京都ちゃん Vol.11

京都ちゃん:結婚と恋愛は別。京都の名家に生まれた男女が背負う、自由のない結婚

生粋の京おんな・鶴田凛子(26歳)は、西陣で呉服店を営む京野家の跡取り息子・京野拓真と婚約中だ。

義母の過干渉に苦しむ凛子は拓真に嘘をつき、学生時代に好意を寄せていた竜太と密会心が揺れてしまう。

ますますエスカレートする義母の横暴。しかし婚約者・拓真は事なかれ主義で凛子は我慢の限界に。

ついに爆発した凛子を拓真は意外にも男らしく受け止めるが、凛子は桜子に誘われ東京へ。

竜太と再び再会し、自分には逃げ場所があることを知った凛子はもう一度だけ拓真と頑張ってみようと心に誓う。

しかし拓真の口から、昔結婚を考えていた女性がいたことを知らされ…。


−はぁぁぁ…。

凛子が思わずため息を漏らすと、ゆりえがちらりと視線を向けてきた。

ザ・リッツ・カールトン京都の『ザ・ロビーラウンジ』

ここは京町家の建築技法を取り入れた落ち着いた空間で、開口部の大きな窓からは開放感を得られ、つい長居をしてしまう。

昼過ぎに集合しアフタヌーンティーを楽しんでいた凛子とゆりえだったが、すでに時は夕刻に近づいていた。

「…まーた、ため息ついてる。そんな気にすることー?終わった過去の恋なんて」

「別に、気にしてるわけと違うし…」

ゆりえが「呆れた」と言わんばかりの目を向けるので慌てて言い訳してみるものの、漏れたため息の理由はもちろん、拓真の一件だ。

−昔、結婚を考えた女性がいた−

知らなかった。彼に、そんな女性がいたなんて。

そしてその事実は、凛子の心に思いがけぬ感情を運んだ。

最初は、裏切られたような気持ちになった。

そして次にふつふつと湧いてきたのは、対抗心とも似た感覚だった。

「そんなに気になるんやったら、聞いてみたらいいやん」

ゆりえは簡単にそんなことを言うが、拓真本人に尋ねるようなことはしたくない。

するとそんな凛子の心などお見通し、とでもいうように、彼女は意味深に言葉を続けるのだった。

「拓真さんって、同志社やんね?桜子さんやったら知ってるかも。彼女のお兄さんも同志社で、確か拓真さんと同級生」

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