婚活に奮闘する人たちは、初デートのことをこう呼ぶ。
「婚活アポ」
ある程度仲良くなるまで、男女の約束は仕事と同様“アポイントメント”なのだ。
そんな激しい婚活市場で、数撃ちゃ当たるとでも言わんばかりに、東奔西走する一人の女がいた。
失恋にも負けず、婚活うつにも負けず、アポ、アポ、アポの日々。
なぜって、元カレよりも素敵な人と結婚したいから……。
これは「真面目に努力すれば、結婚できる」そう信じて疑わない、早稲女・夏希の『婚活アポダイアリー』。
27歳女が失恋よりつらいこと
「ほ、包丁…?」
土曜の夕暮れ。
私は、大学時代の2コ上の先輩・アキさんと渋谷でアフタヌーンティーを満喫していた。
鮮やかな色のカクテルに、スイーツ。店内はたくさんの花や緑で飾られ、まるで海外リゾートに来たかのような雰囲気にテンションが上がる。
おまけに今日は、私の27歳の誕生日。
そんな記念すべき日に、アキさんから贈られたのは、“鬼切 DEMON KILLER”と書かれた包丁だった。
「ビックリした?見つけた瞬間、これだ!!ってビビっときたんだよね。包丁は悪縁を断ち切って、良い未来を切り拓くって意味があるんだって。だから今の夏希にぴったりだと思って!」
「アキさん…」
いかめしいロゴの入った包丁にこめられたアキさんの心遣いが、傷心の心にしみる。
つい先週別れた彼氏とは、半年ほどの短い恋愛だった。
「今年こそ結婚!」を目標にしていたから、予定が狂い、私は打ちひしがれていた。
「彼を失ったことじゃなくて、『また、婚活しなきゃいけないこと』がつらいです…」
元彼は外資系投資銀行で働く30歳で、去年の12月にアプリを通じて出会った。年末年始のイベント効果もあったのか、クリスマスや初詣はかなりいいムードだったのだ。
― 明治神宮へ初詣に行ったときなんか、「ずっと、一緒にいられますように」なんて仲良く二人で絵馬まで書いたのに…。
でも、ドキドキしているだけで過ぎていく3ヶ月を過ぎた頃、ふたを開ければ趣味や嗜好が合わない彼とは、自然に会う回数が減っていった。
バレンタインやホワイトデーなどのイベントが過ぎたら、関係性は下火に。
そして、誕生日の1週間前に、彼から別れを切り出された。
私だってこうなることはわかっていたが、誕生日までは持ちこたえられたら、なんて浅はかなことを考えていただけに少し悔しい。
この記事へのコメント
って、なんだか悲しくなる時もありますよね。子供の頃は、大人になったら自然に好きな人が出来てその人と結婚して、子供は3人くらい出来たらいいなぁとか、簡単に....でもそれが普通に出来る事のように思っていたけれど。実際大人になったら、その頃にはなかった婚活・妊活 って言葉も出来たように、頑張って活動しないといけなくて...続きを見る、焦れば焦るほど空回り....。
そのうち颯太君出てきてその時わかるのかな?
今日は、お決まりの慶應でも良かったんじゃないの?