「この女、なんかムカつく」って思われるほど、羨望される存在になりたい…
結局、自己PRの上手い「あざと可愛い女」がいいところを持っていくのが世の常
真面目に生きてるだけじゃ、誰かの引き立て役にしかなれない
そんな自分を卒業し『人生の主人公』になるべく動き出した女・夏帆(26)がいた…
「俺、悠乃(ゆうの)ちゃんと付き合うことになった」
よく一緒に行っていたカフェのテラス席。あの頃と変わらない風景。
久々に淳太に会えて、他愛もない会話を楽しんでいたはずなのに。
彼の口からそう告げられた瞬間。
突然頭の中が真っ白になって、指先が冷たくなって、目の前が真っ暗になった。
すっかり忘れていたけれど…。
これは、“失恋”の感覚だ―。
◆
「うう…辛い、辛いよぉ…」
一人暮らしをしている中目黒の部屋で、夏帆は赤ワインを飲みながら女友達に電話で泣きついていた。
よりによって、大学時代からの友人と淳太が付き合うなんて…。
「でもさ、そもそも淳太さんに、悠乃ちゃんを紹介したのも夏帆なんでしょ。何で会わせる前に“淳太さんのことが好きだから狙わないでね”って言わなかったの?」
「そ、そんなカッコ悪いこと言えるわけないじゃん!」
「夏帆のそういうところがナメられるんだよ」
「・・・」
彼女の指摘に、夏帆はぐうの音も出ない。自分でも十分に分かっている。全ては自業自得なのだと。だからこそ余計に辛いのだ。
ーでも、あの会に「悠乃」さえ呼んでいなければ…。
ついつい、そんなタラレバを想像してしまう。
この記事へのコメント
と本物の方向音痴の私は思います。
先輩が惹かれなかったってことは、つまり杏里にはあざとさとかじゃなく単純に人としての魅力が足りなかったんだと思うよ。