いつもの”と言いたいオススメの一杯】
石川県の「手取川」をまずは味わって
お酒は各種そろうが、特に日本酒がメイン。すっきりした辛口純米や旨みのある純米酒が豊富。
石川県の吉田酒造店が作る「手取川」の季節ものは必ず用意されている。「手取川 春 純米辛口」1合 1,100円。
2.“お酒はおまかせで”と委ねれば、饒舌な時間は永遠と続く
『旬蕾』@人形町
控えめな杉玉を目当てに路地裏を行く余裕
和の情緒と下町風情が残る人形町。
粋な大人が集うこの街で、着物の若女将のおもてなしを受けながら、こだわりの日本酒を満喫する至福の時間が酒席を盛り上げる。
古い建物や老舗が残る人形町の路地裏に掲げられた杉玉。それが『旬蕾』の目印だ。
ひそやかなアプローチに始まり暖簾をくぐると、着物姿の女将・中村照葉さんが笑顔で出迎えてくれる。
紺地の割烹着がモダンな着物姿の女将・中村さんとの会話も訪れる楽しみ。毎日16時から営業しており、早めの時間はゆったりしているそう。
外回りの帰り道、背徳感アリな早い時間から楽しめるのも嬉しい。
割烹着の女将が、料理に合う最適なお酒をセレクトしてくれる
棚に並ぶのは、既視感のないラベルや珍しい銘柄の一升瓶。
同店は、ひとひねりある日本酒の品ぞろえが評判の、渋谷にある十割蕎麦と酒の店『umebachee!』の姉妹店。と聞けば、酒好きの興味を引くセレクトにも納得かつ信頼が置ける。
カウンター8席ほどと、こじんまり感も心地良く、女将と対話しながら料理やお酒を決めるのがこちらのスタイルだ。
ひとひねりある個性的なメニューが並ぶから、思わず長居してしまう
料理は和食を踏襲しながらも、焼売やチューリップ唐揚げ、アテ巻きなど、酒の杯が進む遊び心あるメニューが魅力。
味の良さはもちろん、安心できる素材選びにこだわり、妥協は一切なし。
能登半島「あんがとう農園」の無農薬野菜を使用した「旬野菜のお浸し」900円。
「三種のしゅうまい」(1,000円)は、成清海台のペースト、秋田のひろっこの酢漬け、糸島のミツル醤油のもろみ醤油の3つの味を楽しめる。
この日の刺身はヤイトガツオ 700円。
背は塩わさび、腹は漬けにして薬味と一緒に。魚は九州の鮮魚店から仕入れる。
水郷赤鶏の「二種のチューリップ唐揚げ」800円。
アテ巻きは常時6種!
柿酢を効かせたシャリが絶品な名物「アテ巻き」は全6種。
写真は「筋子巻き」1,500円。
「薬味巻き」「ナチュラルチーズ巻き」ともに1,000円。
【“いつもの”と言いたいオススメの一杯】
同店でしか飲めない希少な限定酒も味わえる
中村さんの右腕である、お酒担当の松岡さんによる明快な解説も心地良く、好みのお酒に必ず出合えるはず。
3.歓楽街の中心であえて落ち着くというのが、大人の余裕になる
『小料理志おり 花椿店』@銀座
銀座8丁目のビルの上階で京の味にホッとひと息
クラブのネオンが輝く銀座8丁目。大人の男ならば一軒くらいはなじみの店を持っていたいエリアだ。
そんな心情にうってつけな小料理屋が「見番通り」沿いの雑居ビルに潜んでいた。
「銀座に行きつけの小料理屋がある」。そんな台詞で誘いたくなるのが、8丁目のビルの2階に看板を掲げる『小料理志おり 花椿店』だ。
7丁目にある『小料理志おり 本店』が、創業時に店を構えていたテナントに姉妹店となる同店をオープン。
京都生まれのすてきな女将の接客で、普段とは違う心で語り合える
若女将に抜擢されたのが、本店で女将の片腕を担っていた片山貴美子さんだ。
カウンターに割烹着姿の若女将が立ち、スーツ姿の紳士たちを接客する風景は思い描いた大人の世界。
毎日自ら着付けをして、着物に割烹着姿で店に立つ片山さん。
「アパレル出身なので接客が好き。他愛もない日常会話が得意です。銀座だけどかしこまらずに寛いでくださいね」
料理は京都出身の若女将が作る、優しいお出汁のおばんざいが中心。
品書きに価格を載せない銀座の酒場の洗礼に少したじろぐが、ビールは1杯800円、おばんざいは1品500円程度という手頃さに驚く。
アラカルトで好きなようにオーダーしつつ、女将の出身地の京都のお酒に舌鼓。いい間合いで5品を提供してくれる「本日の肴セット」(5,500)円も人気だ。
オープン当初から人気の名物「彩り野菜のお揚げ巻き」(500円)は、鰹だしを吸わせた油揚げに、甘く炊いた野菜を巻いた京都らしい一品。
白味噌を隠し味に加えた、甘めの味わいが酒を呼ぶ「牛すじ煮込み」850円。
近江牛の挽肉を使った「肉じゃがコロッケ」850円。
【“いつもの”と言いたいオススメの一杯】
京都をはじめ関西の蔵元の銘酒が充実
若女将の愛らしい笑顔や心和む接客にファンも多く、彼女に会いに訪れる客も。
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