夫婦リボーン Vol.2

「仕事場がない…」1LDKで夫婦在宅勤務の悲劇。妻が向かった先とは?

寝室で仕事


「どこに行ってたの?」

行き場を失った千夏が仕方なく部屋に戻ると、テレビ会議を終えたらしい雅人が話しかけてきた。

「ラウンジで仕事しようと思ったんだけど、閉鎖されてた」

残念そうに報告すると、雅人が、「そっか」と軽く頷きながら、恐ろしいことを口にした。

「今日の午後もテレビ会議が2つ入っているんだけど。まあ、気にしないで」

−テレビ会議2つ…!?“気にしないで”って、あなたのセリフじゃないし。

千夏のこめかみがピクッと動く。再び、自分の仕事に支障が出るのは間違いないだろう。

どうにか仕事に集中出来る場所を確保しなくてはいけない。そう思った千夏は、室内をぐるりと見回す。

この狭い家で、リビングが使えないとなると、残る部屋はベッドルームのみだ。しかし。6畳のベッドルームには、ダブルベッドと小さなドレッサーが置かれていて、仕事が出来るスペースなど、ないに等しい。

それでもリビングでテレビ会議の騒音被害に遭うよりはマシだ。千夏は、ノートパソコンを抱えてベッドルームへと駆け込んだ。

試してみるものだ。ドレッサーのテーブルには、余裕はないがノートパソコンがギリギリ置ける。

背もたれのない椅子は、長時間座るのに適していないが、ここは我慢するしかない。

ようやく腰を落ち着けた千夏がふと時計に目をやると、時刻は10時半過ぎ。騒音対策に追われてしまい、1時間以上も遅れてのスタートになってしまった。


狭いテーブルで何とかやりくりしながら仕事を進めていると、チャットのポップアップが出てきた。

送り主は、課長の森田。

“お疲れさまです。今度の役員会議の資料の確認をしたいのですが、少しだけお話出来ますか?”

千夏は、チャットを開いたことを後悔した。彼はとにかく細かい性格で、資料の内容はもちろん、“てにをは”まで、とことん指摘してくる。

在宅勤務になり、森田と離れられてラッキーなどと思っていたが、彼はリモートなど一切関係なく、連絡してくるようだ。

−既読ついちゃったじゃん…。最悪。

既読にしてしまった以上、すぐに返信しないわけにはいかない。

“承知しました。ご都合のよろしい時にお願いします”と、渋々返信した、その10秒後。

今度は、“森田誠さんから着信”というポップアップが表示された。

確かに都合の良い時とは言ったが、10秒後だなんて。森田の速すぎる電話にイラっとしながら、千夏は応答した。

この記事へのコメント

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No Name
千夏はとにかく要領悪いし、雅人はひたすら気がきかない。夫婦として向き合ってる感じが今のところ全然伝わってこないなあ。もし今後夫婦仲が険悪になったとしても、在宅勤務だけのせいじゃないと思う笑
2020/07/14 05:4699+返信2件
No Name
千夏、リモート中の上司からの電話を想像してなかったとは驚き。しかも銀座住みで格上だと見下していたとは!
50平米以下の方がちょっと気の毒だよ‥‥千葉だって良いところですよ!
2020/07/14 05:3599+返信18件
No Name
狭いと馬鹿にするのは置いておいて、家賃28万払えてることがすごいよ!
この金額月々払ったら千葉では豪邸作れちゃうよ。なかなか真似できる金額じゃないよね。
2020/07/14 06:5063返信35件
No Name
この旦那さんなかなか嫌味ったらしい性格ですね笑
在宅勤務でずっと一緒にいなくてもイライラすること言ってきそう
2020/07/14 07:0142返信4件
No Name
千葉より銀座の方が確かに「格」は上だけど、余裕のある広さがあって、そこを自分好みのインテリアやアイテムで飾って、ってできるのステキなことだと思うけどなぁ😄
2020/07/14 06:3035
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