婚活に奮闘する人たちは、初デートのことをこう呼ぶ。
「婚活アポ」
ある程度仲良くなるまで、男女の約束は仕事と同様"アポイントメント"なのだ。
そんな激しい婚活市場で、数撃ちゃ当たるとでも言わんばかりに、東奔西走する一人の女がいた。
失恋にも負けず、婚活うつにも負けず、アポ、アポ、アポの日々。
なぜって、元カレよりも素敵な人と結婚したいから……。
これは「真面目に努力すれば、結婚できる」そう信じて疑わない、早稲女・夏希の『婚活アポダイアリー』。
「婚活アポ~27歳ワセ女の場合~」一挙に全話おさらい!
第1話:「今年こそ、結婚!」年収800万・高学歴女の悲惨な婚活事情
元彼は外資系投資銀行で働く30歳で、去年の12月にアプリを通じて出会った。年末年始のイベント効果もあったのか、クリスマスや初詣はかなりいいムードだったのだ。
― 明治神宮へ初詣に行ったときなんか、「ずっと、一緒にいられますように」なんて仲良く二人で絵馬まで書いたのに…。
でも、ドキドキしているだけで過ぎていく3ヶ月を過ぎた頃、ふたを開ければ趣味や嗜好が合わない彼とは、自然に会う回数が減っていった。
バレンタインやホワイトデーなどのイベントが過ぎたら、関係性は下火に。そして、誕生日の1週間前に、彼から別れを切り出された。
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第2話:「条件は完璧なのに…」女がドン引き!アプリで出会った年収1,000万超・30歳男の意外な過去とは
1週間を全力で駆け抜け、やっと土曜日がやってきた。けれど、婚活女子に休みなし。私は朝から身支度で大忙しだ。
本日のアポは12時に表参道。
マッキントッシュ ロンドンのワンピースに身を包み、一通り身支度を終えて時計を確認すると10時半。水天宮前の自宅からは半蔵門線で一本だから、11時半前に家を出れば十分に間に合う。
私はさらなる“準備”に取り掛かるため、MacBookを立ち上げてマッチングアプリを開いた。
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第3話:「まさか…?」アプリで出会った人とアポ30分前。銀座で女が衝撃を受けた出来事とは
啓斗が大きな声でアプリ、アプリと連呼するので、私はあわててあたりを見回す。それに、私たちはこのあとGINZA SIX内の6階にあるレストランで食事する予定だったけれど、アポイントまではまだ30分以上もある。
― 直前にメイク直しとかする予定だったんですけど…。こういう場合、見かけてもスルーするのが礼儀じゃないの?
私の困惑した様子に気づかない彼は、なおも畳みかけてくる。
「せっかくだから、ランチの前に一緒に本でも見ましょうよ!僕、教養がある人と本を探すのが好きなんです」
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第4話:「初デートでいきなり?」早稲田駅近く。27歳女がエリート男に連れて行かれた意外な場所
― マズイ…案外、ノスタルジーが心にくるものだわ。少し早いけど、早稲田方面に向かおう…。
私はたまらない気持ちになって、大学の正門へと導く早大通りを歩くことにした。大通りを歩いていくと、程なくして懐かしい大隈講堂が現れる。その堂々たる佇まいに、少しほっとする。
講堂の脇にあるカフェでコーヒーを注文し、テラス席に腰を落ち着ける。
「そうだ、カズのプロフィールをもう一回見てみようっと」
今日2件目のアポ相手であるカズこと一輝は、実は大学時代の同級生だ。
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第5話:アプリで知り合った30歳エリート男をSNSで検索したら…。女が発見した衝撃の画像とは
彼との初アポは、私の婚活史上数本の指に入るレベルで気まずいものだった。はじめは楽しく話ができていたのに、裕也の元カノの話になった途端、彼も私もテンションがダダ下がり、一気に微妙な雰囲気に…。
どんよりした空気のまま終了したその出来事を、私は“表参道の悲劇”と勝手に名付け、胸の奥底にしまいこんでいた。
それ以来、お互い連絡を取っていなかったが、先週、裕也から2週間ぶりに連絡がきてディナーに誘われたのだ。
気乗りしなかったものの、1回のアポだけで切り捨てるのももったいない気がして、会うことにした。先日のカズの「婚活アポでも失敗を挽回できたらいいのに」という言葉を意識してのことだった。
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第6話:「初デートだけど、いいかな…」男の甘い誘惑に負け、付き合う前に彼の家に行く女の本音
昨日アキさんから送られてきた写真をめいっぱい拡大すると、裕也の隣に写る女の子の目元には、薄くホクロが見える。
― やっぱり、この写真の女性だわ。世間狭しといえども、デート相手の元カノと一緒に働くことになるなんて…。
「あら?それ、私の写真ですね!」
「…!?」
画面に夢中になっていたので、背後に人がいるのに気がつかなかった。ドキっとして振り向くと、沙里奈本人が、肩越しに私のスマホを覗き込んでいる。
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第7話:「何このツイート!?」32歳東大卒のエリートとデート中。27歳女が見てしまった男のヤバい裏の顔
やっと素敵な人に出会えたのだ。その彼が、私と一緒にいたいと言ってくれている。闘う婚活女子にとって、これがどれほど心救われることか…。
「…あら?政樹さん、スマホ鳴ってるみたい」
ぴったりと密着しているせいで、政樹のポケットの中の振動音に気づいた。最初は「いいよ、後で見る」とスルーしていた政樹だけど、断続的に続く通知音が気になったのか、スマホを取り出す。
― え…!?いまの、何!?
目に入った画面には、信じられない内容が表示されていた。
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第8話:LINEのID交換で意外な事実が発覚!?婚活中の27歳女が体験した衝撃的な出来事
お互いにフリーの2人が会うことについて、元カノの沙里奈にとやかく言われる筋合いはない。だから堂々としていればいいのだ、と私は気を取り直す。
「…そうね、たしかに裕也さんとデートしてるわ。ここ2ヶ月くらいで、何回か会ってる」
「やっぱり…!」
沙里奈が声を上げた瞬間、ポーン、と停止音が鳴り、エレベーターは1階に到着した。しかし、ホッとした私の心中を見透かすかのように、彼女は不敵に微笑む。
「夏希さん、せっかくだしランチご一緒しませんか?」
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第9話:3年ぶりに元カレと再会して…。女が思わずドキっとした男のある言葉とは
― このお店、変わってないなぁ…。昔、2人で何度かランチに来たっけ。
18時。神楽坂のイタリアン『アルボール』で、私は颯太くんを待っていた。カウンター席に腰掛けると、急に感慨が押し寄せてくる。
「夏希!」
待ち合わせ時間を2分過ぎたころ。入口の扉が開く音とともに、懐かしい声が聞こえた。
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第10話:「まさか…?」アプリで出会った彼のログイン状況をチェックする女が、見てしまった衝撃のモノ
緊張して臨んだ颯太くんとの時間の後だったからか、裕也とのLINEでリラックスする。しばらくやりとりしていると、私はふと“あること”が気になった。
― そういえば、裕也とは最近ずっとLINEで連絡を取り合ってたけど、彼ってまだアプリを続けてるのかな?
裕也のマッチングアプリへのログイン状況が気になり、私はアプリを起動した。
「えっ…!うそでしょ…」
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