“ゆとり”のトリセツ Vol.9

“ゆとり”のトリセツ:他人にどう思われても関係ない。結局熱くなれないのが、ゆとり世代。

バブル崩壊後の低迷する日本を生きてきた“ゆとり世代”。

外資系コンサルティングファームに勤める瑞希(26歳)も、まさに典型的な“ゆとり”。

高学歴、高収入、容姿端麗。誰もが羨むハイスペにも関わらず、その実態は信じられないほど地味だ。

趣味はNetflix、たまに港区おじさん・水野と出かけるのは庶民的な餃子屋...。

ところが水野に半ば巻き込まれるような形で、プロボノ活動に参加することになった瑞希。クライアント先の熱き起業家・小原から言われた言葉に反発を覚える。

小原に認めてもらえる提案を練り直すため、休日返上で田舎町を訪れた瑞希。

再び、小原への提案に臨む。果たして今度は、受け入れられるのか…?


「本日はご足労頂きありがとうございます。どうぞ、おかけください」

瑞希の勤める外資コンサルティングファームの会議室は、天井・壁・床全てが無機質な白で統一されている。

これまた真っ白な会議テーブルを挟み、瑞希は正面の席を小原に勧めた。

瑞希が再度ミーティングをセッティングしようとしたところ、前の用事が近くだからと小原自身が瑞希のオフィスを指定してきたのだ。

「…前回は納得いただける内容でのご提案が出来ず、申し訳ありませんでした。

こちらが、『放課後わんぱく会』学童保育事業の収益改善という課題に対し、再度検討した上での新しいご提案です」

小原に資料を手渡すと、瑞希は練り直した新しい提案についてさっそく説明を始める。

中央集権型に本部が全事業地区を統括する現在の体制から、地区ごとにエリアマネージャーを配置する体制に変えること。

エリアマネージャーの業務は、現場を知らねば出来ない定期的なレポーティングを中心とし、このポジションにはパートタイマーを採用すること。

「…これなら、関東全体に広く広がる事業所を本部だけで全て管理するより、全体的なコストは削減できます。

また、『放課後わんぱく会』の提供する放課後学童保育サービスを過去に利用したことのある母親たちは当サービスをよく理解しており、時短勤務が可能な職への関心も高いです。

エリアマネージャーとして採用できる可能性は十分にあるかと考えられます」

以前瑞希が提案した、不採算事業所の整理を進める案より収益改善効果は小さいものの、『放課後わんぱく会』の事業拡大に必要な利益を十分確保できる内容だ。

瑞希は自信を持って小原を見つめる。

小原は資料から目を上げると、改めて瑞希に向き直った。

「…なるほど。分かりました、この案で進めてみましょう。僕の方から理事会にも連絡しておきます」

―やった、通った!

「ありがとうございます!」

瑞希は満面の笑みで内心ガッツポーズを決めた。

【“ゆとり”のトリセツ】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo