2019.12.23
わたし、9時に出社します。 Vol.122019年、5月。
「令和」という新元号が制定され、誰もが新時代の幕開けを喜んだ。
しかしだからと言って、これまでの慣習や価値観がアップデートされる訳ではない。
中には、平成を通り越して「昭和的」な価値観のままであることも、多々存在するのが現実だ。
このお話は、令和を迎えた今年に大手保険会社に総合職として入社した、桜田楓の『社会人観察日記』である。
1996年生まれ、「Z世代」とも言われる美南が経験する、異なる価値観を持った世代との出会いとは…?
「わたし、9時に出社します。」一挙に全話おさらい!
第1話:「始業30分前に来るのが常識」発言に凍った、社会人1年目の女
―よし…!今日からいよいよ社会人か…
2019年4月1日。楓は、就活の時から着ているスーツのジャケットに腕を通し、学生時代には味わえなかった喜びと緊張が入り混じる複雑な気持ちで、玄関を出た。
4年間学生生活を過ごした早稲田大学の卒業式に臨んだのは、つい1週間前のこと。
楽しかった学生生活が終わるのは寂しかったものの、これから始まる社会人生活への期待に胸膨らませていた。
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第2話:「太ったんじゃない?」飲み会中、無自覚ハラスメント連発の40代男上司
うだるように暑い毎日が続く、7月。楓が、丸の内に本社を構える保険会社に入社して3カ月が経過した。
まだまだ不慣れなこともある中、楓は日々の業務にあたっていた。隣の席から、OJT担当者である瀧本が話しかけてくる。
「桜田さん、資料確認したけど、、ホッチキスの止める向きも知らないの?」
OJT担当である、瀧本がため息交じりに言った。
「え…?」
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第3話:「女は、お茶汲みが当たり前だった…」総合職がなかった時代の話に、衝撃を受けた23歳女
ようやく生活リズムも掴めてきた頃、楓の会社では、新入社員を対象とした「面談」が行われる。
それは、大学を卒業したばかりの新人たちが、半年間「社会人」として業務を経験し生活していく上で、一度立ち止まって、日々を振り返り気持ちを新たにしてほしいという会社の狙いがある。
さらには早期に悩みや不安に向き合うことで、心や体の不調を軽減させるという、ヘルスケアの一環でもある。
楓のところにも、人事部より「入社後フォロー面談」の案内がメールにて届いた。
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第4話:あぁ憂鬱・・・。「女子は可愛く踊ればいい」という忘年会の余興に対する、20代女子の本音とは
湊は、大学時代に公認会計士試験に合格し、現在大手監査法人に勤めている。監査法人での勤続2年目となる今年の12月には、修了考査が控えているため、現在試験勉強真っただ中であろう。
「今年は、湊の試験が終わった頃だから、お家でまったりクリスマスデートかなぁ。いつもはやらないけれど、料理とか準備して、湊のお疲れさま会も兼ねて。」
そんなことを考えながら、楓は自宅にたどり着いた。
だがそんな楽しいプライベートとは真逆に、会社では若手を悩ます、ある“年末恒例行事”が控えていたのであった。
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第5話:「彼氏がいても、同時並行は当たり前」23歳女が耳を疑った、アラサー女子の恋愛観とは
年明け最初の出勤日、楓は出社し、会社情報を検索できるイントラネットを確認していた。すると、1月付けの人事異動にて、楓のチームに産休・育休明けの女性が復帰されることが告知されていた。
「中本美紗子」
同じくイントラを見ていたであろう岩田が、たった今楓が目で追っていた名前を呟く。
「美紗子が戻ってくるのか。このチームも華やぐなぁ。」
―岩田さん知ってるのか…。年齢は31歳、どんな人なのかしら。
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第6話:「20代で結婚したら、離婚するわよ・・・!」結婚の呪縛に憑りつかれた、アラフォー女からの警笛
「あら、楓ちゃん。おかえりなさい。毎日飲み会とかして、研修は楽しかったぁって思い出が多いわ。」
―月曜日の朝から、いつものテンションでいられるなんて、中本さんってすごいわ……。
心の中でそうツッコミを入れながら、「大阪配属の仲良い同期と会えて楽しかったです!」と返事をする。するとそんなことはどうでもいいとばかりに、中本は続けた。
「ねぇ、そういえば噂で聞いたんだけど、今年の1年目、もう婚約するって人多いんだって?」
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第7話:「会社で、可愛いって言われても困る・・・」男が驚いた、ミスコン出身美女の意外な言葉とは
「えー、今日からこの部に配属となった新人たちを紹介する。」
GW明けの最初の出社日、朝の始業と共に部長の声が響く。楓の部署に配属された10人ほどの新入社員たちが、各々に自己紹介をした。
「おはようございます。本日より商品開発部門に配属された山本麻美と申します。OJT担当である中本さんにご指導いただきながら頑張って参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
そう挨拶したのは、社内の話題となっていたミス出身の新入社員であった。
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第8話:「女は、一歩下がるの」男性社会で勝ち抜いてきた敏腕女性役員の処世術とは
「桜田先輩、お昼ご一緒してもいいですか?」
「え?うん、もちろん!何食べようか?」
そう楓が麻美に問いかけると、一瞬ふと考える仕草を見せた。
「そうですね。もしよろしければ外で食べたいなと思っていたのですが…。私、丸の内のお店全然知らなくて、ランチ開拓してみたいです!」
新入社員らしい麻美の反応に、楓はついつい去年の自分を重ね合わせてしまう。
「晴れているから外に行こうと思っていたの、じゃあ、私のおすすめでもいいかな?」
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第9話:「成果を出してない2年目社員が、副業なんて…」副業OKと謳う会社の発言に凍った24歳女
「今は、社会人2年目で仕事を覚えるのに必死だけれど、またいつか何らかの形で海外に暮らせたらいいな。」
そう思いながら、雑誌のページをぱらぱらとめくっていると巻末ページで、“旅ライター募集”の文言が目に飛び込んできた。興味を持ちながら読み進めると、そこにはこうあった。
“ご自身のこれまでの旅行経験を踏まえて、当媒体のWEBサイトにて旅に関する記事を執筆出来る方募集。”
また、“条件として、これまでに20カ国以上の国に旅行経験のある方、報酬は固定報酬+出来高(アクセス数に応じて)”と記載されていた。
―やってみたい!うちの会社、副業OKだったよね…!
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第10話:「元気な赤ちゃん、産んでね!」妊婦への常套句に潜む、危険性とは
会社員らしく、楓はこの日朝からソワソワしていた。そう、人事異動の発表の日だったのである。
異動対象となる本人には、2週間前に内示という形で伝えてあるものの、社内公表は1日というのが決まりであった。とはいえ、入社2年目の楓は、異動の対象とはなっていないようで、内示も特に受けていない。
どんな人がチームに異動してくるのか、あるいは異動していくのか。会社員にとっては一大イベントである。
9時半頃、部長である岩田がチーム全体に聞こえる声でミーティングのアナウンスをした。
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第11話:「女性にも安心」は誰の意見?25歳女が感じる、“無意識”に発する言葉の罠
“男性に嬉しい!個人用バイク+自動車一体型保険”
その後いくつかのコピーを見せた後に、担当者が述べた。
「ざっと以上である。自由に感じたことを言ってくれ、より良い商品となる為にまさしくターゲット世代である君たちの意見が欲しい。」
そこで、楓が口火を切った。
「訴求の目的や意図は理解できました。ターゲット世代にダイレクトに伝わりやすくていいなと思うのですが…。」
第11話の続きはこちら
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