寿退社したものの Vol.12

1人産めば「2人目まだ?」のプレッシャー。どこまで手に入れれば、世間は納得する?

結婚したら、寿退社♡

一昔前まで、それは女性の人生における最初の小さなゴールだった。

家庭に入り、料理の腕を磨き、夫の帰りを待つ。

だが、2017年の東京で「専業主婦」は、本当に憧れるべき存在だろうか?

専業主婦だった志穂は、自立のため復職した。仕事のことで義母ともめるなど上手くいかず、思わず家を出てしまうが、結果夫婦仲は安定した。そして義母に謝ろうと決意する。


嫁の努力


「もしもし…志穂です。」

心なしか、スマホを持つ手が震える。

今までは、特別な用がなければ自分からは絶対に義母に連絡などしなかった。簡単な近況報告のメールすら、打ったこともない。連絡事項はすべて康介を通してきた。

今考えると、嫁としてのそうした態度も良くなかったのだと思う。

3コールほどで、義母が意外そうに応答した。

あの日の食事会での無礼な態度を謝ろうと思うのだが、緊張からなかなかな言葉が浮かばない。だが、意を決して志穂は口を開く。

「先日は、本当に申し訳ございませんでした。私が余計なことを言って、せっかくの還暦のお祝いの席の雰囲気を悪くしてしまって…。反省しています。」

ひなの為にも、この義母に可愛がられなければいけない。

その一心で志穂は一気にそこまでまくし立てた。電話なのにも関わらず、深くお辞儀までしてしまう。

康介は、びっくりした顔で志穂を見ている。

だが、電話口の義母は意外な言葉を発したのだった。

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