2022.12.25
松坂由里香の奇妙な婚活 Vol.10松坂由里香は、パーフェクトな女。
美貌。才能。財力。育ち。すべてを持つ彼女は、だからこそこう考える。
「完璧な人生には、完璧なパートナーが必要である」と。
けれど、彼女が出会う“未来の夫候補”たちは、そろいもそろって何やらちょっとクセが強いようで…?
松坂由里香の奇妙な婚活が、いま、幕を開ける──。
「松坂由里香の奇妙な婚活」一挙に全話おさらい!
第1話:お泊まりデートの翌日。男は先にベッドを抜け出し、女の目を盗んでこっそり…
「1回目のデートは『たきや』で天ぷら。2回目は、シミュレーションゴルフで遊んで、『タイトル アッシュ』でたくさんワイン飲んで、いいムードで…。
そりゃ確かに、アプリで出会ってるし、まだお互いのことはそんなに知らないよ?でも、結婚願望があることは前提なんだし『この人かも』って考えちゃうじゃん」
「で?その、『この人かも』って思えるような男が、一体何してたっていうんです?そんなに怒って」
星野の言葉に、由里香は、今朝の男の行動をまた思い起こす。
「そう!聞いてよ星野くん。ほんとありえないんだから!」
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第2話:グルメな婚活男子とマッチング。鮨デートで、女が思わず「ん?」と気がかりに思ったこと
― 結婚相手とは、食の趣味が合うことも大切よね。私も美味しいお店は大好きだし、ワタルさん、悪くないかも…。
ニコニコと相槌を打ちながらそう思う由里香だったが、その一方で、なぜだか引っかかるような違和感を取り除くことができずにいる。
その理由は、先ほどから目の前で繰り返されているこの光景だ。付け台に握りが置かれるたびに、ワタルが大将に問いかける。
「これ、どこ産?」
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第3話:「ごめん、仕事の電話」とデートで中座を繰り返す男。呆れた女は“まさか”の反撃に出る…
「いや、お客さんとの食事とかのためにさ、都内の予約困難店はいくつか押さえるようにしてるんだ。『チウネ』とか『鮨さいとう』とか…。
仕事のクセなのかな。段取りするのが好きなんだよね。でも今日は、お客さんじゃなくて由里香ちゃんのために予約が使えて嬉しいよ」
― 笑った顔もかわいい…!絶対に仕事デキるし、ダイスケさんってパーフェクトな結婚相手なんじゃ…?
ダイスケのそつのない立ち振る舞いに、胸がドキドキと高鳴る。けれど、ときめきを感じながら店内に入り、席に着いたその途端。目の前でダイスケがとった行動に、由里香は思わず目を疑った。
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第4話:「何飲む?」の一言もなく…。食事デートで、男がドリンクのオーダーを勝手に決めた理由
『ル・パン・コティディアン』の店内に通された後──由里香の中で、今日ユウイチロウに会った時からうっすらと感じていた疑惑が、徐々に確信に変わり始めていた。
「せっかくだし、昼から飲んじゃう?」
チャーミングな笑顔で、ユウイチロウは由里香に問いかける。
「もちろん!」
そう由里香が答えるやいなや、ユウイチロウはスマートに店員を呼び止めると、意外すぎる一言を放った。
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第5話:特定の住まいを持たず、高級ホテルを転々とする投資家の男。ハイスぺゆえの本性を知った女は…
「はぁ〜、疲れるー。ねえねえ星野くん、婚活パーティーもこんな感じなのかな?1分で挨拶して!とか言われるんでしょ?」
「いや知りませんよ。婚活してるの、俺じゃなくて社長じゃないですか…。ちょっと俺、次のドリンク取ってきますね」
サポートについてきた秘書・星野のつれない態度に対して、由里香は悪態をつきながら、グラスに残っていたシャンパンをあおる。
その時だった。由里香の背後から、意外な声がかけられる。
「なに、松坂さん婚活中なの?じゃあ俺と結婚しようよ」
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第6話:「バツあり男性も全然OKだけど…」婚活女子が絶対に受け入れられなかった、彼の離婚理由
失敗続きの婚活に意気消沈した由里香が、ひとり『ウィスク/メズム東京』でアフタヌーンティーをやけ食いしていたときのこと。突如、ラウンジのピアノが美しい音楽を奏で出した。
聞き覚えのある、切ないミュージカルの楽曲。曲に込められた「僕が君を守る」というメッセージを、情感たっぷりに弾き上げるエキゾチックな顔立ちの男性──。
その男性…ジョージはピアノを弾き終えると、ゆっくりと由里香の方へとやってきて、体の奥底を優しく撫でるようなバリトンボイスで囁いた。
「あなたみたいな綺麗な人が、どうしてそんなに寂しそうなの?」…と。
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第7話:体育会系のハイスぺ男子とマッチング。好感触だったが一転、女が2回目のデートの約束を渋ったワケ
― 自分を律せる男性って、信頼感があって結婚向きよね。ケンタロウさんといたら私も自分を高められそうだし、健康でいられそう。一緒にいて成長できる相手って、結婚相手としては最高なんじゃない?
由里香はふと、星野に「お酒をやめろ」と忠告されたことを思い出す。
ノンアルコールのデートは久しぶりだけれど、気だるさの残っていた体にはちょうどいい。それに、酔っていないぶん、相手のことがハッキリと見える気がする。
― ケンタロウさんといると、なんだか前向きなパワーをもらえるなぁ。性格もすごく良さそうだし、こういう人と結婚するのがきっと幸せなのかな。
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第8話:「この人、ちょっと無理かも…」彼の行きつけのバーでこっそり聞いた、残念すぎる男の本性とは
太い黒縁メガネ。整えられたヒゲ。ストリート系ハイブランドのモノトーンファッションという、いわゆる“業界人”らしいルックス…。
キー局のプロデューサーをしているというキノサキのことは、正直なところ、全く記憶にない。
けれど、狂騒じみたパーティーにうんざりしていた由里香にとっては、まともな話し相手というだけでも救世主だ。
思いがけず会話は弾み、由里香が婚活中であるということが話題に上がった。
「へぇ!じゃあ俺、立候補してもいい?実は初めて会った時から、由里香さんのこといいなーって思ってたんですよ」
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第9話:彼との未来には、もはや恐怖すら感じる…。女をドン引きさせた、37歳弁護士が抱く理想の家庭像
「俺…、ダメだ、すいません。なんですかこの表情!普通にしてればキレイなのに、由里香さん、本当に結婚する気あります?」
ついに堪えられずブーっと吹き出して爆笑する星野を見つめながら、由里香も脱力する。けれどその瞳からは、いつもの好奇心に満ちた煌めきは少しも失われていない。
「結婚する気あるにきまってる!むしろ、こんなコテコテなお見合いする機会なんてそうないから、楽しんでくるつもりだよ。なんでも経験してみるのが私のモットーだもん。
それに、相手の写真も見たけど結構カッコいいの。良家のおぼっちゃん。開成から東大。大手町のパートナー弁護士だよ!どうしよう、トントン拍子で進んじゃったら〜」
こうして由里香は、意外にもすこぶる乗り気でお見合いの日を迎えたのだった。
第9話の続きはこちら
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