東京に行って、誰もがうらやむ幸せを手に入れる。
そんな小さな野望を抱いて、大学進学と共に東京に出てきた双子の姉・倉本桜。
でも10年たった今、うまくいかない東京生活に疲れ切ってしまい…。
対して双子の妹・倉本葵は、生まれてからずっと静岡県浜松市暮らし。
でも、なんだか最近、地方の生活がとても窮屈に感じてしまうのだ。
夫との別れを機に、今からでも、憧れの東京で暮らしてみたいと夢を見始める。
29歳の桜と葵が、選ぶ人生の道とは――。
◆これまでのあらすじ
双子の姉・倉本桜(29)は、中目黒のワンルームでひとり暮らしをしている。思い通りにいかない東京での生活に疲れきっていた頃、双子の妹・葵から「離婚した」と連絡がくる。
▶前回:婚活に疲れ果てた29歳女。年上経営者からもらうエルメスと引き換えに失った、上京当時の夢
Episode02:地元の静岡県浜松市で恋を終えた、双子の妹・倉本葵、29歳
― 22時か…。
遠鉄電車(通称・赤電)もまだ走っている時間だが、22時以降は20分間隔なので、その選択はしない。
私は、浜松駅のタクシー乗り場へ向かった。
どちらかが“街”で飲んでいるとき、車で迎えに行くのが私たち夫婦の決まりだった。
でも、もう誰も私を迎え......
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