2020.03.20
元カレ・コレクション Vol.1杏里には、学生時代から付き合っている彼氏がいる。
一宮純(いちみや・じゅん)、2歳年上。杏里が大学時代にマネージャーをしていた、サッカーサークルの先輩だ。
サークルでキャプテンを務め、顔良し性格良しだった純が、女子からも絶大な人気を誇っていたのは言うまでもない。杏里はそんな純の好みを計算し、さりげなく意図的に続けたアタックが実り、それから6年も関係が続いた。
人気があったから付き合ったのではない。
純に出会った時から、杏里は彼の様々な条件とポテンシャルを総合的に見て、戦略を持って付き合うことに決めたのだ。
純は、先祖代々続く事業を営む家系の息子。ネットで検索すれば家系図が出てくるような、由緒正しいお家柄である。
長男として大切に育てられた純は、素直で真っ直ぐで優しい。性格もポテンシャルも、背後にある財力も申し分なし。そうして杏里は長期的にも、純に狙いを定めたのだった。
それから6年間、純が地方に転勤して遠距離恋愛になったこともあったし、彼が違う相手に浮気したこともある。
別れの危機も何回もあったが、それでも杏里は辛抱して絶対に別れようとはせず、結局は元通りにおさまる関係性を続けてきた。
そんな日々が音を立てて壊れ始めた日。それは杏里の26歳の誕生日のことだった。
杏里の誕生日は、4月。恋も仕事も順調な杏里には、春の涼しく爽やかな風がとても心地よい。
新卒から勤めているIT会社で、ずっと希望していた部署に4月から異動したばかり。世間でも大人気の女性向けWebサービスの企画を担う部署は、会社の中では忙しいけれどやりがいがあることで有名だった。
ー新しい部署の仕事のこと、純にも報告しなきゃ。
そんなことを考えウキウキしながら、待ち合わせのレストランに向かった。
◆
食事を終え、デザートプレートと一緒に注文したコーヒーを飲んでいたとき。純が突然、いつもは見せないような神妙な表情を見せた。
「あのさ、俺これからも杏里とは、ずっと一緒にいたいと思ってる。だからつまり、その…。俺と結婚してほしいんだ」
―ついに、来た。
それはまさに、杏里が何度も頭の中で思い描いてきた瞬間だ。
この瞬間を迎えるために、ハイスペックな純を選んで、何度も訪れた別れの危機にも耐え抜き、こんなにも長く付き合ってきたのだから。
“結婚”。
好きな人からの、待ち望んだ言葉。杏里の目からは、感動と安堵の混じった涙が溢れだそうとする。
しかしその時だった。純が続けて、こう口にする。
「実は、来年の春から今勤めている会社をやめて、実家に戻って家を継ぐことが正式に決まったんだ」
「え…?今なんて…?」
杏里は思わず、聞き返す。
確かにいつかは、純が家業を継がなくてはならないことは覚悟していた。しかしそれはまだまだ先のことだと聞いていたし、こんなにも早く今の会社をやめることになるのは、初耳だ。
「両親が、できるだけ早く家業に入ることを望んでるんだ。それでさ、俺らが一緒にいるためには、やっぱり杏里にも一宮家の人になってもらわなきゃいけない。“嫁”として家業を手伝ってほしいんだ」
その瞬間、頭が真っ白になる。
あんなにも待ちに待ったプロポーズのはずなのに、杏里の口からはこんな言葉が飛び出していた。
「ちょっと待って。純、私はどうなるの?頑張ってきた仕事を今すぐやめなきゃいけないの?」
純は驚いた顔をして、杏里を見たまま固まっている。3秒ほどたってから、口を開いた。
「杏里、一宮家の嫁が仕事を続けるなんて、あり得ない。嫁としての仕事も、俺がしてもらいたいことも沢山ある。これは一宮家の決まりなんだ。
あと前からずっと思ってたけど…。なんで女なのにそんなに仕事を頑張るのか、俺には正直わからないよ」
玉の輿婚に乗る作戦を練っていたのに、仕事を辞めて家で「嫁」をすることになるとは考えなかったのかなぁ。
それにしても先祖代々続く家業って、なんだろう? 気になる笑
そのスペック含めて狙い定めたんだし、矛盾してるような気がするけど、まあ人生そんなもんかな。実際仕事してみて楽しい時期なんだろうね~。純の「女が頑張って仕事する理由がわからない」はちょっと女を下に見てる感あるからやめといた方がいいかもね。
にしても、こんな古風なの、自分ならやだ😅女「なのに」仕事を頑張る、「女が仕事を続けるなんてありえない」...何この論理😥
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