ヒロインになりたくて Vol.10

ずっと片思いしていた男の部屋に押しかけたら…?「ヒロインになりたくて」全話総集編

「この女、なんかムカつく」って思われるほど、羨望される存在になりたい…

結局、自己PRの上手い「あざと可愛い女」が主人公の座につくのが世の常

真面目に生きてるだけじゃ、誰かの引き立て役にしかなれない

そんな自分を卒業し『人生の主人公』になるために動き出した女がいた…

「ヒロインになりたくて」一挙に全話おさらい!

第1話:「結局、男ってあざと可愛い女が好き!?」タイプじゃないと言う癖にハマる理由

「俺、悠乃(ゆうの)ちゃんと付き合うことになった」

よく一緒に行っていたカフェのテラス席。あの頃と変わらない風景。久々に淳太に会えて、他愛もない会話を楽しんでいたはずなのに。

彼の口からそう告げられた瞬間。突然頭の中が真っ白になって、指先が冷たくなって、目の前が真っ暗になった。すっかり忘れていたけれど…。

これは、“失恋”の感覚だ―。

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第2話:「好きな男のタイプは…」オンライン婚活で目立つ、モテ女の当意即妙な回答とは?

―金融関係、医師…経営者も居る。全員、職業はなかなかハイスペックね。あ、この「祐平」って人は結構イケメンかも?

外資系コンサルティング会社勤務、29歳。端正な顔立ちに、ふんわりとセットされた黒髪。俳優のような雰囲気を持つ彼に、良い印象を抱いた。

開始時刻の13時。

複数のルームが出現し、参加者は好きにルームを移動できる仕組みとなっている。どの参加者がどこに居るかが分かるので、夏帆は迷わず祐平のアイコンが出ているルームにアクセスした。

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第3話:“サラダ取り分け女”が食事会で感謝されても、実はモテない意外な理由

「あの、祐平さんですか…?」

恐る恐る近づいて声をかけると、男性は一瞬驚いたような顔をした後、すぐににこやかな笑みを浮かべた。

「夏帆ちゃん?今日は来てくれてありがとう。じゃあ、行こっか」

小さな顔、端正な目鼻立ち。オンラインで見るよりもずっと魅力的な彼に、夏帆は惚れ惚れとした。しかし。

「えっ、ここですか?」

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第4話:“親友の彼氏”とLINEするのはあり?女が悩む男との微妙な関係とは

―声が聞きたい…。

悠乃と付き合う前までは、気軽に連絡をしていた。しかし、今の淳太はフリーだったあの頃とは違う。金曜の夜だし、彼の近くには悠乃が居るかもしれない。

そう思うと躊躇してしまう自分がいる。

それでも、「元同僚だし、電話くらいいいよね」と目を瞑って“エイッ”と通話ボタンを押した。

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第5話:「そんなこと、急に言われても…」好条件29歳男からの突然の告白に女が戸惑ったワケ

会話をしながら、夏帆は祐平をこっそりと観察していた。

ーそれにしても祐平さんて、いい男ね。高橋一生に似て爽やかなルックスだし、外コン勤務だし、それに話もうまい。

これは女性にモテないわけがない。

「あの、祐平さんは何でオンライン婚活パーティーに参加したんですか?いくらでも相手は居そうなのに…」

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第6話:「その男ヤバい!」好条件なのに“付き合ってはいけない男”の特徴とは

今夜、食事の約束をしている隆介とは、マッチングアプリで知り合った。

彼について夏帆が知っていることといえば、25歳のフリーランスのエンジニアで年収600万程度、そして、写真ではモデルばりのイケメンということだ。

スマホのカメラで自分の姿を最終チェックしていたとき…。

「あ、夏帆さん?」

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第7話:「やっぱり好き…」友達の彼を狙う女が衝動的にとった行動

悠乃が2杯目の紅茶に口をつけた時、夏帆はやっとあの話を切り出すことができた。

「そういえばさ、淳太さんとは最近どうなの?」

あくまでもさりげなく、至極興味なさげに頬杖をつきながら尋ねた。

悠乃は一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、自分が夏帆に付き合った報告すらしていないことを詫びるわけでもなく、「あ~」と間の抜けた声を上げてくすくすと笑い出した。

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第8話:「こんなところ、恥ずかしい…」アプリで出会った男に、2回目に連れて行かれた意外な場所

「ここまで来たんだからさ、とりあえず行ってみようよ」

隆介は、夏帆の返事を待たずして狭い階段をスタスタと上って行く。不安に駆られながらも、夏帆はおずおずと彼の後をついていった。

扉の前でインターホンを鳴らすと、従業員が鍵を開けて2人を迎え入れる。中にはカウンター席とテーブル席が用意されており、一見するとよくあるこじんまりとしたバーだ。

しかし客の顔ぶれが“普通”ではないことに、夏帆はいち早く気が付いた。いわゆる芸能人御用達と言われるバーのようだ。

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第9話:付き合う前に男の部屋に押しかけて…。略奪を目論む26歳女の大胆な作戦

会がお開きになり同僚たちを改札前で見送った。本当は、恵比寿在住の淳太が電車に乗らないことを分かっていて、その場に残りたいがためについた嘘だった。

「夏帆ちゃん、大丈夫?送ろうか?」
「全然大丈夫です。あ、あの…淳太さん」

そう言って振り返ると、淳太はにこっと笑って「どうしたの?」というように首を傾げる。

「ほんとは、淳太さんと2人で話したかったんです。…ちょっと散歩でもしませんか?」

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