モラトリアムの女たち Vol.13

復職を強く勧めてくる、同期の男社員。男が腹の底で考えていた、まさかの計画とは

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

ーあのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

湾岸のタワマンで育児に専念する、元バリキャリ女子の未希。

未希の復職問題は解決することなく、認可保育園の申し込み時期を迎えてしまう。その頃、ワ―ママの友人・華子が退職したと言う話を聞いてしまい、未希は戸惑うのだった。

▶前回:「私が目障りだったんでしょう!?」女を奈落の底に突き落とした、男の最低な告発とは


「退職?どうしてまた…」

昼下がりの公園で、華子からされた突然の退職報告。あれだけ働くことを誇りに思っていた彼女だったから、未希は掛ける言葉も見つからず、驚いたままその場に立ちつくす。

しかし、以前彼女の会社に行ったとき、華子が悪口を言われていたことをふと思い出した。

「夫も賞を取ったし、今以上に忙しくなるからね。お互い多忙同士だと子育てに支障出るし、あとは2人目も考えてるから」

華子の顔は、どこか憑き物が落ちたように爽やかだ。

「じゃあ完全に専業主婦ですか…?」

「今は知人の紹介でニュースサイトのライターをしているの。余裕があれば保育園をお休みしてこうやって公園にいるときもあるから、また遊んでちょうだいね」

「ええ。でも、本当にそんなのんびりとした働き方、うらやましいです」

思わず未希は本音を漏らしてしまい、ハッとした。会社を辞めたことは、華子にとって不本意なことだったかもしれないのだから。

未希が戸惑っていると、華子はゆっくりと落ち着いた声で、こうつぶやいたのだった。

「実はね、私…。未希さんがうらやましかったのよ」

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