パーフェクト・カップル Vol.17

理想的な夫が隠し続けていた秘密。衝撃の告白に揺さぶられた、妻の決意とは?

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子の夫婦。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう

夫のピンチが続く中、妻は番組での夫婦共演で夫を救うことに成功する。夫は以前の名声を取り戻した。が、今度は妻に過去のトラウマが迫ったとき、夫は意外な行動に出るが…。

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続ける「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


「…私ってあなたに愛されてる?」

抱きしめていた怜子が、下を向いたままそう呟いたように聞こえた。けれど、それはあまりにも予想外の言葉で、僕は思わず聞き返してしまった。

「…怜子、今、愛…って言った?」

僕の言葉に、腕の中の怜子が顔を上げ、僕を見上げる。何か言いたそうに彼女の口元が動いたけれど、言葉は出ずに、彼女の表情が歪んだ。

―あ、泣いてしまう。

思わず、もう一度抱きしめようとした僕の腕からすり抜けた怜子は、2〜3歩後ずさって言った。

「…ごめん、変なこと言っちゃった。ごめん、気にしないで。」

笑っているつもりなのだろうが、うまく笑えていない。そして笑顔を作りきれぬまま、怜子は僕の視線から逃げるように、後ろを向いてしまった。

「…怜子。」

僕が呼びかけると、怜子の背中が、ビクッと震えた。

ちゃんと話そう。僕がそう言おうとした瞬間。

「パパー。持ってきたよ。」

無邪気な声と足音で、部屋の空気が弾けたように変わってしまう。

翔太を待たせておこうとした僕の先手を打つように、怜子が言った。

「私は大丈夫だから、翔太に読んであげて。」

「母の顔」に戻った怜子は、だけど、と言う僕の背中を強引に翔太の方に押し出して、自分はさっき洗ったばかりのグラスを拭きはじめる。

早く、早く、と服の端を翔太に引っ張られながら、怜子の後ろ姿に声をかける。

「怜子、あとでちゃんと話そう。」

怜子は振り向くと、かすかに笑い頷いた。その力のない笑顔に胸が詰まり、嫌な過去がよみがえる。

―怜子のこんな顔は「あの時」以来だ。

それは、僕が未だ怜子に話せていない…「秘密」を持った時でもあった。

【パーフェクト・カップル】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo