交換生活 Vol.14

東京には、夢と希望が詰まっている。いよいよ明日で最終話!「交換生活」全話総集編

東京に行って、誰もがうらやむ幸せを手に入れる。

双子の姉・倉本桜は、そんな小さな野望を抱いて大学進学とともに東京に出てきたが、うまくいかない東京生活に疲れ切ってしまい…。

対して双子の妹・倉本葵は、生まれてからずっと静岡県浜松市暮らし。でもなんだか最近、地方の生活がとても窮屈に感じてしまうのだ。

そんなふたりは、お互いに人生をリセットするために「交換生活」を始めることに。

暮らしを変えるとどんな景色が見えるのだろう?

29歳の桜と葵が、選ぶ人生の道とは――。

「交換生活」一挙に全話おさらい!

第1話:婚活に疲れ果てた29歳女。年上経営者からもらうエルメスと引き換えに失った、上京当時の夢

中嶋が店に入る時、彼はそれをスタッフに預けず、席の下に置いた。そのときから私は、その紙袋の中身が気になってならない。

期待してはいけないと思いながらも、袋の大きさからバッグかな?などと想像してしまう。

潤沢な資金がある中嶋のことだ。バーキンやケリーじゃなくても、ピコタンあたりなら全然ありうる。

中嶋とは男女の仲ではないものの、私のことを気に入っているのは間違いないし、長い付き合いだ。もうすぐクリスマスだし、そのくらいはもらってもバチは当たらないだろう。

「あ、桜ちゃん。これ忘れないうちに渡しておくね。大したものじゃないんだけど」

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第2話:焼肉ランチで離婚前“最後の夫婦デート”。12年一緒にいたのに、夫は呆れるほど無神経な一言を放ち…

高校時代は、野球部の部員とマネージャーだった夫と私。

付き合ったのは高校3年生の夏の終わり。あの頃は毎日が楽しくて仕方なかった。

彼から告白してくれて、私も、ユーモアのあるところや、男らしさにすぐに夢中になった。

17歳から29歳の今までの12年間、私は青春を彼に捧げ、結婚してからも妻として彼を支えた。

それなのに、こんなにあっけなくふたりの関係が終わりを迎えるなんて。

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第3話:「もう疲れた…」マッチングアプリをやめた29歳女が見つけた、意外と素敵な出会いのきっかけ

私は、しばらく浜松に住むことを決めた経緯を話した。

彼女が親友であることは間違いないのだが、東京に住んでいないと、微妙なニュアンスが伝わらない。だから、ザックリと“東京に疲れた”とだけ伝える。

「なんか、楽しそう!ってことは今、桜は、彼氏がいないんだよね?」

結衣がビール片手に私に聞く。

「うん、いないよ」
「…あ!こっちこっち!」

店の入り口に懐かしい人がいて、こっちに向かってくる。

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第4話:29歳女が、恵比寿でマッチングアプリの初デート!2軒目で連れていかれた意外な場所とは

恵比寿は大人の街のイメージだったが、意外にも若い人が多いし、美男美女もチラホラと見かける。

「東京って、やっぱり日本の中心だわ…」

そうつぶやきながら、スマホのマップを開く。これから、初対面の男性と食事をするのだ。こんな体験は今までの人生で一度もない。

私は男性が予約してくれたイタリアン『マンサルヴァ』を目指した。慣れない道で、無事に時間までに着くかドキドキしながら。

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第5話:東京で“高級店デート”三昧の女が、地元でドライブデート。連れて行かれた地方特有の場所に唖然

電話の相手は、マサキだ。先日、結衣と優馬と飲んだ日の帰りに出会い、連絡先を交換した相手。

LINEのやりとりしかしない優馬と違って、マサキは頻繁に電話をかけてくる。

東京で素性の知らない男と電話するよりは安心感があるし、浜松での生活に慣れ始めた日々の、適度なスパイスにもなっている。

「ねぇ、桜ちゃん。よかったら次の土曜日、昼から会わん?」

おやすみを言って電話を切ろうした時、マサキは私をデートに誘った。

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第6話:「2回の食事だけでブランドバッグが手に入るの!?」東京に魅了された地方出身の女に、男が放った一言

たった2回食事をしただけで、ハイブランドのバッグを買ってもらえるなんて、東京ではよくあることなのだろうか。それとも、本当に夢なのだろうか。

「こちら、いかがですか?」

店員が見せてくれる、いくつかのバッグ。

人気だというハンモックバッグやパズルバッグの他に、新作のトートバッグまでもが次々と目の前に広げられていく。

それらを手にして鏡の前に立ったとき、私は体験したことのない高揚感に包まれた。

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第7話:元彼と訳アリお家デート。飲みすぎたワインのせいで起こった“予想外のハプニング”とは

「じゃあ、また」
「うん、またね。連絡する」

優馬は私を送り届けると、別れを惜しむこともなく、すぐに浜松ナンバーの車を走らせていった。

帰り際にされた質問は適当にごまかしたが、彼は機嫌を損ねたようだ。

そりゃそうだ。デート場所を提案したのは私で、優馬は何日も前から楽しみにしてくれていたのだから。

― あぁ、もう。私のバカ!

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第8話:金曜22時、2軒目で連れていかれたホテルのスイートルーム。そこで男が放った“予想外の一言”とは

― 経営者フィルターを外しちゃダメだったかなぁ…。

そう反省してから、私は森田の話をさえぎる。

「そろそろ、メイン料理頼んでおきます?」
「あ、うん。そうだね」

彼は、黒板に書かれた牛フィレ肉のステーキをじっと見ている。ステーキは、最初にお店の人が勧めてくれたし、私もそれがいいと思っていたから安心した。

しかし…この後、とてつもなくダサい展開が待っていたのだ。

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第9話:「こっち見ないで…!」お家デートの翌朝、女がベッドの上で大後悔した理由とは

「あ…えっと、ごめん。今日は片付けなきゃいけない仕事があって…」

私は、嘘をついた。これ以上、優馬と仲良くなるのが怖かったからだ。私たちがまた恋人同士になったとして、そこに未来はない。

3ヶ月間の葵との交換生活。それが終われば、東京に帰ることが決まっている。それに、優馬からも付き合おうとは言われなかった。

「そっか。でもすぐ会おう。また連絡するわ」
「うん。気をつけて帰ってね」

優馬は、どこか寂しい顔をして帰っていった。東京にいるはずの中嶋から連絡が来たのは、その日の午後だった。

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第10話:付き合う前に家に行ってしまった…「こういうことよくするの?」と聞かれ、焦った女はしどろもどろに…

東京での生活も残り1ヶ月――。

マッチングアプリで出会った男性たちからは、食事をたくさんごちそうになった。

東京を知らない甘さから、ちゃんと痛い目にも遭った。だから、もう東京での異性との交流はこりごりなのだ。

東京でやり残したことがあるとすれば、女友達とおしゃれなカフェに行ったり、銀座や表参道でショッピングをしたりすること。

だから、料理教室に通うことが友達を作るキッカケになれば…。

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第11話:地元で広まったら面倒…「誰にも言わないで」深夜の個室居酒屋で、女が元カレに念押ししたこと

さっきの男は、私を時々高級店に連れて行ってくれる、便利な年上の経営者。そう素直に言ったら、優馬は私を軽蔑するだろうか。

優馬とは昨晩から今朝まで一緒にいた。しかも、「夜も会いたい」と言われていたのに、私は仕事だと嘘をついたのだ。

― はぁ。終わった…。

優馬は、私が浜松にいる間、東京での婚活疲れを癒やしてくれる存在だった。

それなのに、そんな小さな幸せを私は自分で簡単につぶしてしまう。

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第12話:「なんでこんなイイ家に?」月収20万の男なのに、恵比寿駅徒歩5分の高級マンションに住めるワケ

「料理教室の先生と生徒」という関係で出会った私たち。初めて食事に行った日から急速に仲が深まり、今では2日に一度の頻度で会っている。

私は東京で仕事をしていないから基本的に暇で、涼平も月4回の料理教室だけだから、割と時間があるようだった。

涼平の住んでいるマンションは、恵比寿駅東口から徒歩5分程度のところにある。

東京に詳しくない私でも、ここが高級マンションなのだということはわかる。

― 週に一度の料理教室の売り上げで、こんなにいいところに住めるの…?

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第13話:「好きだけど…別れよう」そう決心し、東京行きの新幹線に乗ろうとしたとき。ホームに現れたのは…

『葵:そろそろ交換生活も終わりだね。最近どう?』

― どこまで言おうかな…。

考えた末に、葵には優馬との関係を報告することにした。

『桜:実は、優馬と付き合うことになったんだ。まだ誰にも言ってないから秘密ね』

私が葵にそう送った直後、葵はある想いを私に告白してきた。その意外な告白に、私は少したじろいでしまったのだ。

第13話の続きはこちら

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