2021.05.22
明日、世界がおわるなら Vol.11輝かしい経歴に、人も羨むようなステータス。そして、安定した恋の相手。
「完璧」に彩られた人生を、決して踏み外すことなく、まっすぐに歩いてきた。
…彼と出会うまでは。
地位もない。名誉もない。高収入もない。自由以外に何も持たない男とどうしようもなく激しい恋をした時、
迷う女は、平坦な道と困難な道の、どちらの道を選ぶのか。
もし、明日が世界のおわりの日だとしたら───
「明日、世界がおわるなら」一挙に全話おさらい!
第1話:絶対に好きになっちゃダメなタイプの男に出会ってしまい…。安定志向の女がついた嘘とは
ウェッジウッドのコーヒーカップをテーブルに置き、思い起こす。2年前に起こった、奇跡みたいな出来事を。
この穏やかで平穏な日常からは、想像もできないほどに激しく心を震わせた、あの日々。心の中にしまってある、嵐みたいな思い出…。
―ピンポーン
そんな思考をシャットアウトするように、日常的な音が鳴り響く。当時をよく知る人物が、やってきたのだ。
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第2話:「その男はやめておきな」と親友に大反対される恋。同意したフリをして、女がとった行動は
塁のバーを訪れたあの日から一週間。LINEのやりとりは、まるで中学生のカップルみたいに毎日途切れずに続いている。
中身なんて全然ない雑談がどうしようもなく嬉しくて、恋人の直人に対しての罪悪感を覚えないわけじゃない。
けれど、塁とは他愛ない会話をしているだけ。そう自分に言い聞かせていた。
でも、このときはまだ知らなかった。次に彼が私によこしたメッセージが、私にあんなに大胆な行動をとらせるなんて…。
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第3話:彼氏じゃない男と迎えた朝。女のスマホに届いた、恐ろしすぎるLINEメッセージの内容とは
言葉にすると、自分のしていることのヤバさが改めて胸に迫る。今まで、こんなことするなんて、考えたことすらなかった。
それなのに、どうしても引き返すことができない。自分ではコントロールできない、激しい感情に突き動かされている。初めて覚える感覚だった。
目的地につくと、私はタクシーを降り、扉に手を掛けた。アンティーク調の木材でできた、あの扉―。
これを開けたら、私はどうなってしまうのか…。それなりの覚悟はあった。けれど、数時間後の自分の行動は、自分の予想をはるかに超えていた。
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第4話:優しい彼氏に「頭を冷やせ」と突き放された女。会社を毎週休むほどハマってしまったこととは
こんな直人の表情、見たことない。重苦しい空気が、私たちを包み込む。けれど、なぜだろう。何も感じない…。
5年も一緒に過ごした中で、育まれた愛情や信頼は、ある。けれど、それはあって当たり前で、決して私の感情を揺さぶらない。
― 今なら、直人を失っても何も感じないかもしれない。
塁との未来を本気で思い描いているわけじゃないけれど、そんなことすら頭をよぎってしまう。そして、このあと直人から聞かされた驚愕の事実は、そんな気持ちに拍車をかけた。
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第5話:恋人とヨリを戻した夜。「じゃあね」と手を振った直後に、その足で女が向かった場所は…
「真衣。ちゃんと頭冷やしてくれたか?」
直人はなにかを取り繕うことなく、単刀直入に本題に入る。私も、アイスブレーク的な世間話は嫌いだ。けれど、今日はそれがズンっと心に重くのしかかる。
「…その前に直人、この前、恵比寿で誰か女の人と一緒にいた?…もしかして春香?」
「あぁ、飲みに行ったよ。真衣のこともちょっと相談したよ…」
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第6話:「うまく隠せてると思ってたのに…」好きな男にとっくにバレていた、不都合すぎる女の事情
現実世界において“安定”という物差しを手にしてしまった今、“肩書”とか“世間体”とかいうものを知ってしまった今、心から愛する人を選ぶシンプルさが本当に正しいことなのかどうか、本気でわからない。
―それに…。
塁は、私の心をかき乱し続ける。あの日、私がバーに入ったとき、塁とあの女はキスしていたと思う。
けれど、そのあと塁から聞いた話に、私の心は大きく揺さぶられた。
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第7話:彼氏を裏切ったまま、他の男の部屋で1週間も過ごしたら…。待ち受けていた最悪の状況
さっきからLINEの新着がうるさいと思ったら、塁が連続でメッセージを送ってきていた。何度も何度も、私を心配する旨のメッセージを。
その文字が視界に入るだけで、心から嬉しさが込み上げる。ついさっき起こった出来事なんて、なんでもなかったかのように洗い流されていく気がする。
果たして、正式な恋人である直人から心配されたところで、こんな気持ちになるだろうか…。
『真衣:心配してくれて、ありがとう!ねえ、塁。お願いがあるんだけど…』
私が、塁にこんなメッセージを打つことになったきっかけは、1時間前に遡る。
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第8話:「彼氏より好き…」二股関係を終わらせようとした女。的中した嫌な予感とは
仕事を休み、塁と蜜月の1週間を過ごした私は、ついに塁を選ぶ決心をしたのだ。自分が選ぶ道の険しさは十分に分かった上での判断だった。
『真衣:直人、明日ちょっと話せる?』
『真衣:塁、1週間ありがとう!本当にすっごい楽しかった!!明日も、ちょっとだけでも会える?』
思い立ったが吉日。1週間ぶりに自宅に戻ったその夜、私は直人と塁の2人にそれぞれ連絡をした。翌日、すべての決着を決めようと。
けれど、運命というものは私の想像を絶するほどに皮肉なものだった。
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第9話:「まさか、遊ばれた?」毎晩愛しあった男に、2ヶ月間も未読スルーされて…。やっと届いた返事とは
『真衣:塁、どうしたの?心配しています。』
『真衣:私、何か悪いことでもした?嫌なとこがあったら直すから教えて…』
『真衣:どうしても会いたいよ…、塁!ねえ、どうしたの?』
ずっと続いていたキャッチボールは、突然に私の独り言に変わり、LINEのトークルームにぷかぷかと浮かび続ける。
けれど、このときは夢にも思わなかった。塁があんなことを考えていたなんて…。そして、塁があんな手段で連絡をとってくるなんて…。
第9話の続きはこちら
第10話:夫の帰宅が遅い夜。新婚の妻が自宅で1人、楽しむためにこっそり取り出したモノとは
カクテルグラスにゆっくりと注ぎ、キッチンで立ったまま、それを口にした。独特な爽やかな甘みが口に広がると、ぶわっと当時の思い出が蘇る。
ふと気づくと辺りはすっかり暗くなり、窓の外には漆黒の世界が広がっている。その暗闇を見つめながら、ひとつひとつ当時の思い出を辿り、つい感傷に浸ってしまっていた。
けれど、今日は彼の帰りが遅い。久々にひとりの夜なのだ。
私は2杯目のマルガリータをグラスに注ぎながら、あの手紙のことを思い返した。
第10話の続きはこちら
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