2019.01.23
華麗なるアラフォー妻たち Vol.140代の夫とアラフォー妻、10代の子供の家庭のリアル
「ママ、お誕生日おめでとう」
『ピャチェーレ/シャングリ・ラ ホテル 東京』で、愛する家族に囲まれ、私はとても幸せだった。
今日39歳になった私は、中学生の娘がいるにも関わらず、日ごろから30代前半に見える、と言われる。
夫と娘の顔を交互に見つめながら、思わず笑みがこぼれた。
美男ではないが清潔感があり、世間では高級品とされるものをきちんと身につけられるだけの経済力を持つ夫。
私立の中学に入り、成績も上々で、素行不良の心配もない娘。
何か文句を言ったら、バチが当たってしまうだろう。
だが。
私はさすがにもうSNSの類はやらないが、娘の小春はスマホに夢中だ。さっさとメニューをオーダーしてしまうと、すぐにスマホの画面を凝視し、こちらを見ようともしない。
仕方なく私は夫の方に向き直るが、彼もスマホを弄っている。
平日は仕方がない。2人ともそれぞれ、仕事や学校生活で日中は忙しいのだから、自由に時間をつかわせてあげたいと思う。
だが、今日だけは別だ。私の誕生日の夜くらいは、家族で会話をしたい。
いつもは望まないが、今夜だけ。
少しでいいから、いつも家族の生活を一番に考え、陰で支えていることへのお礼を言われたい。
私がこんな風に思ってしまうのは、贅沢なのだろうか。
「ねぇ、二人とも。今日くらいはスマホをやめて喋りましょ」
夫は、案外素直にテーブルにスマホを置いてくれたが、小春はあからさまに嫌な顔をしている。
私は、なんとかしてその場を盛り上げようと思った。
「ねぇ、パパ。最近小春、吹奏楽部の練習すごく頑張っているのよ。顧問の先生が、高橋先生だっけ、なかなか面白いのよね」
小春は、機嫌が良い時には学校の話をしてくれるので、私も娘のことはよく把握しているつもりだ。そしてこの会話をすることで、娘をよく気遣っている母親だ、と夫にも評価して欲しかった。
しかし次の瞬間、私の幸せな気持ちは一気に萎えてしまう。
「違うよ、高梨だってば。ママヤバイ。39歳になって、もうボケてるんじゃないの」
娘の小春とは昔から何でも喋る仲だったが、最近では母親を小馬鹿にした態度をとるようになっている。
母としてムキになるわけにもいかないが、夫がこちらをかばうそぶりも見せないため、誕生日の夜だというのに私の心にはふつふつとフラストレーションが溜まってゆく。
小さい頃はあんなにも可愛く、どこへ行くにも「ママ、ママ」とついて回り、無邪気にいろいろなことを話してくれたのに…。
それも、小学校5年生くらいまでだっただろうか。
少しずつ少しずつ私から自立していき、何が不満なのだろう、こうして私の言葉に突っかかるようになった。
これまでの人生、こんなにも娘のために尽くしてきたのに。小春は、まるで自分だけの力で今の中学に入り、豊かな学校生活を送っているかのような態度なのだ。
娘の発言に気を悪くし私が黙ってしまうと、二人はここぞとばかりに再びスマホの方に向き合う。
寡黙な夫と思春期の娘は、特にお互い会話をすることを必要としていないようで、それはそれで成り立っている。
家族がまとまっていないことを私だけが気にしているようで、寂しくなってしまったが、食事を終えてケーキがやってきたときは、無条件に心がはずんだ。
しかしちらりと目に入ったHappy 39th Birthday と書かれたプレートに、思わずため息をついてしまう。
もう、39歳。
40歳まで、あと1年を切った。欲しいものは何もかも手に入れたと思ったのに、こんな生活を続けたまま、40歳にはなれないと思った。
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