寿退社したものの Vol.10

寿退社したものの:夜、夫と娘を置いて向かった先。母となった女が密かに平穏を得る場所

結婚したら、寿退社♡

一昔前まで、それは女性の人生における最初の小さなゴールだった。

家庭に入り、料理の腕を磨き、夫の帰りを待つ。

だが、2017年の東京で「専業主婦」は、本当に憧れるべき存在だろうか?

結婚したら、母親と同じように専業主婦になることに疑いを持っていなかった志穂

だが、自立のため復職し、夫との仲も修復しかけたように見えたが、思わぬライバルもあらわれた。

そんな中、職場の社長からフルタイム勤務で働かないかと持ちかけられるが、家族のためにと断念。家庭も上手くいかず、思わず家を出てしまう。


ただ空を見上げるだけで


しんと冷えた夜の空気は、何故だか心地良かった。

涙を拭いて、適当な靴で外に出る。志穂は、ただただ歩いた。

行き先などない。

頬に当たる風を感じながら、ただひたすら歩くのだ。

時間にして、5分もなかったかもしれない。カッとなっていた志穂は、そのうち憑き物が取れた......


この記事へのコメント

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No Name
独身女性だけど、子供は大切だし是非早退してほしいと思う一方、繁忙期にチームにママさんがいるとフォローが大変だと思うのも事実。事実だけど、ママさんの辛さ、負担は理解したいと思います。
2017/10/12 06:3765返信2件
No Name
この小説を読んで、見通し立てず安易に専業主婦になったり子供を産んだりする人が減れば良いですね。世の中に対して文句ばかり言う人が多い社会は辛いです。
2017/10/12 10:3652返信1件
No Name
この主人公は、自分が働かなくても十分生活できる環境なのに働こうとするから、あまり同情されないんですよね。(小説内でもコメント欄でも)
稼ぎたい・自立していたいという思いではなく、社会とつながっていたい・母でも妻でもない時間がほしいという思いなわけで。
それなら、責任の発生する仕事ではなく、習い事かボランティアにすればいいのに、って思ってしまいます。
2017/10/12 20:4445
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