寿退社したものの Vol.15

結婚したら、寿退社♡は女にとって幸せなのか?「寿退社したものの」全話総集編

結婚したら、寿退社♡

一昔前まで、それは女性の人生における最初の小さなゴールだった。

家庭に入り、料理の腕を磨き、夫の帰りを待つ。

だが、2017年の東京で「専業主婦」は、本当に憧れるべき存在だろうか?

「寿退社したものの」一挙に全話おさらい!

第1話:憧れの専業主婦ライフ。華やかな生活を捨ててまで得た「安定」の現実

結婚後3年経ち、そして母となった今でも、志穂は結婚前の華やかな生活を完全に忘れることは出来ていなかった。そんなことをふと口に出せば、母親失格だ、なんて子供じみているのだ、と呆れられるのも分かっている。

だが、今の生活は単調で、あまりにも退屈だった。自分の人生を生きているという実感が得られない日々が、ただただ繰り返される。キッチンに向かい娘の朝食を用意しながら、志穂はふと、26歳、独身最後のバチェロレッテ・パーティーの夜のことを思い出していた。

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第2話:主婦or会社員。主婦の方が自由だと思ってた女が、直面した現実

今朝のひなは目覚めが悪かったのかすこぶる機嫌が悪い。父親に構ってもらえないとわかると泣き叫び始めた。

「うぅーん…。」

寝ぼけたような、康介の声が聞こえる。やっと起きたか、とひなが食べ散らかしたテーブルを片付け、落ちているおもちゃを拾い、なんとか娘をなだめようと冷蔵庫からりんごジュースを取り出そうとしたその時だ。

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第3話:「ママに見えない」じゃ満たされない!仕事を探す専業主婦に襲いかかる壁

親友の聖羅は、半導体や楽器などを手広く手がける大手メーカーに勤めている。少しずつ責任のある仕事を任され始めているという聖羅は、実に生き生きとしていた。

美しいから、だけではない魅力を感じたのだ。寿退社をした自分は勝ち組だと信じていた。だが、志穂の中でその思いがぐらつき始めた。

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第4話:専業主婦になるのは簡単。だが、仕事復帰には茨の道が待っている!?

あの時、自分に真摯に向き合ってくれていると感じた康介の印象は、180度変わってしまった。

だがそもそもそれは、自分が夫というたった1人の人間に、経済的にだけでなく精神的にも依存してしまうという間違いを犯したからに過ぎないからだ、と思う。

その間違いを正しに、今日、自分は偶然にもまたここに戻ってきたのだと感じた。決意を固めなおした志穂は、美咲さんらしき人が座る奥のソファ席へ向かった。

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第5話:自分の選択を肯定しないと気が済まない、専業主婦の邪魔なプライド

志穂は、早く自分が仕事を得たことを話したくて仕方がない。だが、みなは美香の話に興味津々である。曰く、希望の幼稚園に入るための幼児教室で、ボスママから目をつけられているという。

「ねぇ、志穂ちゃんもひなちゃんを幼児教室に通わせてるのよね、渋谷の。そういうのは全くないの?」

美香が志穂に話を振ると、みな一斉に志穂の方を向いた。

「うん、そういうのは全然なくて。というかね、基本的に保護者はお教室に付き添わないのよ。その間私も、仕事しているの。」

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第6話:あの蜜月はどこへやら…。食い違う、夫の言い分と妻の言い分

「ちょっと、何これ…。」

慣れない仕事で疲弊した体にムチを打つようにして、やっとひなを寝かしつけた志穂は怒りに肩を震わせていた。原因は、夫がシャワーに入っている時になんとなく見えてしまった、彼のLINEトーク。

ー康介も大変だね。ちゃんと養ってあげてるのに…。ヒステリックな奥さんのケア、頑張れ!また気晴らしに飲みにいこ〜!

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第7話:夫を狙うライバル出現?仕事復帰した専業主婦に、心休まるヒマはない

聖羅に核心を突かれて以来、志穂は自分の選択に文句や泣き言を言うのをやめた。激務の夫を選んだのも、自分。寿退社をしたのも、自分の選択だ。

「なぜもっとこうしてくれないのか」と相手を責め、自分の置かれた状況を責めているだけの状態では、あまりにも自分が情けない気がする。何より、娘のひなに顔向けできない。

少しずつでもいいから、人生の舵取りは自分でするのだ。そんな風に心を決めた志穂の毎日は、少しずつ好転していったのである。

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第8話:家庭も仕事も子育ても、すべてを手に入れるなんてただの欲張り?

今はたったの週に3日しか働いていないため、志穂の稼ぎもすべて幼児教室代に消えてしまっているが、もしここでフルタイムで働けば、しっかりとした固定収入と、やりがいのある仕事まで同時に得ることができる。

そうすれば、康介の同僚の女のような、くだらない出来事に心を振り回されることもないだろう。

ただー。志穂は、この会社で働く若者たちにはないものを背負っている。そのために、返事を即答できぬまま、社長とのランチミーティングを終えたのであった。

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第9話:この幸福は自分の犠牲で成り立っている。妻にそう思わせた、夫の態度

「そっか。残念だけど、やっぱりご家族が大事だもんね。大丈夫だよ。」

志穂の勤務先であるベンチャー企業のオフィスには、まだ社長室というものがない。

社員と机を並べて座っている社長をつかまえ、意を決して「フルタイムでは働けない」と伝えたはいいものの、3秒後には後悔している自分に気がつく。本当にこれで良かったのか、と。

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第10話:夜、夫と娘を置いて向かった先。母となった女が密かに平穏を得る場所

「私、一体何に対してイライラしたの…。」

義母に対して口走ってしまったこと、康介のLINE…。

だが、ただ独り歩き夜空を見上げただけで、何だか不思議と気分は晴れたのだ。別に自分は、若い頃のように華やかな夜遊びが必要だったわけじゃない。

こうして一人の時間を、たった10分でも持てただけで色々なことを流せるような気がして、志穂は来た道を駆け足で戻っていった。

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第11話:働くママは邪魔者扱い?それでも、めげずにいられるワケ

「あのね、志穂。絶対渡辺君には私が言ったって言わないで欲しいんだけど、話しておいた方がいいと思って…。」

え、なに、と志穂は身を乗り出した。

「志穂がひなちゃんのお熱で頻繁に休んでたこと、会社の偉い女の子がやっぱりよく思ってなかったみたいで。渡辺君もその子の意見を無視するわけにもいかなかったみたいなの。」

「え…。」

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第12話:1人産めば「2人目まだ?」のプレッシャー。どこまで手に入れれば、世間は納得する?

「先日は、本当に申し訳ございませんでした。私が余計なことを言って、せっかくの還暦のお祝いの席の雰囲気を悪くしてしまって…。反省しています。」

ひなの為にも、この義母に可愛がられなければいけない。その一心で志穂は一気にそこまでまくし立てた。電話なのにも関わらず、深くお辞儀までしてしまう。康介は、びっくりした顔で志穂を見ている。

だが、電話口の義母は意外な言葉を発したのだった。

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第13話:じっくり話すべき夫婦問題に向き合わない夫。妻は、密かに不満を蓄える

「…というわけなの。康介は、どう思う?」

ママ友達から、幼稚園受験や2人目問題についての話題を出され不安になった志穂は、帰宅した康介にまずは幼稚園の件について相談してみた。康介とは、今までもなんとなくひなの幼稚園や進路について話してきたが、一つも具体的なことは決まっていない。

近所にも幾つか幼稚園はある。だが、志穂のママ友は電車で通うようないわゆる「お受験」をしないといけないような幼稚園の情報しか持っていないため、志穂は困惑していた。

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第14話:「妻が待つ家に帰りたくない…」。変わってしまった妻へ、複雑な心境の夫

ー今日も帰り遅いの?夕飯はいるの、いらないの?

連日のように「割とどうでも良いこと」をさも一大事のように聞いてくる志穂とは、もう会話も噛み合わなかった。それならば、と康介は積極的にクライアントの接待をこなし、仲間との飲み会では幹事役を自ら進んでこなした。

そんな時だった。

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