2020.08.21
高嶺のカナ Vol.14「好きになった相手は、高嶺の花だった」。
もしもあなたが、手の届かないような存在の相手を好きになってしまったら、どうしますか?
石崎健人(27)が恋に落ちたのも、自分には釣り合わないと諦めていたような“高嶺の花”。
それまで身の丈にあった、分相応な人生を送ってきたはずの男が、憧れの女性を手に入れ、結婚まで漕ぎ着けた方法とは…?
「高嶺のカナ」一挙に全話おさらい!
第1話:「まさか彼女からプロポーズされるなんて」対象外だった男が、憧れの女を射止めた秘策
「付き合ったときは、健人から言ってくれたから。今度は私の番かなって思って」
恥ずかしそうに言葉を絞り出す花奈の姿に、ようやく何が起きているかを把握しはじめる。同時に、健人の心臓は躍った。
一緒に居られるだけでも十分すぎるくらい満足だった。なのにまさか、自分が追いかけ続けてきた大好きな人からプロポーズされるなんて。これまでの努力、全てが報われた瞬間だ。浮かれる健人をよそに、花奈は念を押すように言った。
「他の人の言う事は、気にしないでほしいの。私はあなたと一緒なら、絶対に幸せになれる自信があるから」
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第2話:「ああいう女性は、男たちが放っておかない」。交際1日で、男が同僚の女から言われたこと
あれは2年前、25歳だった頃のこと。
健人が花奈(かな)に告白したのは、忘れもしない、会社の同期会の帰り道だった。
健人の喉はカラカラに乾いていた。それなのに、口の中は妙に粘っこかった覚えがある。人は極度に緊張すると、こうなるものなのかと初めて知った。
だが、そんなことを考えている場合ではない。早く言わなければ。そう思った瞬間、痺れを切らした花奈が訝しげに聞いてきた。
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第3話:「あの男、誰だっけ…」名前も知らない男からの告白をOKした、女の心理とは
「そうだ、告白…」
そのことを思い出すと、自然と顔がにやけてくる…。というわけではなかった。
男からのアプローチには慣れっこだった。社会人になってからは落ち着いたと思うが、学生時代はあまりの頻度に辟易して、一時期留学を真剣に検討していたほどだった。
どちらかというと、なぜ昨日の自分はあの告白を受け入れてしまったのだろうと思っている。なぜならー。
「…彼、誰だったかしら」
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第4話:「他の男の前では、あんな顔するのか・・・」付き合って初めて男が目撃した、女の素顔
確認だけするつもりだったのだからさっさと閉じれば良いのに、嬉しさのあまりLINEをまじまじと見つめてしまう。そして今度は、すでに既読をつけてしまったのですぐに返さないと失礼だ、などと自分に言い聞かせる。
どんなに抗おうとも、花奈にペースを持っていかれっぱなしなのだ。
−出会ってからこれまで、彼女に心を奪われてばかりだな。
そんなことを考えながら、健人は花奈を好きになったきっかけを思い出した。
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第5話:「どうやったら彼女を夢中にさせられる?」男が提案した“あるコト”に、女が喜んだ理由
リードしなくてはと思っているのだが、花奈を前にするとどうしても緊張してしまって、尻込みしてしまう。
そんな状況下で見てしまった、花奈と人事部のエリート男の仲睦まじい姿。
藍子が言っていたように、うかうかしていると花奈を奪われてしまうかもしれない。健人は、内心焦っていた。
−どうやったら、彼女を夢中にさせられるんだ…?
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第6話:「2人は付き合ってるの?」イケメンから聞かれた、交際したての男女。その時、女の答えは…
今の健人には自信があった。逆に彼女が真剣な表情を見せるのは、きっと自分といる時だけだろうと。
−だって、花奈と自分は付き合っているのだから。
そう思ったときだった。龍一はいきなり健人に向き直って、こう聞いてきた。
「付き合ってるの?」
龍一は、からかうように言った。なぜかはわからなかったが、薄く微笑んだその口元が、健人にはとても恐ろしく感じた。
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第7話:「初めて男の人に、こんな風にしてもらえた」。心を掴まれた女が、思わず彼にしたコト
花奈には食事に関する良い思い出がほとんどない。そのせいか、今でも食べることにさほど興味がなく、サプリやドリンクで栄養を取って済ませることもある。
パーティーや飲み会でも、料理には目を向けずに話し続けていることも多い。“食べることに夢中になる”なんてことは、これまでなかった。
「お弁当、作っていくから」
今日はこれから健人と出かけるが、彼がこう提案してくれた時、真っ先に浮かんだのは「私、楽しめるかな」という不安だった。
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第8話:「今夜だけはずっと一緒にいて…」いつもはガードの固い美女が、男に甘えたくなった夜
彼の表情を見た花奈は、少し違和感を覚えた。表情は硬いし、何かを考え込んでいる。いつもと様子が違うのだ。
仕事でトラブルでもあったのだろうか。まずは、彼の話を聞こうかな。そう思っていたが、健人の口から発せられたのは衝撃的な一言だった。
「…ごめん、しばらく会うのやめよう」
「えっ…」
会った途端そんなことを言われて、花奈は足下の地面が崩れ落ちていくような感覚に陥った。
ーうまくいっていたはずなのに、一体どうして?何があったの…?
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第9話:女性をランク付けする最低男。彼が美女から受けた屈辱とは…!?
色目をいっぱいに振りまいてくる女たちを駅まで見送ったあと、龍一はため息をついた。それは、今日一緒に参加した他の男たちも同じだったようだ。目が合うと、それぞれ特に示し合わせることもなくこんな言葉が口をついて出た。
「…Bランク」
当意即妙。息の合った仲間に、お互いがニヤリと笑う。
「飲み直す?」
「そうするか。反省会だな。特に、幹事の龍一」
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第10話:「1回くらいイイよね…?」他の男に誘われた女が、どうしても彼氏には言えないコト
“前に行ってみたいって話してた店、奇跡的に予約取れたよ!”
龍一からのメッセージに、花奈は思わず「え、嘘でしょ」と、声を出してしまった。食への関心が薄い花奈でも知っている、名店。一度は行ってみたかった『SUGALABO』を予約できたというのだ。
以前何かの話から、龍一とあの店の話題になり「行ってみたいよね」と話した記憶がある。花奈のミーハー心がくすぐられる。
−1回くらいならいいかな…。
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第11話:全然“カッコよくない男”なのに、美女がどうしても結婚したいと思った本当の理由
同期と定食屋に並んでいた健人は、急いで合格発表のページに接続する。すでに試験結果の確認を終えた人ばかりなのだろう。接続は、極めてスムーズだった。
−あっ…。
と思ったその瞬間、ぐらり、と視界がゆがんだ。
「おい、どうした石崎!しっかりしろよ」
一緒に列に並んでいた同期の声が、遠くでわずかに聞こえるのを感じた。
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第12話:「この後、家に行ってもイイ?」デートの最中、女が男に突然そう言い出した理由とは…
「石崎、お前も隅に置けねぇなぁ。やるときはやるんだな」
「え、なんのこと?」
突然の同期の言葉に、困惑する。
「しらばっくれんなよ。神谷といい仲なんだって?」
なぜそれを、と口に出しかけたが、すんでのところで口を閉じた。フロアに到着すると、視界の端に別のエレベーターで上がってきた花奈の姿が見えたのだ。
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第13話:「こんなフツーの男と結婚するの?」美女を射止めたものの、カノジョの母親からそう言われた男
「いい加減にしていただけませんか?」
健人は、花奈の言葉にビクンと肩をすくめた。言葉こそ丁寧だが、その声には怒りがこもっている。
今日は、花奈の実家に挨拶に来ている。だが、健人はかれこれ20分、口を開いていない。というのも、先ほどから目の前では花奈と母のバトルが繰り広げているのだ。
仲裁に入るべきなのかどうしたら良いか分からず、健人は出されたお茶に手を伸ばす。バトルのきっかけは、花奈の母のこんな言葉だった。
第13話の続きはこちら
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