今となっては昔のことですが、港区に沙羅という女が生息していました。
「今夜、食事会あるんだけどどう?」と言われれば飛び入り参加して、必死に“彼氏候補”を探したものでした。
ある日、ようやく彼氏ができて食事会に行かなくなりましたが、その彼にも…。
残念に思って2年半ぶりに港区へ近寄ってみると、そこには以前と全く別の世界が広がっていたのです。
「港区今昔物語」一挙に全話おさらい!
第1話:同棲中の彼にフラれ、婚活市場へと舞い戻った33歳女。そこで直面した残酷な現実とは
とりあえず大急ぎで、今住んでいる85平米ぐらいの家を持っていて、一緒に暮らせる彼氏を見つけなくてはならない。
「3ヶ月ね…」
このときの私は、次の彼氏を見つけるなんて余裕だと思っていた。なぜなら、まだ33歳。容姿だって衰えていないし、これまで結構モテてきた。まだまだ私はイケるはずだ。
しかし2年半ぶりに港区の社交場へと舞い戻った私には、残酷な現実が待ち受けていたのだった…。
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第2話:出会いを求めて参加した、経営者との食事会。相手はなんと既婚者だったのに「彼女が欲しい」と言われ…
「さっすが。いいお店で嬉しいな♡」
いい男=いいお店へ連れて行ってくれる人。この法則は変わっていないようで、安心する。
そうこうしているうちに、タクシーがお店へ到着した。時刻は17時33分。3分ほど遅刻してしまったけれど、仕方ない。
むしろ、少し遅れて登場するくらいがちょうどいいだろう。
そんなことを思いながら、店の扉を開けた。しかしここでも、私はカルチャーショックを受けたのだ…。
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第3話:付き合う男を「金持ちかどうか」で選んでいた女。33歳独身になったとき、そのツケが回ってきて…
萌ちゃんの紹介に、私と木村さんはお互い頭を下げた。見るからに優しそうな男性。けれどもバリバリ稼いでいて、少し前に自分の会社を上場させたらしい。
Tシャツにハーフパンツというゆるっとした服装だけれども、時計はROLEXのデイトナ。Tシャツもよく見れば、ハイブランドのロゴが小さく描かれている。
― この人、きっとお金持ちなんだろうな。
そう推測するには、充分すぎる見た目だった。
とりあえず先に3人で乾杯し、しゃぶしゃぶを楽しむ。すると、もう1人の男性が遅れてやって来た。
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第4話:飲み会の最中、いきなりアラサー女に詰め寄って…。その場を凍らせた、26歳港区女子の発言とは
以前は、元カレが国内外問わずいろいろな場所へ、しかも最高級のホテルに連れて行ってくれた。でも今は、一緒に行ける人もいなければ、行く機会すらない。
「あ~あ。ハワイ行きたいなあ」
そんなことをつぶやきながら、私は部屋着を脱ぎ捨てて出かける準備を始めた。今宵は、先日再会した港区おじさん・藤堂さんのお誕生日会に参加するのだ。
でもこの日、私は「コロナのせいで、世の中の価値観が180度変わったんだ」ということを痛感したのだった。
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第5話:先日、婚約したばかりの女が調子に乗って…。彼氏に内緒で出没していた“ありえない場所”とは
美玲ちゃんが主催してくれた食事会は、男女4人ずつの会だった。
「女性陣はお店の外で待ち合わせて、みんなで行きましょう」ということで店前で待っていると、美玲ちゃんたちがやって来た。
黒髪ストレートで、ふわっとした雰囲気の彼女たち。
可愛らしさはあるけれど、派手さはないな…。そんなことを思っていると、美玲ちゃんがシレッとこんなことを言い始めた。
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第6話:ソファでゴロゴロしていたら、ついに…。同棲解消を告げられた後も、居候を続ける女に起きた悲劇
― もう33歳なのに、結婚どころか彼氏に捨てられるなんて。
仕方なく、賃貸情報が載っているサイトを見てみる。けれど自分1人で家賃を支払える物件だと、かなり古いか、もしくは狭い部屋ばかり。
平均月収30万の私からすると、都内での1人暮らしは相当ハードルが高いもののように思えた。
「ダメだ、これは…」
とりあえず港区を諦めて他の地域を検索してみるけれど、どうも心が踊らない。ため息を止められずにいると、久々に萌ちゃんから連絡が入った。
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第7話:結婚に焦り、7歳下の彼を狙おうとする憐れな33歳女。男には4年も付き合っている彼女がいて…
26歳にしては、落ち着いている雰囲気の恒星くん。聞けばIT系の経営者らしいが、一見派手には見えない。
羽織っているジャケットはたしかにブランド物だけれど、それも小さなロゴが入っている程度。目を凝らさないと全然わからない。
「沙羅さん、飲んでますか?ほかに飲みたい物があれば、オーダーしますよ」
「ありがとう。今いただいているシャンパンで十分です」
「何かあれば、遠慮なく言ってくださいね」
― 何なの、この26歳…。場慣れしすぎじゃない?
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第8話:港区女子に憧れを抱き、実家を飛び出して男に寄生してきた女。10年後、その末路は…。
20代の頃だったら「沙羅は家にいてもいいのに」と甘かった父親でさえ、最近では結婚の心配をしてくるようになった。
「他にいい人いないの?別に結婚しなくてもいいけど、ちゃんと生活できてるの?食べてる?」
「まぁ、そのうちね」
店のことを相談しようかとも思ったけれど、この日は夕方から約束があったので、私は早々に実家を後にした。
築40年の、古いマンション。滞在している間、ずっと胸がザワザワしていた。
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第9話:同棲中の彼氏にフラれ、借りられる家が見つからない…。絶望するフリーランスの女が下した決断は
「次の更新が近づいてきているんですが、コロナで売り上げが落ちてしまったので引っ越そうと思って。…でも、新しい家が見つからないんですよね」
思わず、手元のカフェラテに視線を落とす。こんな素敵な男性を前にして、家ナシになるなんて恥ずかしくて言えない。
しかしそんな私の葛藤に気づいていない彼が、思いがけない提案をしてくれたのだ。
「僕の友人がちょうど海外転勤になったんですけど、期間が丸2年と決まっていて。その間に家を貸せる人を探しているらしく、よかったら紹介しましょうか?」
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第10話:「自分で稼げなくても、経営者の彼氏がいるから大丈夫」そう思っていた33歳女がフラれた結果…
同棲していた彼にフラれ、広尾の高級低層マンションから戸越銀座へ引っ越してきて、約3ヶ月。
あんなにこだわっていた港区を離れたけれど、今や私は普通に暮らしている。人の慣れとはすごいものだ。
以前だったら移動はすべてタクシーだったのに、電車にも乗るようになった。
数年前にリニューアルされた戸越銀座駅。木の香りがする駅のホームで電車を待ちながら、ふうと息を吐く。それは少し前の私からは想像できない姿だった。
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第11話:玉の輿婚で優雅な生活を手に入れた女。しかし数年後には「離婚したい」と言い出した、衝撃の理由
― 港区って、タクシー移動を大前提として街が作られているんじゃない?
そんなことを考えながら、私は六本木駅から坂を下り、美穂が予約してくれていたお店へと向かった。
「ごめん、お待たせ!」
「ううん大丈夫。私も今、来たところだから」
久しぶりの、港区での女子会。しかしここで、私は衝撃的な事実を知ることになったのだ…。
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