23区のオンナたち Vol.14

貯金残高100万切った港区女子:2021年ヒット小説総集編④『23区のオンナたち』

住んでいる街によって、人生は変わり、また人も大きく変わる。

2020年、東京の街は大きく変貌した。

店は閉まり、代わりにフードデリバリーの自転車を頻繁に見かけるようになった。また時差通勤やテレワークが導入され、ラッシュ時の人は減った。

では、東京に住む女の人生は、どう変わったのだろうか? エリア別に、その実態に迫る。


2022年も頑張りましょう。昨年2021年のヒット小説総集編、「23区のオンナたち」一挙に全話おさらい!

第1話:年収560万、麻布十番在住。貯金残高が100万を切って直面した、リアルな危機

半年前まで、この部屋の家賃は別れた彼氏(という名のスポンサー)が支払ってくれていた。契約も、もちろん彼の名義だ。

麻布十番という街が好きだったし、別れてもまた別の、元カレのような男性がすぐに現れると思っていたので、この家に住みついていた。

だが気づいたときには、引越し費用もままならぬ状況だ。

残されたのは、30平米で20万もする部屋。そして部屋のスペースを圧迫している洋服や靴、ブランド物のバッグだけだった。

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第2話:「もしかして、監視されている…?」年収1,300万の夫を持つ“勝どきタワマン妻”の憂鬱とは

「なんでこんなに、狭くて息苦しいんだろう。最初は、嬉しかったのになぁ…」

勝どきに引っ越してきて、早4年。夫の職場にも通いやすく、また子育てもしやすいという理由で、結婚してすぐに家を買った。

重厚感溢れるエントランスに、常駐のコンシェルジュ、住居者専用のスカイラウンジ、19階の我が家から見えるレインボーブリッジ…。すべてに心が踊り、眺めの良い部屋が大好きだった。

けれどもステイホームをキッカケに、価値観が大きく変化した。

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第3話:30歳女が“すっぴんマスク”で買い物に行ったら、元カレと鉢合わせ。彼の隣には女がいて…

私の毎日は忙しかった。平日は仕事に趣味のお稽古、金曜は食事会、週末は彼氏とデート。

あっという間に過ぎていく日々だったけれど、忙しくしていればいるほど、充実しているのだと信じていた。

当時の彼氏・祐輔は3歳年上の大手総合商社勤め。サッカーが好きで身長184cm。実家は文京区にあり、生粋のサラブレット。東京出身でエリートな彼は、まさに、“東京の正解”だったと思う。

だが彼には結婚願望がなく、1年前に別れた。目黒に住んで約6年。毎日、それなりに幸せだった。でも別れたタイミングで、パンデミックが起こったのだ。

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第4話:「大手勤務で年収1,000万の人と結婚したかったけれど…」丸の内OL26歳に起きた、ある変化

「うぅ…足が、痛い…」

オフィスのあるビルまで歩く途中で、かかとの痛みにくじけそうになる。以前は当たり前のように履けていた6cmヒールのパンプス。家を出て電車に乗ったわずか30分の間で、すでに足が痛い。

「以前は9cmでも平気だったのになぁ。でも我慢、ガマン」

リモートワークが主流になり、すっかり忘れかけている。一昨年まで当たり前のように送っていた、華やかな、丸の内OLの生活を。

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第5話:同棲中の彼氏が、1週間家に帰ってこない…。家賃24万・1LDKの部屋で女が感じた限界とは

「ねぇこの後散歩行く?ってそうだ、大貴もファスティングしたほうがいいよ。最近大貴の生活乱れているし、体内に溜まっている老廃物も…」

そこまで、話したときだった。いつもはニコニコとしている大貴の顔色が、急に曇る。そして信じられない一言が飛び出してきた。

「それって…俺もやらなきゃいけないの?ごめん紗弥香。前から言いたかったんだけど、面倒くさいよ。正直うっとうしいんだけど」

— め、面倒くさい…。うっとうしい…?

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第6話:40歳で離婚、子持ちのシングル女に。代官山で家賃30万を支払う重圧に耐えかねて、結局…。

洗濯機から洗濯物を取り出し、畳まなければならない。机の上には郵便物も溜まっている。掃除機もかけないといけないし、保育園の書類も書かないといけない。

愕然とする。1人で片付けなければいけないことが、多すぎる。それなのにさっきから、手がまったく動かないのだ。

「もうダメだ…限界…」

台所で、膝から崩れ落ちた。そしてこんな時に思い出すのは、3ヶ月前にようやく離婚が成立した夫・圭のことだった。

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第7話:「蒲田に住んでるって言いたくない…」年収550万の女が、引っ越した先に見つけた大切なモノ

食事会の頻度はガクッと減り、ひとり暮らしで彼氏ナシとなると、外へ出る機会も減る。そうなると着飾る気力がなくなり、自分磨きの時間も減る。

「遼は、今何をしているかな…」

暇で出会いもないせいだろうか。ここ最近、1年ほど前に”低スペック“と見切って別れた元彼のことばかり考えてしまう。

忙しい時には気がつかなかったが、暇になると忙しさは人生の充実度だったと気がつく。だから低スペックだと見限った男が、実は超優良株だったことにも、後から気づくのだろうか。

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第8話:「男の子なの?」妊娠がわかった途端、義母から痛烈な一言。田園調布の名家に嫁いだら…

「花枝さん。あなた、やっぱり厄病神ね」

田園調布にある夫の実家の広いリビングで、義母の声が響き渡る。夫の大成は、さっきから聞こえぬふりしかしていない。

「すみません…」

今年の春。息子・大樹の受験に、失敗した。

「うちの一家は代々、行く学校が決まっているんです。それなのに、まさか失敗するなんて…。それがどれほど恥ずかしいことか、おわかりなの?」

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第9話:「手取り36万。家賃13.5万円は、いい男に出会うための出費だったけど…」アラサー独身女の孤独

渋谷にあるオフィスに近く、利便性の良い恵比寿という街に惹かれて、26歳の時に祐天寺から恵比寿に移り住んできて早5年。

住みたい街として常に上位に入るほどの人気の街であり、出会いが豊富な街としても名高く、大好きな街だった。でも今は、“未だに”ここにいる自分が嫌いだ。

現在の家賃が13万5千円で、広さは30平米。駅から徒歩14分。

コロナ前は便利で賑やかで、楽しいことが凝縮されているこの街が大好きだったのに、飲みに行くことが減った今、住んでいる意味を考えるようになった。

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第10話:同棲4年目の彼氏は、一回り下の同じ干支のオンナと…。マスコミ勤務の独身女(35)が体験した地獄

「その子には僕が必要なんだよ。でも里子は、ひとりでも生きていけるよね」

この話し合いのわずか一週間後、龍太郎は部屋を出て行った。

今年の11月で36歳になる私。浮気相手は私と同じ干支の、丑年の女。なんと一回り下の、24歳の子だった。

こうしてあっけなく、私たちの同棲生活は幕を閉じた。

第10話の続きはこちら

第11話:自粛がキッカケで入籍。でも夫が家賃25万の白金高輪1LDKから、杉並区で車を持ちたいと言い出し…

「結婚するタイミングで、引っ越さない?もう少し広いところに」
「そうだね、私もそろそろ引っ越したいと思っていたところ」

当然、今住んでいる界隈…港区、渋谷区あたりで探すと思っていた。だが大輔の言葉に、私は何も返事ができなくなってしまったのだ。

「実家に近い、杉並区あたりに引っ越したいなと思って。そっちの方が、同じ家賃でもかなり広いところに住めるし、車も持てそうだから」

杉並区なんて、聞いていない。でも、結婚はしたい。大輔から、天秤にかけられた気がした。

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第12話:「元モデルの、超イケメン彼氏と同棲中なのに満足できないのは…」世田谷区女子・28歳の葛藤

礼央とは共通の知人を介して知り合った。5歳年上でアパレル系の仕事をしているが、元モデルというだけあり、相当なイケメンだ。

彼との交際は順調そのもので、不満は何もない。世田谷…というよりも、ここ三宿に引っ越してきてから、近所で飲む頻度がグンと増えた。

この界隈には経営者から芸能人、若手クリエイターにIT系の人まで何でも揃う。港区とは違う、みんな何か“コダワリ”を持っている人たちが集う街。

そんな人たちと話していると、すごく刺激になるし楽しい。でも同時に、何もない自分にすごく焦るのだ。

第12話の続きはこちら

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